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No.081 チームフェンリル再び

カルルの飛空艇は、ベイランズ諸島近くへとやってきた。


ベイランズ諸島は、ラルバート大陸とベルラード大陸のほぼ中間地点に存在する諸島で、近くに島は存在しない。


こんな大海原に島々が存在すること自体が不思議なのだが、それに拍車をかけたのが迷宮の存在だ。


なぜ、こんな大海原にある島に迷宮が存在するのか。


それにつては、冒険者として活動していたハンドもパトリシアも答えを持ってはいなかった。


「今回は、ベルラード大陸へ向かう途中だから無理だけど、帰りにこの島の迷宮にでも寄ってみようか。僕も空を飛ぶ迷宮以外の普通の迷宮には入ったことが無いから、どんな場所なのか興味があるんだ」


その言葉にハンドとパトリシアが興奮気味に答える。


「よいのですか。俺達は元々冒険者なので迷宮で腕試しをしたいというのは捨てきれないんです」


「私達は、カルル殿の護衛なので仕事で迷宮に入ることは二度とないと思ってました」


「僕の護衛ばかりだと腕が鈍ると思うので、皆さんの能力向上に役立てるなら迷宮に行くことは大歓迎です」


カルルの言葉に盛り上がるハンドとパトリシアに対して、迷宮で魔獣と戦った経験があまりないアリスは少し怯えている。


「私、迷宮の経験があまりないから正直怖い」


アリスの言葉に対してカルルはこう切り出した。


「アリスの腕に装備してある魔道具は僕が創った自慢の一品ばかりだ。それは信じてほしい。それに僕と出会う前のアリスなら魔力病を患っていたから攻撃魔法を繰り出すのも大変だったと思うけど、今は完治しているから大丈夫だよ」


「そっ、そうね。確かにカルルが作ってくれた魔道具の能力はどれも素晴らしいものばかりだから信じる」


飛空艇内で迷宮の話に盛り上がっていると、飛空艇はベイランズ諸島の上空へとやってきた。


「ベイランズ諸島で最も大きな島がグロノス島というところだから、多分あそこだと思う」


大小いくつもの島々が点在するベイランズ諸島で、最も大きなグロノス島が眼下に見えてきた。


その島にある大きな街の外にある広場へと飛空艇は降下していく。


街の外に点在する広場には、いくつもの飛空艇が置かれている。


広場にゆっくりと着陸したカルルの飛空艇から4人が降りると制服を着たひとりの男が歩み寄る。


「ケアンズの街へようこそ。皆さんは観光ですか?」


「はい。この街の宿屋を紹介して欲しいのですが」


「それでしたら、街の入り口に案内所があります。そこで聞いてください」


「この広場の利用料はいかほどですか?」


「ああ、この広場は無料です。街の利用税もありませんので、思う存分観光を楽しんでください」


カルルとの会話を終えた男は、別の飛空艇へ向かって歩いていく。


「この広場を管理されている方ですかね」


「街に支払う税が無いというのは驚きです」


「迷宮から入る税収で街は相当潤っているのではないでしょうか」


カルルがぱっと見ただけでも広場に止められている飛空艇の数は20を超えており、形も色も微妙に異なっている。


しかも飛空艇の前に立つ人々の服装も装備もバラバラで、冒険者風の者もいれば貴族の屋敷にいる執事の様な身なりをした者もいる。


「恐らくですがここに飛空艇で来る方々は、貴族か或いは商会が運用している飛空艇でしょう。飛空艇を個人所有するのはカルル殿くらいでしょう。操術師を雇ったり護衛を雇うとなるとそれなりにお金がかかりますからね」


そんな話をしている時、カルルは広場の中央に置かれている6艇の飛空艇が気になり、離れた場所から鑑定魔法で飛空艇を調べてみると、まさかのあれを運んでいることが分かった。


「あそこの中央に置かれている飛空艇に例の麻薬が大量に積んである」


「えっ、それは本当ですか」


「あの麻薬って引火性が高くて、麻薬に火がついたら砦が破壊されるほどの威力があるんだよね」


「確かに砦は木っ端みじんでしたね。まさかこの街に麻薬を売りに来たんでしょうか」


「街の規模に比べて麻薬の量が桁違いに多いから、恐らく別なところに運ぶんだと思うけど、問題はあの砦にいた冒険者の集団がここに来ているかだね」


「彼らがもし我々を見かけたら戦いになるでしょうね」


カルルは、ハンドと会話をしながら険しい表情を浮かべて飛空艇とそれを守る護衛の集団を見ていた。


あの麻薬は、カルルが住むラルバート大陸に恐怖をばら撒く元凶であり、あれが他の大陸へも広がっていることは想像に難しくいない。


だがカルルは、飛空艇で運ばれる麻薬を見過ごすべきなのか、それとも自らが手を下して麻薬を海の藻屑と化すべきなのか判断に迷っていた。


結局、カルルは判断がつかないまま街へと入った。




4人は、街の入り口にある案内所に入り空いている宿屋を紹介してもらうと、最初に聞かれたのは宿屋のランクだった。


「この街の宿屋は、AランクからEランクまであります。どのランクになさいますか?」


「Aランクでシングルを4部屋お願いします」


「Aランクは、最高級ホテルです。かなりの宿泊料となりますがお支払いできますか?」


案内所の女性職員は、カルルの決して裕福そうではない服装を見てそう声をかけたが、カルルは財布に入っている数十枚の金貨を見せるとこう切り出した。


「この辺りに交換所はありませんか。この島で使える金貨に両替したいんです。


案内所の職員は、カルルが持つ金貨を見て一瞬驚きの表情を見せたが、すぐさま笑顔を見せて会話を続ける。


「では、ブライトンハイアットホテルをご案内いたします。この木札をお持ちになり、この案内所の前の通りを街の中央にお進みいただくとブライトンハイアットホテルの案内板がありますので、そちらへお越しください。両替所は、ホテル内にありますのでご利用ください」


