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No.083 救助

目の前には爆風により吹き飛ばされ倒壊した建物の瓦礫が山となり、そこら中から炎が上がり黒煙を噴き上げている。


その周囲には倒壊した建物の下敷きとなった街の住人や、この街に観光でやってきた旅行者や迷宮探索を目的にやってきた冒険者が力なく倒れている。


アリスは、腕に装着した水魔法の腕輪から空中に直径10mにも及ぶ巨大な水球を作り出すと、倒壊し炎を噴き上げる家屋の上へ水球を落としていく。


今は、倒壊した建物の下敷きになった人々の救助よりも延焼を防ぐために火災を消すことが最優先である。


街を東に数歩進むだけで倒壊した家屋と炎を噴き上げる家屋がさらに増えていく。


「これじゃいくら水魔法で消火してもきりがない」


思わず口から出てしまった言葉だが、その言葉をかき消すように水魔法で空に巨大な水球を作ると、それを炎を噴き上げる家屋へと降らせていく。


家屋だったものは瓦礫の山と化し、住人とおぼしき人達の悲鳴がそこかしこから聞こえてくるが、僅かに助かった者達は吹きあがる炎から逃げるのが精一杯だ。


「街が燃え尽きるのが先か私の魔力が切れるのが先か勝負ね」


既に水魔法の腕輪で作った巨大な水球の数は20個を超えている。


そろそろ魔力が尽きる頃合いというところで、近くの空にアリスが作り出す水球の10倍はあろうかという巨大な水球が姿を現す。


空に浮かぶ巨大な水球は、街の東側へゆっくりと飛んでいくと最も燃え盛る街の上で霧散し地上へと降り注いでいく。


「凄い。どうやったらあんなことができるのかしら」


巨大な水球は、空にいくつも浮かんでは炎を噴き上げる東の街へと飛んでいく。


「あんな芸当ができるのはきっとカルルね。私も頑張らないと」


そう言って自身を誇示しながら瓦礫の山と化した街の東へと向かう。


そしてもう魔力が切れるという状態となった時、ようやくと街の東のはずれへとやって来た4人は合流した。


「まだ所々火災は残っているけど、9割方は消火できたんじゃないかしら」


アリスはそう言うと地面に力なく座り込む。


「これだけの大規模災害となると、さすがに4人で対処するのは厳しいですな」


「そうだね、でも僕達にできることはそんなに多くないから、後は街の住民に任せるしか術はないと思う」


東の街の外に広がる広場には巨大な穴が空き、置かれていたはずの飛空艇の姿はひとつもない。


恐らく飛空艇は爆風で全て消滅したのだろうが、麻薬がどうしてここまでの破壊力を持っているのかは謎でしかない。


広場のあちらこちらには、恐らく人であったであろう黒焦げの塊が散乱していて、炎の威力が相当のものであったことがうかがえる。


そこに1艇の飛空艇が低空を飛びながらカルルの元へとやってくるとゆっくりと地上へ着陸した。


「凄い。カルルの飛空艇は無傷ね。焦げてさえいないわ」


飛空艇の扉が開かれると、そこには戦闘用ゴーレム2号と、作業用ゴーレム2体が並んでいた。


「ゴーレムは、飛空艇も動かせるのね」


「3体とも飛空艇を動かせるけど、操作できる範囲は中継の魔石で操れる50km四方だから、以外と狭いんだよね」


飛空艇は、広場に置いたままにして再び街へと入り瓦礫の中をブライトンハイアットホテルへと向かう。


途中、再び火災が発生している場所があれば、水魔法による消火を繰り返しながら、進んでいくと担架に乗せられたケガ人が次々と運ばれていく光景が目に入る。


そのケガ人が運ばれていく先を目で追っていくと、カルル達が宿泊するはずのブライトンハイアットホテルであった。


ブライトンハイアットホテルのロビーは、数百人のケガ人が運ばれ即席の救助施設となっていた。


その殆どが火傷と倒壊した家屋に押し潰されてケガを負った人々だ。


「治癒師、火傷が酷い。早く治療をしてくれ!」


「ポーションが足りない。誰かポーションを持っていないか!」


冒険者ギルドや街の魔道具屋からかき集められたポーションで中傷者の治療はできるが、重症者にポーションは気休め程度の効果しかない。


「くそ、これではどれだけの死者が出るか想像もできない」


ブライトンハイアットホテルのロビーでケガ人の治療の指揮をとる治療院の医者は思わず天を仰いだ。


「これを使ってください」


そう言って医者に差し出されたのは、カルルが創って収納の腕輪に貯め込んだ特製のハイポーションである。


特製のハイポーションは、元々は標高の高い山に自生していた4種類の薬草を、カルルが飛空艇内で鉢植えにして育てたものを材料にして創ったもので、飛空艇内に配置された魔道回路と魔石を巡廻する魔力により、生育が早められ強力な魔力を帯びた特殊な薬草であり、通常のハイポーションの数倍の治癒能力を有していた。


