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No.074 ゴーレムの飛空艇創り

新年の仕事が始まったら、また23時まで仕事。

帰宅は深夜の1時過ぎ。キツイ。

これだと趣味のキャンプにも行けない。

カルルがハイリシュア王国の王都を奪還した日、国王代理であるグレースの居城へ飛空艇で戻り、王都を占領していた飛空戦艦と飛空艇部隊の全てを破壊したことと、合わせてて王都を占領しいていたマディソン王太子殿下の地上軍の全てが撤退したことを伝えた。


カルル達は、飛空艇で王都に戻るとマディソン王太子殿下の軍勢が再び王都に攻め入らないように警戒を続けていたが、王都を奪還してから10日を過ぎてもマディソン王太子殿下の軍勢はやってこなかった。


それどころか、国王代理のグレース率いる軍勢も未だ王都に姿すら見せないといったありさまである。


ハイリシュア王国の王都を守っているのは、カルルの飛空艇たった1艇のみだ。


王都の住民は、戦火を恐れて他の都市へと避難していて、住民がひとりもいないゴーストタウンと化している。


国王代理のグレースの軍勢からは、1日に1回だけ飛空艇がやってきて連絡を行ってはいるものの、直ぐに帰ってしまう。


どうして誰も王都に来ないのかをカルル、アリス、ハンド、パトリシアの4人で協議した結果、王都に暗黒龍が居座るのが恐怖以外の何物でもないのではという結論に達した。


仕方なく錬金術ギルドのグランドマスターに転送の小箱で手紙を送り、状況報告を行ったところ数日後には王都にグランドマスターが飛空艇でやってきた。


城壁の上に着陸した飛空艇から降りてきたのは、錬金術ギルドのグランドマスター、秘書、護衛の2人、飛空艇の操術師2人の合計6人だった。


「おや、手紙には城壁に暗黒龍が居るって言ってたから、楽しみにしてきたんだが何処にも居ないようだね」


「僕の頭の上に乗ってる梟がそうです」


「この小さな梟が暗黒龍なのかい?」


「いつもは、僕の頭の上とか服のフードの中で寝てます。普段はとても大人しいので背中とか撫でてあげると喜びますよ」


「暗黒龍は、お前さんがティムしたのかい?」


「ティム?まさか、僕は土魔法と魔石の錬成のスキルはありますが、龍族をティムできるスキルなって持ってませんよ。暗黒龍さんとは、利害関係が一致したのでお互い協力し合ってる間柄です」


「へえ、龍族と利害関係を一致させるっていったいどんな交渉をしたんだい?」


「まあ、それはおいおいお話します。それより国王代理のグレース様は、いつになったら王都に来るんでしょうか」


「それなんだがね。貴族連中が暗黒龍が居座る王都は危険だから行くなって騒いでいるんだよ」


「やっぱり、そんなことだと思ったんです」


「そういえば、城壁の上に飛空艇が並んでいるが、これは全部完成したものなのかい?」


城壁の上には、完成した飛空艇が20艇ほど並んでいて、アリスが動作検証として飛空艇を飛ばして動きを確認したり、ハンドとパトリシアが交代で、飛空艇の武装である魔道砲で城壁の外に設置した的を射抜いたりしている。


本来、ハンドとパトリシアの仕事は、カルルの護衛で飛空艇の武装の動作検証ではないのだが、敵対勢力がひとりもいない王都の城壁の上で警戒任務を続けてもむなしいというので作業を手伝っていた。


城壁の上では、1体のゴーレムが飛空艇創りとして、飛空艇の床を創り、躯体を創り、2階の床を創り、外壁を創り、内壁を創り、魔道回路を創るなど、錬金術師でも出来ない作業を行っている。


もう1体のゴーレムは、城壁の上に置いたテーブルの上で魔石を錬成して並べている。


こちらも他の錬金術師には出来ない作業である。


「今は、2体の作業用ゴーレムに飛空艇創りと魔石の錬成を行わせています。1日に2艇の飛空艇を創れるようになりました。ただ、ゴーレムが消費した魔力を補充する必要があるので、相応の魔力量がある錬金術師がいないとゴーレムを連日動かすのは無理です」