「ありがとうございます」


案内所を出て人々の往来でにぎわう街の中央通りを進んでいくと間もなくブライトンハイアットホテルの看板と建物が現れた。


石造りの5階建ての建物で、街の西側にいくつもの大きな建物が連なり、まるで貴族の屋敷のような造りだ。


「かなり高級そうなホテルですな」


「私のお財布では泊まれないわね」


「カルル、私達ってここに泊まるの。凄いところじゃない」


ハンド、パトリシア、アリスが思い思いの言葉を発するが、カルルにとってはお金を出せば泊まれる程度の宿泊所という認識でしかない。


たとえば、今までいくつかの王国で王族と友好関係を築き、そういった城や屋敷に宿泊したことは何度もある。


そういった場所は、お金を出したからといって決して宿泊させてくれるような場所ではない。


カルルは、ホテルの受付でチェックインを済ませると、再び街へと繰り出して遅い昼食をとることにした。


「せっかく遠くの島に来たんだから魚とかべようか」


「賛成、私はエビとかカニとかも食べたい!」


カルルの話に真っ先に賛同したのはアリスであった。


「ハンドさんとパトリシアさんもいいですか」


「ええ、大丈夫です」


「では、また案内所にでもいってお店を・・・」


カルルがそう言いかけた時だった。


ハンドが防壁の腕輪を繰り出して4人の周囲に魔法防壁と物理防壁を展開すると、パトリシアが魔法杖を構えると攻撃態勢に入る。


アリスは一瞬だけ遅れたが、ハンドとパトリシアの行動に合わせるように防御態勢をとりながらカルルの体を守るような行動に出ていた。


「おい、どうしてお前達がここにいるんだ!」


街の中央を通る道の先には、どこかで見た人物が立っている。


カルルがハンドとパトリシアが並んで立っている隙間さから顔を覗かせると、麻薬の精製所で暴れたあの冒険者が見える。


「お前達のせいで精製所は木っ端みじんだよ。俺達は護衛の仕事から魔法薬の運搬というクソつまらない仕事に回されたんだ。その責任を取ってもらうからな」


男が言い放った言葉にハンドが反論する。


「それはおかしい。あの施設を破壊したの攻撃魔法だ。あんたが繰り出した雷撃で備蓄してあった麻薬が誘爆したんだ。俺達は一切の攻撃魔法を使っていない」


「うるせえ。そんなこたあ聞いちゃいねんだよ。大体お前達が現れなけりゃあんなことにはならなかったんだよ!」


男は、構えた剣から雷撃をカルル達に向かって放つ。


だが、ハンドが展開している魔法防壁により雷撃ははじかれ霧散していく。


「ほお、俺様の雷撃をはじくなんざ、なかなかの魔法防壁じゃねえか。こいつは楽しめそうだ!」


男は剣を構えなおすと腕にはめた魔道具を使って何かを始める。


「あれって麻薬を使うんじゃないのかな」


「そういえば、あの麻薬精製所でも魔道具を使った瞬間から攻撃魔法が格段に強くなりましたね」


あの日の夜、アリスとパトリシアは飛空艇の残っていて知らないが、カルルとハンドは麻薬精製所を襲撃した時、目の前に立つ男が麻薬を使い、強力な攻撃魔法を繰り出していた。


「タイミングを見計らって逃げた方がよさそうだね」


「ですが、あの男が周囲にいる見物人に向かって雷撃を放ったりしたら大惨事になります。うかつに逃げ出すのは危険です」


カルルの言葉にハンドが反論をする。


確かにカルル達や雷撃を放つ男の周囲を取り囲むように見物人が壁を作っていて、その中を逃げれば目の前に立つ男は見物人にも容赦なく雷撃を放ってくるのは目に見えていた。


そして雷撃を放つ男の後ろには、いつの間にか3人の男女が立っていて男に何か話しかけている。


「まずいです。仲間が合流したようです。4人を相手にするのは危険です」


「仕方ない。飛空の腕輪で空に逃げるしかないね。みんな準備して!」


4人は腕に装備した飛空の腕輪に魔力を込めると、雷撃のタイミングを見計らいながら空へと飛び出す間合いを探し始めた。




◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:264

 1000艇まで残り736


◆カルルが創った飛空艇の内訳

 ・飛空艇試作一号艇

 ・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用

 ・飛空艇試作三号艇 ※カルルが使用


◆北ラルバード大陸


王国向け飛空艇

・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)

・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇

・ハイリシュア王国軍向け飛空艇 80艇(通常型30艇、戦闘型50艇)

・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)

・マレーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)

・カヌーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)


錬金術ギルド用飛空艇

・グランドマスター用兼商談用戦闘型飛空艇

・薬草栽培兼治療用飛空艇

・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇

・トーデスインゼル(死の島)物資補給用飛空艇 2艇

・遊覧用飛空艇 4艇


◆北コルラード大陸


王国向け飛空艇

・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)


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