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No.019 飛空戦艦の武器

飛空戦艦の武器は、前方に大型のものが3個。


左右側面に小型のものが8個ずつ、その下側にも8個ずつで計19個ある。


武器の場所は、飛空戦艦を管理している王女殿下の侍従から教えてもらった。


カルルが手を付けたのは、最も前方にある大型の武器。


まずは、この武器がどういったものかというと"球"の形をしている。


手で少し押すだけでクルクルと回転する不思議な武器だ。


この武器の中がどうなっているのかをまずは調べる必要がある。


球体は、飛空艇創りと同じで固定魔法の解除をすることで簡単に開けることができた。


球体の内部には、いくつかの破損した魔石と魔道回路があった。


それと3本の筒が束ねる様に並んでいる。


まずは、球体の外側を調べると網目状になった魔道回路が全体を覆っている。


これがどういう意図で作られたものなのかを理解するには、カルルもかなり苦労した。


それは、船体から伸びた魔道回路が球体の真下で皿の様な形をした接点になっていて、球体の網目状になった魔道回廊とこの皿状の接点は必ず接触する仕組みになっていた。


これにより絶えず魔力の供給と魔力と共に送られる目標物を捉えるという命令を魔石に送る事ができるのだ。


網目状の魔道回路から球体の名部へと魔道回路は伸びていて、球体の中央で魔力の魔石と浮遊の魔石へと繋がる。


魔力の魔石は、魔力の備蓄と各魔石へ魔法術式として伝える役割を持つ。


浮遊の魔石は、この球体を浮かせながら回転させる役割を担う。


そして魔道回路はさらに伸びて3個の筒へと繋がっていた。


筒の中はというと魔力の魔石と未確認の魔石が配置され球体の外壁へと向かう。


筒と球体の接点には穴が空いていて、そこにカルルの飛空艇の窓として使われている魔石ガラスがはめ込まれていた。


魔石ガラスは、魔石を薄く平らに伸ばしたもので通常の硝子と比べても遥かに強度がある。


さて、ここで問題になったのが未知の魔石だ。


これがいったい何なのかは謎で武器に取り付けられていたので、攻撃魔法を放つものだとは推測できるものの、魔石は割れているので使い物にはならない。


カルルが錬成できる魔石は、魔力の魔石、浮遊の魔石、飛空の魔石、屑魔石の4種類のみ。


割れた未知魔石を手に持ち魔力を送り込んでも何の反応も示さない。


カルルのスキルは、飛空艇を創る土魔法と飛空艇を飛ばす魔石の錬成のみだ。


それ以外だと土魔法で創った飛空艇を強固にする強化魔法と魔石を飛空艇に固定させる固定化魔法くらいだ。


どれも壊れた魔石をどうにかできるスキルではない。


浮遊の魔石を初めて錬成できた時は、同じ魔石がなかなか錬成できないという時期があり、その時は左手に作りたい魔石を持ち錬成を行うと右手に目的の魔石が錬成できるといった事象が発生したことで乗り越えることができた。


