No.080 地図の魔石
カルルは、ハイリシュア王国に飛空戦艦3隻を貸し出し、搭乗員の訓練を行ったあとベルラード大陸へと向かった。
ベルラード大陸に向かった理由はふたつ。
ひとつは、ベルラード大陸に着陸しているという惑星防衛システムがふたつあり、その魔石の交換に向かうためだ。
もうひとつは、ベルラード大陸にあるというヴィスターク王国に行って魔法薬(麻薬)がどのように使われているのかを確かめるというものだ。
ただ、ヴィスターク王国に行ったところで諜報活動などしたこともないカルルが、魔法薬(麻薬)について何か調べることができるのかは疑問ではある。
つまりヴィスターク王国に行ってから考えるという考えなしの行動であった。
ヴィスターク王国は、ベルラード大陸という場所にあることは分かっているが、カルル、アリス、ハンド、パトリシアの4人の中でも国の場所を知っている者はいない。
ただ、飛空戦艦内で見つけた地図の魔石によりベルラード大陸の何処にヴィスターク王国があるのかは把握できた。
不思議なことに地図の魔石には、ふたつの惑星防衛システムが着陸している場所が記されていた。
「何だか女神様の作為を感じる。恐らくだけど女神様は、この場所に行けって言ってるんだよね」
飛空艇に取り付けた地図の魔石が映し出した地図には、この星の全大陸とその大陸に存在する全ての国と地域の名前、さらに何処に国境線が引かれていてどの国が友好関係にあり、どの国が敵対関係にあるのかが示されていた。
この地図の魔石を飛空戦艦の艦橋で見つけた時には、既に魔石は壊れていた。
カルルが所有するスキルの中に"魔石の組成複製"というものがある。
魔石なら破損していようか破片であろうが構わず、左手に魔石の破片を持ちスキルを発動すれば右手に完全な形の魔石を錬成できるというものだ。
魔石にはレベルというものが存在する。
このレベルが高いほど魔石の能力が向上するのだが、魔石のレベルを上げるためにはその魔石の錬成を数十回から数百回は行う必要がある。
この"魔石の組成複製"で錬成した魔石は全てレベル1から始まるため、魔石の能力は最低限といったところだ。
だが、カルルが所有する"知恵の魔石"は、カルルが錬成した魔石を錬成リストに登録し"知恵の魔石"のリストから魔石を錬成するとレベル5から魔石を錬成できるチート魔石である。
通常、錬金術師が持つ魔力量や魔石の錬成速度から、生涯に錬成できる魔石は数百が限界と言われており、魔石がレベル5以上になることは稀であった。
また、ひとりの錬金術師が錬成できる魔石の種類は1~2種類であり、ひとりの錬金術師が錬成できる魔石の種類が3種類を超えることは稀である。
カルルは、”知恵の魔石”の能力を用いて魔石の種類と能力の高い魔石の錬成を早期に実現していた。
さて、カルルが地図の魔石の魔法術式を開き、魔石の能力を調べていくと例の言葉を見つけることができた。
それは"情報取得先:惑星防衛システム"というものだ。
つまり、地図の魔石はカルル達が住んでいる星の遥か外を飛び、この星に落下する隕石を阻止するために1000年以上前に作られた惑星防衛システムから世界中の地図情報を収集していることになる。
さらに、カルルが錬成した地図の魔石には、カルルの飛空艇の位置が常時映し出されている。
この地図の魔石が映し出す地図を見れば、飛空艇が何処にいて何処に向かっているのかを把握でき、さらに向かう先を指定すれば安全な航路を示したり、回避する危険地帯が映し出されたりする。
かなり便利な魔石ではあるが欠点もあった。
目的地を指定する場合の条件に何を選ぶかで候補に挙がる航路がかなり変わるのだ。
例えば例として上げると飛空艇が飛ぶ高度だ。
例えば高度1000mで目的地まで飛ぶという条件を指定すると、山脈などは迂回する航路を示される。
また、高度1000mを飛行した場合、敵対する国家の上空を飛ぶと戦闘のリスクがが増大するため、敵対する国家の上空を迂回する航路が示される。
さらに空を飛ぶ魔獣が生息する地域を飛ぶ場合、その地域を迂回するのかリスクを承知で魔獣の生息地域の上空を飛ぶのかなどを指定しなければならず、数えるだけできりがないのだ。
なので地図の魔石を使って航路を検索する場合は、あまり条件を指定せずに使うことをカルルは選択した。
地図の魔石は、空を飛ぶ飛空艇だけで使える訳ではなく、地上を徒歩で移動する場合にも使える。
さらにカルルが凄いと感じたのは、この世界のあちこちに点在する迷宮内の地図までも示されているところだ。
これについては、元冒険者だったハンドとパトリシアも目を疑っていた。
「世界中の迷宮のどの階層であってもマップが事前に示されるのであれば、この地図の魔石の価値は想像を絶するものになります」
そう興奮気味に話したのはハンドであった。
しかも迷宮内のマップは、眺めていると常時変更されることが分かった。
つまり迷宮によっては階層内の順路が絶えず変更され、それを地図の魔石は即時反映していることになる。
また、世界中の国々で起きている戦争により国境線が変更される場合も、世界規模で即時反映されていた。
「この魔石を冒険者ギルドに売ったら恐らく金貨1万枚でも買うと思います。それくらい貴重な魔石です」
カルルにとっては、地図の魔石の貴重さは理解できなかったものの、ハンドやパトリシアが暇な時間がある度に迷宮内のマップを眺めている姿はとても不思議に映った。
さて、カルルの飛空艇はベルラード大陸に向かって大海原に浮かぶベイランズ諸島に向かっていた。
このベイランズ諸島は、ラルバート大陸とベルラード大陸の中間に位置しており、諸島内にダンジョンが存在するためベルラード大陸の冒険者が多く利用するらしい。
こういった情報も地図の魔石から得られ、かなり重宝する魔石であることが分かった。
そして大海原を飛行するカルルの飛空艇は、あと半日も飛べばベイランズ諸島へと到着する位置に来ていたが、そこにはカルルとハンドが遭遇したあの冒険者チームも飛空艇で来訪していた。
◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法
・土魔法
◆飛空艇を創るために必要とされる魔法
・強化魔法
・固定魔法
◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など
・浮遊の魔石
・飛空の魔石
・魔力の魔石
・魔道回路
◆カルルが創った飛空艇
飛空艇:264
1000艇まで残り736
◆カルルが創った飛空艇の内訳
・飛空艇試作一号艇
・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用
・飛空艇試作三号艇 ※カルルが使用
◆北ラルバード大陸
王国向け飛空艇
・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)
・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇
・ハイリシュア王国軍向け飛空艇 80艇(通常型30艇、戦闘型50艇)
・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)
・マレーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)
・カヌーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)
錬金術ギルド用飛空艇
・グランドマスター用兼商談用戦闘型飛空艇
・薬草栽培兼治療用飛空艇
・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇
・トーデスインゼル(死の島)物資補給用飛空艇 2艇
・遊覧用飛空艇 4艇
◆北コルラード大陸
王国向け飛空艇
・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)




