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No.065  惑星防衛システム

相変わらず残業続きで帰宅が深夜。

カルルが頭に梟を乗せて平原に立ち尽くしていると、1艇の飛空艇が現れた。


飛空艇が平原に着陸するとそこから現れたのは、アリスとハンドとパトリシアであった。


アリスは、走り寄るとカルルに全力で抱き着き、目には大きな涙を浮かべながらお互いの唇を合わせる。


「カルル、本当に生きているのね。魔獣に襲われたりしていないよね」


「うん、大丈夫」


「でも、さっきまでここに龍がいたはずだけど」


「龍?さて、何のことかな?」


アリスの問いにカルルは嘘だと分かるとぼけた表情を見せる。


「そういえばカルルの頭の上に小さな梟がいるわね。どこで見つけたの」


「ダンジョンの中にいたんだ。梟も魔獣に襲われていないから安心して」


アリスは、カルルが怪我をしていないか体のあちこちを注意深く触りながら会話を続けている。


「アリス、そこは男の子の大切な場所だから・・・」


「えっ、でもこれが無いとカルルと私の子供ができないじゃない。怪我をして使えなくなってたら困るからしっかり調べないと」


アリスは、なぜかカルルのズボンの上から股間の辺りを念入りに調べていて、その行為に思わず顔を真っ赤にするカルルであった。


「カルル殿、ダンジョンコアを破壊したんですか」


駆け寄ってきたハンドが、草原の先で動かなくなった巨大なダンジョンに視線を送りながら、カルルに言葉を投げかける。


「魔力の魔石を投げ入れたけど、ダンジョンの飛空艇に奪われたから、知恵の魔石を代用してダンジョンコアを破壊したんだ」


「知恵の魔石を使ったんですか。それは豪儀ですね」


「魔力の魔石だと大爆発を伴うんだけど、知恵の魔石だと閃光と魔石の破壊だけで済んだみたい。それに予備の知恵の魔石を使ったから特に問題ないよ」


そこまで言ってカルルは、あることを思い出した。


「そういえば、飛空艇の魔石は大丈夫でした?」


「大丈夫です。私達も閃光を見て危険だと思ったんですが、飛空艇の魔石に影響はありませんでした」


ハンドに代わりパトリシアが飛空艇の魔石には問題が無かったことをカルルに告げる。


「ダンジョンは、地上に落下したからダンジョンコアは破壊された思うけど?調べに行く?」


「それは、誰かに任せましょう。我々はダンジョンコアを破壊した。その事実だけで十分です。これ以上我々の命を危険にさらす必要もないでしょう」


3人が飛空艇に乗り込む姿を見ながらカルルは地面に落ちている魔石の破片を拾う。


それは、暗黒龍の額に付いていた隷属の魔石の破片だ。


その魔石を拾ったカルルの口角が少しばかり吊り上がったことは誰も知すはずもない。


4人が飛空艇に乗り込み、草原から空へと舞い上がるとユグドリア王国の飛空艇5艇がカルルの飛空艇を出迎え、編隊を組みつつユグドリア王国へと帰還した。


ユグドリア王国で、空を飛ぶダンジョンのダンジョンコアを破壊した事を国王代理となったルイーゼに伝えると、ルイーゼは安堵した表情を浮かべてカルル達に感謝を伝え、王国の危機を救った英雄としてカルル達に勲章を贈ることを決意する。


さらに王国の防衛に飛空艇30艇と対魔獣用に分解魔法の魔道具200個を発注することカルルに伝える。


ユグドリア王国内では、王都を襲った魔獣が残っていないかの調査が至る所で行われていたが、その調査に使われる飛空艇と魔獣を討伐する魔道具が足りないのだ。


まずは、国民の安全を最優先に掲げた国王代理のルイーゼは、ユグドリア王国の避暑地にある高級な宿屋を貸し切り、カルル達をそこに宿泊させると飛空艇と魔道具の製作を最優先とした。