それを思い出したカルルは、左手に割れた未知の魔石を手に持ち、錬成を試みる。


だが右手に魔石が錬成されることは無かった。


「僕のスキルは魔石錬成だから壊れた魔石の修理は無理なのかな・・・」


そう思いながら左手に持つ壊れた未知の魔石を見ると、魔石の亀裂が無くなっていた。


「あれ、何で?」


試しにそのまま魔石の錬成を行うと、右手には未知の魔石が握られていた。


「魔石が錬成できてる・・・」


その後も何度も未知の魔石の錬成を試してその都度未知の魔石の錬成は成功した。


以前に錬金術ギルドで購入した鑑定の魔石でも同じことを試したところ、左手に魔石を持つと右手に同じ魔石が錬成できた。


ここで分かったカルルのスキルは以下の通り。


・飛空艇を飛ばす3種類の魔石を錬成できる。


・割れた魔石を左手に持ち錬成スキルを使うと魔石を修復できる。


・未知の魔石であっても同じ魔石を錬成できる。


ただし、どんな魔石でも錬成できるかは不明だ。


未知の魔石の錬成は、魔石を新規に錬成したものなのかそれとも魔石を複製したのかは分からない。


ともあれ、未知の魔石が錬成できたことで飛空戦艦の武器の再現に一歩近づいた。


まずは未知の魔石がどんな物なのかを試すことにしたカルルは、腕輪に魔力の魔石と未知の魔石を取り付けてみた。


魔石に魔力を送り込み腕輪を目の前にある岩に向けて攻撃魔法を放つイメージを思い浮かべる。


するとわずかに岩が焦げた程度だった。


「あれ、これが攻撃魔法・・・なの?」


当初の予想よりも遥かに弱い攻撃魔法に思わずがっかりするカルル。


「そういえば、魔石の鑑定がまだだった」


思い出したように鑑定の魔石で未知の魔石を鑑定してみると以外な結果となった。


「魔道の魔石。大量の魔力を消費して無属性の攻撃魔法を放つ。魔力の魔石と連携させることで威力の調節が可能。攻撃魔法の威力は、魔力の魔石で調整する」


「この魔石、魔道の魔石っていうんだ」


この時、鑑定の魔石で初めて魔石の名前を知ったカルル。


「威力の調節?そんなことってできるの?」


カルルは、腕輪に取り付けた魔力の魔石に指で触れてみると"魔法強度:0"と出た。


しかも魔法強度の最大は20まである。


「だったら魔法強度を半分の10に変えてと」


そしてカルルが腕輪の魔力の魔石に魔力を送り込んだ時、後ろからカルルに話しかける者がいた。


「カルル、飛空戦艦の調査って進んでる?」


声の主はアリスだ。


「今から攻撃魔法の実験をするから注意して」


カルルがそう言うと、腕輪の魔石から攻撃魔法を放つ。


すると目の前にあった岩が大爆発を起こして破片が周囲に勢いよく飛び散る。


爆発音と共に煙が充満して周囲が全く見えない。


「けほ、けほ。ちょっと危ない・・・」


そう言いかけたアリスの視界には、血だらけのカルルの姿が飛び込んできた。


「ちょっと大丈夫!」


血だらけのカルルは、もうろうとした意識の中で地面へと倒れ込んでしまう。


アリスは、カルルから渡されていたハイポーションの瓶を取り出すと、カルルの体にふりかけていく。


頭に岩の破片がが直撃したのか頭から顔面まで血だらけで、着ている服も血で真っ赤に染まっている。


倒れたカルルの意識は、なかなか戻らずアリスによって自身の飛空艇へと運ばれた。


目を覚ましたのは、それから2日後になってからのことだった。


「お寝坊さんね。起きられる?」


カルルの血だらけだった体を拭き、血まみれだった服を着替えさせたのはアリスだ。


「カルルは、2日も寝ていたのよ」


「そんなに寝ていたんだ」


「攻撃魔法で爆発した岩の破片を全身に受けて大変だったのよ」


「そう・・・なんだ。全然覚えてない」


「次期国王陛下選定の日まであまり時間が無いみたい。王女殿下と兵士の皆さんは、明日にも王都に向かって飛び立つ予定よ」


「だったら、これから飛空戦艦の武器の試し撃ちに行こう。武器に使われている魔石はかなり威力があるから」


意識が戻ったカルルとアリスは、王女殿下の屋敷の保管庫へと向かい、飛空戦艦の武器の試し撃ちを行うべく海へと向かうことになった。


飛空戦艦の前方に装備された武器に3個の魔道の魔石を取り付け、王太子殿下の屋敷の保管庫から飛空戦艦が飛び立つ。


飛空戦艦には、カルルとアリスのふたりが乗り込み、王太子殿下の屋敷から少し離れた場所にある海へとやってきた。


青い空と海を隔てる水平線があるだけの場所。


遠くに漁をする小舟がちらほら見えるが飛空戦艦の周囲に人の姿はない。


アリスは、飛空戦艦を操る魔力の魔石の上に手を置き宙に浮く巨大飛空戦艦を操る。


カルルは、武器を操る魔力の魔石に手を置き、魔石に向かって攻撃対象となる目の前に広がる海を指示する。


今の飛空戦艦には攻撃魔法を何処に放つのかを他者に示せるものは何もない。


何処を狙うかは、魔力の魔石にその命令を送る魔術師だけが知る。


しばらくして魔道砲は、海面に向かって発射された。


すると巨大な水柱が立ち上がり大雨でも降ったかのようになり周囲が全く見えなくなる。


「凄い威力。私の攻撃魔法と比べちゃいけないわね」


アリスがぼそりとつぶやく。


「撃てるのは、この武器ひとつだけだけど飛空戦艦には、こんな武器が19個も装備されているんだよね。こんな武器が必要だった昔の人達っていったいどんな戦争をしていたんだろう」


カルルのつぶやきに思わず振り返るアリス。


恐らく遥か昔、この様な飛空戦艦はいくつもあったのだろう。


それらを使って戦争を行っていた人達は、何を思いながらこんな武器を作ったのだろうか。


そんな思いがカルルの頭の中を駆け巡る。


カルル達が乗った飛空戦艦は武器の試し撃ちを終わらせると王女殿下の屋敷の正門前へと降り立つ。


これから王都へ向かい次期国王選定の日に向けて移動の準備が始まる。


数百人の兵士の装備と食料を飛空戦艦に積み込むだけで数日を要する。


カルルにとっては、まだまだ知らないことだらけの飛空戦艦だ。


これで王都まで飛ぶのはかなりの不安があるが、あまりのんびりしている時間も無い。


数日後には、この王国の次の国王が決まる。


それを決める一手は、カルルが作った飛空艇と魔道具とこの飛空戦艦だ。


操術室から見える飛空戦艦の船体は巨大だが、もし王女殿下がこの国を動かす次期国王となれば飛空戦艦とは比べ物にならないほどの巨大な国家を動かすことになる。


それを考えれば、カルルの使命はとても小さく思えたが、その小さな使命が次代の国王を決めるのだ。


物資と兵士を乗せた飛空戦艦と10艇の飛空艇は、王女殿下の屋敷を後にすると、グルズ山脈を越えて王都へと向かった。




◆飛空艇の外殻や躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆魔石を創るスキル

・魔石錬成


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:43

 1000艇まで残り957


◆創った飛空艇の内訳

 ・飛空艇試作一号艇

 ・飛空艇試作二号艇

 ・飛空艇試作三号艇


 王国向け飛空艇

 ・アリーア王国向け飛空艇 30艇

 ・アリーシュ王国向け飛空艇 10艇


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