表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/80

No.073 梟と暗黒龍

カルルの飛空艇は、ハイリシュア王国の王都を占領したマディソン王太子殿下率いる飛空戦艦と飛空艇部隊をたった1日で退けたが、王都は依然としてマディソン王太子殿下率いる地上軍により占領されたままだ。


カルルのお目付け役として随伴してきた2艇の飛空艇は、国王代理のグレースの元へ慌てて状況報告へと向かった。


「お目付け役もいなくなったし、あとは飛空戦艦2隻と飛空艇を20艇ほど破壊すれば僕の契約満了なんだけど、敵を探しにいかないといけないのが面倒かな」


カルルがまたまた面倒だとぼやいている。


「でもハイリシュア王国軍が歯が立たなかった飛空戦艦をあっという間に破壊したのは凄いわ」


「戦ったのは僕じゃなくてゴーレムだから」


「でもゴーレムを操ったのはカルルなんだから、やっぱりカルルは凄いわ」


「そうかな。でもゴーレムを操って戦うって以外と難しかった。これだと2体を同時に操るのは無理かな」


「カルルは、まだゴーレムを作る気でいたの?」


「だって複数のゴーレムを操て戦うとかロマンあるよね」


「ロマンねえ。まあ、言ってることは分かるけど」


アリスとカルルが飛空艇内で会話をしている頃、王都を占領したマディソン王太子殿下率いる地上軍は大混乱に陥っていた。


「飛空戦艦が破壊されました!」


「飛空艇部隊は、全滅です!」


兵士から状況報告が上がってくる度に、最悪の状況であることが王都を占領している地上軍の司令官であるマディソン王太子殿下にもたらされる。


「報告によると、空を飛ぶゴーレム1体により飛空戦艦と飛空艇30艇が破壊されました。今後、我らは上空援護もないまま戦うことになります」


「報告します。王都上空に飛空艇が静止しております。数は1艇。現在、沈黙を守っております」


「その飛空艇が飛空戦艦を攻撃したのか?」


「飛空戦艦を攻撃したのは、空を飛ぶゴーレムですが、そのゴーレムが飛空艇に戻っていくのを兵士が観測しております」


「空を飛ぶゴーレムとは、いったいどんな物なのだ?」


「撃墜された飛空艇の兵士の報告によると、メイド服を身に纏った美人だったとそうです」


「ゴーレムが空を飛ぶだけでも異常事態だというのに、それがメイド姿で美人だというのか!」


「はっ、かなりの美人だと報告が上がっております。ゴーレムとは思えない精巧な作りのメイド姿だったそうです」


「あの、王太子殿下。この際、ゴーレムが美人だとかメイド服姿だとかはどうでもよいのでは?」


「そうだな。命を落とした兵士達に失礼だった」


「王太子殿下。王都の防衛に飛空戦艦と飛空艇を再配置させる必要があります」


「そうだな。だが伝令を出すにも飛空艇は1艇もない。ここは馬を使うしないか」


「しかし、ハイリシュア王国軍に空を飛ぶゴーレムがいるなどという報告はありませんでした」


「他にも何かあると考えた方がよさそうだな。とにかく空を飛ぶというゴーレムを警戒せよ!」


王都を占領する地上軍の司令官であるマディソン王太子殿下は、自身の領地を守る飛空戦艦と飛空艇全てを王都に再配置する命令を下した。


ハイリシュア王国の王都で2度目の戦いは間もなく始まる気配を見せていた。


その頃、カルルはというと地上に着陸した飛空戦艦の艦内を歩いていた。


「飛空戦艦が穴だらけで艦内に差し込む陽がキレイだね」


「飛空艇が魔石砲を手あたり次第に撃ってましたからね」


「飛空戦艦を修理する者の事を考えて攻撃してほしいなあ」


カルルは、ゴーレムによって床に穴が開けられた艦橋に入ると、操術卓に埋め込まれた魔石をひとつづつを鑑定していく。


「目新しい魔石といったらこの空間転送の魔石と地図の魔石くらいかな」


「カルル、飛空戦艦を修理できそう?」


「多分できると思うけど、ちょっと時間かかるかな」


カルルが飛空戦艦の艦橋で修理を始めた頃、王都に向かって移動する飛空艇部隊がいた。


マディソン王太子殿下の領地を守っていた飛空艇の主力部隊だ。


「現国王軍の上層部に内通者を紛れ込ませておいて正解でした」


「まさか王都を守る飛空戦艦を飛空艇1艇で落とせるとはな」


「国王代理が戦力として投入したのが錬金術だという情報を聞いた時は、我らをバカにしているのかと思ったが、飛空戦艦を破壊できる者が相手となると、考えを改める必要がある」