カルルは、飛空艇創りを始めると朝早くから深夜まで作業に没頭し、自身の飛空艇内で雑魚寝をするのがもっぱらである。


ハンドとパトリシアは、カルルの護衛として錬金術ギルドから派遣されているため、カルルの傍らで交代しながら周囲の警戒にあたる。


アリスはというと、完成した飛空艇の操術を兵士に教える役回りのため、最初は暇で飛空艇が完成すると徐々に忙しくなっていく。


そのため、飛空艇創りの最中は宿屋を貸し切りにされても、そこで寝泊まりすることはなく、宿屋で作られた食事もカルルの飛空艇内に運び入れて開き時間に食べていた。


なので食事に時間をさくことはできないため、直ぐに食べられる簡単な食事へと変わっていた。


1艇の飛空艇を創るのに要する時間は概ね2日。


飛空艇の船体と魔道回路作りに1日、魔石作りに半日、魔石の魔法術式の変更に半日といった感じだ。


飛空艇の大きさは高さが5mで幅が4と、巨大な壺や樽に近い形であるため、大きな倉庫でもないかぎり屋内で創ることは出来ない。


そのため、屋外での作業が普通となるが暑い日や寒い日、雨が降っている時は、飛空艇内で魔石錬成を優先的に行っている。


完成した飛空艇は、アリスが専ら試験飛行を行い、問題点があればカルルに伝えて修正変更を加えていく。


そんなある日のこと、アリスがこんなことを言ってきた。


「近くの山々の山頂付近に大きなドーナツ状のものがあるわ」


カルルは、アリスが何を言っているのか分からなかったが、飛空艇に取り付けた撮録の魔石に記録された映像を見せてもらうと、確かに山頂近くに大きなドーナツ状の何かがあるのが確認できた。


「飛空艇の探査の魔石と鑑定の魔石で調べたら"惑星防衛システム"って鑑定されたんだけど、カルルは何のことか分かる?」


「えっ、鑑定の結果に"惑星防衛システム"って出たの?」


カルルは、思わずアリスの両肩を掴むとアリスと唇を合わせるくらいの距離に顔を近づけていた。


「そうよ。でも大きさが凄いわよ。ドーナツ状のもので直径が1kmもあるの」


アリスが口にした"惑星防衛システム"という言葉には、カルルも覚えがある。


カルルが創った手紙をやり取りする魔道具に"転送の小箱"というものがあるが、その"転送の小箱"の魔法術式を開くと、中継先として"惑星防衛システム"という名称が出てくるのだ。


さらに知恵の魔石にある魔石の説明にもときたま出てくる言葉なのだが、いまいちそれが何であるかは、カルルも理解してはいなかった。


「飛空艇創りが終わったらそこに行ってみようか」


「3000m級の山々の山頂付近みたいだから、かなり寒そうね」


「何か面白いものでも見つかるといいね」


それから1カ月程が経ち、カルルの飛空艇創りと魔道具創りが終わり、アリスの操術師の訓練も終わりを迎えると、4人は飛空艇に乗り3000m級の山の山頂付近にあるという大きなドーナツ状の物体の見学へと向かった。


それは、確かにドーナツのような形で円の直径が1kmにもなる巨大な人工の建造物だった。


「おお、これだけの大きさのものが、なんで3000m級の山の上にあるんだろう」


カルルは、飛空艇の2階にあるバルコニーに出ると、眼下に見えるドーナツ状の巨大な建造物らしきものを、食い入るように見つめる。


するとカルルの飛空艇の横を複数の人が飛んでいるのが視界に入った。


「えっ、こんな所に人が飛んで・・・」


カルルは、そこで違和感を覚える。


思わず人と口走ったが、よくよく見ると人の姿をしたそれは、体が灰色というか金属的な色であった。


さらに飛空艇内では、操術師の席で飛空艇を操るアリスが何やらあたふたしている。


「あれ、あれ、飛空艇が言うことを聞かない!」


操術席に座るアリスが、必死に魔力の魔石に手を置いて飛空艇の操作を試みてはいるが、アリスの意思とは関係なく飛空艇は、勝手にドーナツ状の巨大建造物らしき方向へと飛んでいく。