テーブルの上に置かれた空の薬瓶の横に次々と並べられる特製ハイポーションは、100瓶を超える。


「僕が持っているハイポーションはこれが全てです。どの患者さんに使うかはお任せしますが、助かる人に使ってください」


「あっ、ありがとう。これだけのハイポーションがあれば、かなりの人々を救うことができる」


医者はホテルのロビーに並べられたケガ人にカルル特製のハイポーションを与えていく。


すると殆ど意識すら無かった人達の火傷やケガが徐々に治り始めた。


「驚いた。このハイポーションの効能は凄い。通常のハイポーションだと重症者に使っても効果はあまり期待できないのだが、このハイポーションならかなり治癒できそうだ」


「さすがに完治とまではいかないけど、自身で体を動かせるところまでは回復できそうですね」


ホテルのロビーに横たわる重傷者が次々と意識を取り戻し、自身の足で歩き出す者も少なくない。


だがカルル特製のハイポーションは、1日に作れる数は僅かだ。


とてもこの街のケガ人全てを治療させるだけの数は用意できないが、薬師でもないカルルにそれを求めるのは酷というものだ。


さて、カルル達が予約した部屋に戻ろうとするとホテルの支配人からこんなことを告げられた。


「申し訳ございません。本日、当ホテルの従業員はケガ人の収容と治療を行うため、お食事の準備はできかねます。何卒ご理解いただきますようお願いいたします。その代わりと言ってはなんですがカルル様は、ケガ人のために沢山のハイポーションをご提供されましたので、当ホテルの宿泊料は無料とさせていただきます。また、次回起こしいただいた際も無料といたします」


「そうか、この状況で食事を出せって言われても無理だよね。承知しました」


カルル達は、ホテルの部屋に入ったものの、外では担架で運ばれてくる多数のケガ人で埋め尽くされている。


「これだと外に食べに行くのも無理か」


4人は、ひとつの部屋に集まると収納の腕輪に蓄えておいた食材を使っていつもと変わらない夕食を作り、いつもの食事の風景となった。


カルルは、魔力量が豊富なため魔力量にかなり余力があるが、アリスは殆どの魔力を使い果たしているせいか、顔色があまり優れない。


逆にハンドとパトリシアは元冒険者というだけあり、何かあった場合に備えて魔力は残してあるという。


「僕が作り置きしておいたハイポーションは、皆が使える数は残してあるけどあの数をもう一度作るとなると100日以上かかるのはさすがに痛いなあ」


「ですが、カルル殿が作り置きしたハイポーションで相当数のケガ人の命が救われています。この日のために作ったと思えばよろしいのでは」


ハンドの言葉に思わずうなずくカルル。


"コンコン"。


すると、皆が集まり食事を取っていた部屋の扉をノックする音がする。


部屋の扉を開けると、そこには高級そうな服を着た初老の男性が立っていた。


「お休みのところ申し訳ございません。領主様から街の火災の消火活動とケガ人の治療薬の提供について謝辞を述べたいとの申し出がございまして、ぜひカルル様にお会いしたいとの申し出がありましたが、いかがなさいますか」


その日はアリスの体調も優れないため後日改めて領主と会うと伝え、次の日の早朝にはホテルを引き払い飛空艇でグロノス島を後にした。


このまま領主と会うと無理難題を押し付けられ、この街から出られなくなることを懸念しての行動だ。


カルル達がホテルから出立した早朝のロビーには、特製ハイポーションのおかげで治療を施された人々が寝息を立てていた。


テーブルの上には、まだ少しばかりだがハイポーションも残っていて、これから運ばれてくるであろう重傷者への対応も何とかなりそうであった。


空へと舞い上がった飛空艇から見える街は、全体の3割程度を消失していた。


これだけの大災害を引き起こした魔法薬(麻薬)を欲するヴィスターク王国とはいったいどういった国なのかと、カルルの胸の内のざわつきが止むにはかなりの時間を要した。




◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:264

 1000艇まで残り736


◆カルルが創った飛空艇の内訳

 ・飛空艇試作一号艇

 ・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用

 ・飛空艇試作三号艇 ※カルルが使用


◆北ラルバード大陸


王国向け飛空艇

・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)

・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇

・ハイリシュア王国軍向け飛空艇 80艇(通常型30艇、戦闘型50艇)

・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)

・マレーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)

・カヌーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)


錬金術ギルド用飛空艇

・グランドマスター用兼商談用戦闘型飛空艇

・薬草栽培兼治療用飛空艇

・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇

・トーデスインゼル(死の島)物資補給用飛空艇 2艇

・遊覧用飛空艇 4艇


◆北コルラード大陸


王国向け飛空艇

・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)


このお話が投稿される頃には、キャンプ場にいます。

先週末は久しぶりの雪でしたが、今週末は晴れるのでのんびりできそうです。

ちなみに今日も残業で日付が変わってからの帰宅だったので、準備などで時刻は3時です(笑)。

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