「我々がやることはひとつです。全飛空艇をもってこれを撃滅するまでです」


「全飛空艇は、所属不明の飛空艇と空を飛ぶゴーレムに警戒せよ。敵はゴーレム1体だが強い。心してかかれ」


飛空艇部隊を指揮下に置く司令官とその副官は、王都の上空でカルルと間もなく対峙することになるが、ここに来て飛空艇部隊の敵がひとつだけでない事をまだ知る由もなかった。


・・・・・・


<カルル、敵が近くに来ておるぞ>


「えっ、敵、敵ってまさか・・・」


<これと同じ飛空戦艦2隻がこちらに向かっておる。それと小さいのも50艇ほどおるな>


「数日は時間を稼げると思ったんだけど無理だったか・・・」


<お主は、ゴーレムとやらでここを守っておれ。わしが飛空艇とやらと遊んでくる>


そう言い残すとカルルの頭の上で寝ていたはずの梟は、艦橋の壊れた窓から外へと飛んでいく。


「あっ、梟さん!」


カルルの頭に直接話かけてきたのは、梟に姿を変えた暗黒龍である。


「梟さん飛んで行ったけどいいの?」


「飛空戦艦と飛空艇の部隊が近くまで来てるみたい。暗黒・・・いや、梟さんが飛空戦艦と戦うって」


「えっ、ちょっと待ってよ。あんな小さな梟がどうやって飛空戦艦と戦うのよ!」


カルルとアリスの会話していると、空へと舞い上がった梟がいきなり巨大な龍の姿へと変化すると空に透明な道でもあるかの様に、4本足で空を駆け抜けていく。


「カ、カルル。梟が巨大な魔獣になったんだけど!」


「ああ、梟さんは元々暗黒龍だから。あれが本当の姿なんだ」


「やっぱり。空を飛ぶダンジョンの時にカルルの前にいた暗黒龍の姿が突然消えたから不思議に思ってたけど」


「まあ、いろいろあってね」


「いろいろってどんな理由なの?」


「暗黒龍さんは、ダンジョンに捉えられて自由を奪う隷属の魔石を額に埋め込まれていたんだ。それで僕が空を飛ぶダンジョンを破壊したことで隷属の魔石が外れたんだ」


「隷属の魔石って、奴隷の自由を奪って命令を強制させる魔石のことよね」


「暗黒龍さんには、僕がこの星に落ちてくる巨大隕石を破壊しないと、この星に住む生き物が全て滅ぶって話をしたら、協力してくれるっていうので僕と行動を共にしてるんだ」


「えーと、つまり仲間とかいうのではなくて、協力者なのね」


「そう。それと暗黒龍さんが生きていくために必要な魔力を僕が少しばかり融通してあげてる」


「つまり、カルルと暗黒龍と利害関係が一致していて暗黒龍に魔力を供給し続ける限りは、安全なのね」


「そんな感じかな」


カルルとアリスの会話を横で聞いていたハンドとパトリシアの首を縦に振り頷いている。


さて、王都の近くに現れた飛空戦艦と飛空艇部隊に向かって空を駆ける暗黒龍はというと、何もない空中にまるで自身専用の透明な道でもあるかのように猛烈な速さで疾走していた。


そして目の前に現れた飛空艇に向かって黒い霧のようなブレスを吐くと、飛空艇の外壁が砂のように崩れていく。


飛空艇は、空を疾走する暗黒龍に向かって魔石砲を放つも、暗黒龍の体の周囲に張り巡らされた防壁により、魔石に充填された攻撃魔法が発動することもなく、魔石は地上へと落ちていく。


飛空艇は、暗黒龍のブレスより砂の塊となって次々に地上へと落ちていき、飛空艇を操っていた兵士の体も砂のように崩れていく。


さらに暗黒龍は、空中を飛ぶ飛空艇に接近すると両手の鋭く大きな爪をそれに突き刺し、空の遥か彼方へと投げ飛ばしていく。


無造作に投げ飛ばされた飛空艇は、地上へと落下すると外壁が粉々に砕けて地上に破片をばら撒きながら転がっていく様は、まるで川に平らな石を飛ばして水の上を跳ねる遊びを楽しむ子供の姿にも見えた。