カルルがバルコニーから飛空艇内に戻りもうひとつの操術師の席へ座り、魔力の魔石に手を置き魔法術式を開くとその理由が判明した。


<惑星防衛システムからの遠隔操作中>


「アリス。魔力の魔石から手を放していいよ。恐らくだけど、目の前にあるドーナツ状の巨大建造物が飛空艇を操作しているみたい」


カルルの言葉にポカンと口を開けたまま、次の言葉が出ないアリス。


「ハンドさん、パトリシアさん。何かあると怖いから、魔道砲も分解砲も絶対に操作しないでね」


「了解した」


こういった時のふたりの飲み込みの速さは、ダンジョンなどでの経験の蓄積によるものだと感心するカルルであった。


飛空艇は、3000m級の山の山頂付近に鎮座するドーナツ状の建造物らしきものの前へと来ると、外壁が開きカルルの飛空艇はその内部へと入っていく。


ドーナツ状の建造物らしきものの中は、かなり広く飛空艇が100艇は入れる程の広さがあった。


だが、飛空艇は1艇もおらずがらんとした大きな倉庫のような場所だ。


飛空艇は、ゆっくりと床に着陸すると、先ほどから飛空艇と並走して飛んでいた、金属色の人のようなものが外に並んで立っている。


「これは、恐らく外に出て来いということですね」


「まず私達が先に出ます。カルル殿とアリスさんは、後から出てください」


ハンドとパトリシアは、飛空艇の2階から梯子を伝って1階に降りると、飛空艇の扉を慎重に開け放ち、飛空艇の外へと踏み出した。


しばらくしてカルルとアリスが飛空艇から出ると、目の前には4体の金属色の人の姿をした何かが立っている。


「あれってゴーレムじゃないかしら」


「恐らくそうだろうが、空を飛ぶゴーレムなど見たことがない」


「それに、体の色は金属色だけど、造形がまるで人そのものね。あんなに精巧なゴーレムなんてあるのかしら」


ハンドとパトリシアが、お互いの距離を詰めつつ目の前に佇む人の姿をしたゴーレムらしき物に視線を向ける。


飛空艇から出てきたカルルとアリスは、ハンドとパトリシアの間に入ると、目の前に立つゴーレムらしきものに話しかけてみることにした。


「僕は・・・」


<カルル様。よくぞ起こしくださいました。神殿で知恵の魔石を入手された時から、こちらに起こしになるのをお待ちしておりました>


「えっ・・・」


カルルの頭の中に直接話かけてくるその言葉は、ゴーレムが話しているとは思えない軽快さだ。


<カルル様は、錬金術師ゼスト様の次なる錬金術師として選ばれました。カルル様には、この惑星防衛システムで寿命を迎えた魔石を錬成していただきます>


「この大きな建造物が惑星防衛システムなの?」


<はい。この惑星防衛システムは、惑星に落下するであろう巨大隕石を破壊するために、1000年前に建造されたものです。ただ、魔石の寿命は100年と短いため、100年毎に魔石の更新が必要となります>


「その魔石を、僕が錬成するということ?」


<そうなります>


「でも、僕が錬成できる魔石の種類は、大して多くないけど大丈夫?」


<はい、問題ありません。カルル様には、魔石の核となる魔力の魔石、作業を行うゴーレムの魔石、この惑星防衛システムを動かす重力の魔石の3種類を錬成していただきます>


「魔力の魔石は大丈夫だけど、ゴーレムの魔石と重力の魔石は錬成したことは無いのですが・・・」


<心配には及びません。カルル様は、魔石の組成複製のスキルをお持ちですから対応可能です>


アリスとハンドとパトリシアは、カルルが何か一方的にゴーレムと話しをしているように見えていた。


「そうか、これが僕の枕元に立った女神様が求めていたことなんですね」


<そうです。100年毎に選ばれた歴代の錬金術師が、魔石の錬成を行いこの惑星防衛システムを稼働させてきました>


カルルは、ようやくとあの日に女神から言われたことの確信部分に近づいたことを理解した。




◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:174

 1000艇まで残り826


◆カルルが創った飛空艇の内訳

 ・飛空艇試作一号艇

 ・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用

 ・飛空艇試作三号艇 ※カルルが使用


◆北ラルバード大陸


王国向け飛空艇

・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)

・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇

・ハイザバード王国軍向け飛空艇 30艇

・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)


錬金術ギルド用飛空艇

・グランドマスター用兼、商談用戦闘型飛空艇

・薬草栽培兼治療用飛空艇

・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇

・トーデスインゼル(死の島)物質補給用飛空艇 2艇

・遊覧用飛空艇 4艇


◆北コルラード大陸


王国向け飛空艇

・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)


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