「1日に飛空艇を2艇も作れるのかい」


「ええ、魔石の錬成も飛空艇創りも全てゴーレム任せなので、僕は魔石の魔法術式の調整をするだけです」


「でもゴーレムが飛空艇を作れるなんて、目の前で見ていても信じられないね」


「ゴーレムは、僕が飛空艇を創る工程をそのまま真似させているだけです。だからゴーレムが飛空艇を創っているというより、僕が土魔石の魔石で事前に行った作業を繰り返し実行させているだけです」


「土魔法の魔石にそんな機能なんてあったのかい?」


「実際には、土魔法の魔石と魔力の魔石を組み合わせて、魔力の魔石で魔法の再実行を行っているので、魔力の魔石を使いこなせないと無理です」


「そういえばお前さん、魔石の魔法術式にも詳しかったね」


「売られている魔法杖などの魔道具の殆どが、魔法術式の設定を全く変えていない物が殆どですからね。錬金術ギルドに所属している錬金術師の皆さんには、魔法術式についてもう少し勉強して欲しいです」


「その辺りは、耳が痛い話だね。うちの錬金術師達にも聞かせてやりたいよ」


グランドマスターがカルルと会話をしているすぐ脇で金属色の2体のゴーレムが飛空艇創りを継続している。


「しかし随分と精巧なゴーレムだね。しかもメイド服なんか着せて図分と可愛がっているように見えるよ」


「ははは、せっかく創るなら美しいゴーレムがいいと思ってたんです」


「ひとつ聞いてもいいかい。ゴーレムの顔立ちがソフィアにそっくりだけど、これには何か意味があるのかい」


「えーと、せっかく精巧なゴーレムを創るなら美人さんを真似ようと思って美人のソフィアさんそっくりにしました」


グランドマスターは、魔石の錬成を行うゴーレムの顔をまじまじを眺めたあと、カルルにこう言い出した。


「ゴーレムを売る気はないのかい。あれだけ精巧なゴーレムなら高額で売れるよ」


「それなんですが、僕は、ゴーレムを4体創りました。戦闘用が2体と作業用に2体です。どちらも素材に特殊な液体金属を使っているので素材が集まりません。それとゴーレムを操るために中継コアという魔石を使っています」


「中継コア、聞きなれない魔石だね」


「以前にお話しした北コルラード大陸で遭遇した空を飛ぶダンジョンが使っていた魔石です。これはダンジョンコアにもなる魔石なんですが、ダンジョンコアに操る魔獣としてゴーレムを登録しておくと周囲50kmまでならゴーレムを操ることができます」


「ほう、50kmを超えたらどうなるんだい?」


「ゴーレムを操ることができなくなります。物凄く単純な行動を反復させるだけなら距離は関係ないみたいですが、そんな事をゴーレムにさせたところであまり意味がないと思います」


「お前さん、ダンジョンコアを扱えるって言ってたけど本当かい?」


「ダンジョンコアの初期段階では10体の魔獣を登録して操ることができます。これだと消費する魔力量も少ないのですが、次の段階に進むと100体の魔獣を操ることができます。ただ、消費する魔力量も跳ね上がるようです」


「魔力量は増えるがゴーレムも100体は操れるってことだね」


「ただし、ゴーレムを操る者の頭の中に100体のゴーレムの操作状況が勝手に入ってきます。それを操るのは人間には不可能です。僕はゴーレム1体で限界だと感じました」


「そんなに大変なのかい。でもダンジョンコアって言うくらいだから魔獣を生み出したりもできるのかい」


「できます。今は魔獣生成の機能を使わないようにしていますが、これを使えるように魔法術式を変更すると、吸収した魔力量に応じて無限に魔獣を生み出します。そうなったらもう世界中に魔獣が溢れ出します」