飛空艇の数は徐々に削られていき残すところ10艇を切った頃、2隻の飛空戦艦の魔道砲が暗黒龍に向かって一斉に放たれた。


「全主砲であの化け物を打ち抜け。どんなに防壁が強固だろうが2隻の飛空戦艦の魔道砲を撃ち続ければ、たとえ化け物でも力尽きる!」


飛空戦艦の艦長は、艦橋で兵士達に命令を発しながら主砲である魔道砲の連射を命じた。


だが、それも暗黒龍の防壁に阻まれ空中に霧散していく。


飛空戦艦の魔道砲は、暗黒龍には全く無力であった。


そこにきて飛空戦艦の艦橋で周囲を警戒していた兵士が接近中する何かを探査の魔法で発見する。


「何かが高速でこちらに向かって接近中、速い。速すぎる。鑑定・・・ゴーレムです!」


兵士の叫びにも似た言葉が発せられると同時に、接近中のゴーレムの姿は飛空戦艦の艦橋からも目視で捉えることができた。


「来ました。正面に視認。真っ直ぐ突っ込んできます!」


カルルのゴーレムは、時速500kmで空を飛びつつ体の周囲に分解魔法の防壁を張り巡らせ、飛空戦艦の艦橋に向かって直撃コースを進む。


そして飛空戦艦が展開する防壁を分解魔法の防壁で破壊し、そのまま艦橋に向かって直進すると飛空戦艦の艦橋は無残に粉砕されていく。


飛空戦艦の艦橋には、艦長と10名以上の兵士がいたが、ゴーレムが艦橋に体当たりした衝撃により艦橋の外へと投げ出された。


制御を失った飛空戦艦は、徐々に高度を下げながら地上へと落下していく。


「僚艦、ゴーレムの直撃を受けて艦橋が大破、落下していきます。ゴーレムは我が艦に向かってきます」


もう1隻の飛空戦艦は、暗黒龍に全主砲を放っていて飛来したゴーレムに対して攻撃を行う余裕はない。


「ゴーレム至近、ゴーレム至近!」


兵士の悲痛な叫びにも似た声が飛空戦艦の艦橋に響き渡った瞬間、飛空戦艦の艦橋はゴーレムの体当たりにより粉砕され破片をまき散らしながら地上へと落下していく。


飛空戦艦2隻は、ゴーレムが艦橋を粉砕したことであっけなく沈黙した。


そして暗黒龍に向かって魔石砲を放っていた50艇の飛空艇は、最後の1艇が暗黒龍のブレスを浴び砂の塊ととなって地上へと降り注いだ。


王都の空は、先ほどまでの喧騒とはうって変わり静かな空へと戻ったが、地上には爆散した飛空艇や地上へと落下した飛空戦艦が散乱していて、戦いが一方的であったことを告げている。


その一方的な戦いを王都の城壁から目の辺りにした兵士達は、恐怖と絶望に飲み込まれ我先にと城壁から城の外へと逃げ出していく。


王都の城壁には、そこを守るはずであった兵士の姿はなく、空から舞い降りた暗黒龍と金属色のゴーレムの姿があるだけであった。


「どうやら戦いは終わったみたい。飛空戦艦3隻と飛空艇50艇の破壊も出来たことだし、契約もこれで満了かな」


「探査の魔石で結果を見ていたけど、ここまで一方的な戦いになるなんて暗黒龍の力は凄いわね」


「暗黒龍もそうだが、ゴーレムの一撃で飛空戦艦を沈黙させるのはさすがに反則ではないか」


「戦いに反則などというものは存在しないけど、ここまで戦力差があると反則って言いたくなるわね」


飛空艇で王都の上空へとやってきたカルル達は、暗黒龍とゴーレムによる戦いがどれだけ理不尽であるのかを目の当たりにしていた。


カルルのお目付け役として王都に戻ってきたお目付け役の2艇の飛空艇は、王都がたった1日で解放されたことを国王代理のグレースへと伝えるべく慌ただしく飛び立っていく。


ハイリシュア王国の王都奪還は、カルルのゴーレムと暗黒龍によりたった1日で終わった。


王都の城には、マディソン王太子殿下の姿はなく兵士達と共に逃げ出したようだ。


カルルのゴーレムと暗黒龍の力は強大すぎ、それを恐れる現国王軍から非難を浴びることになる。




◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:174

 1000艇まで残り826


◆カルルが創った飛空艇の内訳

 ・飛空艇試作一号艇

 ・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用

 ・飛空艇試作三号艇 ※カルルが使用


◆北ラルバード大陸


王国向け飛空艇

・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)

・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇

・ハイザバード王国軍向け飛空艇 30艇

・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)


錬金術ギルド用飛空艇

・グランドマスター用兼、商談用戦闘型飛空艇

・薬草栽培兼治療用飛空艇

・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇

・トーデスインゼル(死の島)物質補給用飛空艇 2艇

・遊覧用飛空艇 4艇


◆北コルラード大陸


王国向け飛空艇

・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