「だからゴーレムを売らないって言ってるんだね」


「そうです。錬金術ギルドが魔獣を生み出す魔石なんて売ったら世界の終わりですよね」


「お前さんの言う通りだよ」


だが、グランドマスターの視線は、飛空艇を創る精巧なメイド姿のゴーレムに釘付けだ。


「ゴーレムは、売りませんよ」


「分かってるよ。分かっているけど実に惜しいよ。こんな精巧なゴーレムなんて見たことないよ」


グランドマスターは、ゴーレムを売ることを諦めたのか、今は城壁から人気のない王都の街並みを眺めている。


この王都を占領したマディソン王太子殿下の飛空艇部隊をたった1日で退けた少年は、今は城壁の上で完成した飛空艇の魔法術式の調整を行っている。


グランドマスターは、城壁の外に視線を移すとそこには穴だらけになった3艇の飛空戦艦が並んで置かれている。


それを目にしたグランドマスターは、ある疑問が浮かび飛空艇内で作業をするカルルに質問を投げかける。


「城壁の外に並んでいる飛空戦艦は、壊れているようだが修理でもするのかい?」


「はい、艦橋に大穴が空いていたり外壁に沢山の穴が空いていますが、空を飛ぶための魔石と魔力を送る魔道回路は修理したので飛ぶだけなら問題ありませんが、さすがに穴だらけだと見た目が悪いですよね」


「修理した飛空戦艦はどうするんだい?」


「アリーシュ王国とアリーア王国の国王陛下に伝手があるので、安く貸し出そうかと考えています。正直なところ飛空戦艦なんてあったところで大した戦力にはならないと思うんですが、見た目だけは強そうに見えるから需要はあると考えています」


「お前さん、あれを量産はできるのかい」


「量産ですか。できると思います。でもゴーレムの一撃で破壊できるので、戦力にはならないですよ」


「ゴーレムの一撃ねえ」


「欲しいなら貸し出しますよ。でも動かすのに消費する魔力量も多いし、乗組員の数も訓練も必要なので軍事予算を捻出できる国が運用する代物です」


「まあ、そうだろうね」


グランドマスターは、金の生る木を目の前にしながら、全く手が出せない状況に思わずため息をついた。


誰もいない王都をぐるりと囲む城壁の上に立ち、間もなく陽が沈む光景をながめながら、目の前で作業を続ける少年と錬金術ギルドの今後をどうするかを考えるが、妙案は何も浮かばない錬金術ギルドのグランドマスターであった。


「皆さん、陽も暮れたので夕食にしましょう」


カルル達は、城壁を降りると人気のない王都の街の隅にある宿屋へと向かう。


「王都の城壁の門は全て閉じられているので、魔獣が街に侵入してくる心配はないので安心してください。こちらには暗黒龍さんもいるので、マディソン王太子殿下の軍勢は攻めてこないと思います」


カルル達は、城壁から降りると角地にある宿屋へと入った。


「この宿屋は、誰もいないので勝手に使わせてもらっています。簡単な食事も用意したので皆で食べましょう」


人気の無い王都でこの宿だけ灯りがともり、1階の食堂でテーブルを囲み食事をとりながら談笑する面々。


国王代理であるグレースが諸侯を説得して王都へとやって来るのは、この日からさらに数日後の話となるが、ハイリシュア王国内では、暗黒龍の存在が王国の明日を決める最重要課題となっていることをカルルは知るよしもなかった。




◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:174

 1000艇まで残り826


◆カルルが創った飛空艇の内訳

 ・飛空艇試作一号艇

 ・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用

 ・飛空艇試作三号艇 ※カルルが使用


◆北ラルバード大陸


王国向け飛空艇

・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)

・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇

・ハイリシュア王国軍向け飛空艇 30艇 ※ハイリシュア王国 ← ハイザバード王国 (国名誤り)

・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)


錬金術ギルド用飛空艇

・グランドマスター用兼、商談用戦闘型飛空艇

・薬草栽培兼治療用飛空艇

・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇

・トーデスインゼル(死の島)物質補給用飛空艇 2艇

・遊覧用飛空艇 4艇


◆北コルラード大陸


王国向け飛空艇

・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)


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