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No.001 女神の導き

誤字・脱字はかなりあると思います。

その辺りはおおらかに見てやってください。

物語の雰囲気を楽しんいただけたら幸いです。


VOICEVOXの合成音声で朗読動画を作ってみました。

作業をしながらや通勤・通学途中に聴いてみてください。


闘う錬金術師。1000の飛空艇を創る。

第1話 女神の導き①

https://www.youtube.com/watch?v=6SnPQVPtaYg

第1話 女神の導き②

https://www.youtube.com/watch?v=JyWw1w2hWQ8

山の麓の森と草原の境界に立つ小さな家。


家というよりも小屋と言った方が正しいほどのボロ屋に住む3人の親子。


元Aランク冒険者の両親とそのひとり息子であるカルルは、家族だけでひっそりと暮らしながら小さな畑を耕し、狩をしながら暮らしている。


小さな畑から雑草を取り終えてふと夕暮れの空を見上げると鳥とは違う何かが飛んでいた。


小さな壺の様なものが夕暮れの空を凧の様にゆっくりと、時にフラフラと揺らぎながら浮いているといった感じた。


「とーさん、あれは何?」


カルルの言葉に空を見上げていた父親が答える。


「飛空艇だな。こんなところを飛ぶなんて珍しい」


「ひくうてい?」


「そうか、カルルは飛空艇を見るのは初めてか」


「あれは、飛空艇といって魔力で空を飛ぶ乗り物だ。恐らく王国のものだろうな」


カルルは、空に浮かぶ小さな壺の様な姿をした飛空艇に目が釘付けになり、その姿を見ていた父親が面白そうに息子の姿を眺めている。


「父さんは、カルルくらいの時に飛空艇の助手をしていた時があったんだ。でも助手でおわっちまったがな」


「ひくうてい・・・」


空に浮く壺の様な形をした飛空艇をずっと見つめるふたりの親子。


「カルルは、飛空艇に乗ってみたいか?」


父親の言葉にカルルがコクリと頷き、次に放った言葉は以外なものであった。


「僕、ひくうていを作ってみたい・・・」


カルルの言葉に思わず目を見張る父親。


「作る・・・飛空艇をか?それは凄い!」


「ひくうていを1000個作ってこの空を埋め尽くしたい!」


その言葉に思わず耳を疑った父親だったが、その次に来たのは笑いだ。心の底から笑いが込み上げ思わず体が震え出す。


「ははは。飛空艇を1000艇も作るのか。だったら大金持ちになれるぞ!」


「大金持ち?」


「飛空艇は1艇・・・そうだな、金貨1000枚だと聞いたことがある。となると1000艇も作れば金貨100万枚だ」


「金貨100万枚!」


「もしかしたら王国が買えるかもしれないぞ」


父親が腹を抱えて笑い転げる姿を見て少しむっとしたカルルではあったが、空を自由に飛べる飛空艇を作ることができれば、どこにでも自由に行くことができる。


両親は、元Aランク冒険者で父親は魔法剣士で母親は魔術師だ。


2人とも魔法を操りダンジョンで魔獣を狩り宝物を集めた冒険譚は、食卓で何度も聞かされていた。


カルルは、攻撃魔法は使えないが土魔法が使える。それを使ってここを出てどこかで仕事ができないかと日々無い知恵を巡ららせている。


日が暮れるとボロ屋の食卓で家族3人で食卓を囲む。


母親が焼いたパンと両親が狩った魔獣の肉と畑で収穫した野菜の入ったスープといういたってシンプルで変わり映えのない食卓の風景は、今夜も同じである。


今日の食卓の話題は、カルルが飛空艇1000艇を作るという話でもちきりだ。


両親は、腹を抑えながら笑っているがカルルだけは両親の目を真剣に見つめる。


カルルの真剣な眼差しに父親は、笑いを堪えると真面目な顔をして話始める。


「いいか。ひとつ教えておこう。飛空艇がどうやって空を飛ぶのかについてだ」


「飛空艇には、いくつもの魔石というものが使われている。それは浮遊の魔石、飛空の魔石、魔力の魔石の3種類だ」


「それらの魔石を創るには魔石錬成というスキルが必要になる」


「ませきれんせい?」


「そう、魔石錬成は魔石を無から作り出すスキルだ。父さんは火魔法の魔法剣のスキル。母さんは雷撃魔法のスキルを持っているのは知っているな」


「うん。以前に教えてもらったし、魔獣狩りの時に魔法を使うところを見てた」


「父さんや母さんが魔法を放つように魔法で魔石を創るのが魔石錬成スキルなんだ」


「だが、その魔石錬成のスキルはとても貴重で、そのスキルを持っているのは錬金術士でもほんの一握りと言われている」


「以前にも話したと思うがカルルが持っているスキルは、土魔法のスキルしかないんだ」


「もしかしたらこれからスキルが目覚めるかもしれないが、ひとりが持てるスキルはひとつだけというのが普通だ。稀にスキル複数持つ者もいるが、本当に稀なんだ」


「それに土魔法以外にも強化魔法や固定魔法もいる。あと魔道具などに使われる魔道回路を創るスキルも必要だ」


父親の話に母親も頷きながらカルルの目を真剣に見つめる。


「大きな夢を持つのは大切だが、それを追い求めすぎると将来を見誤るぞ」


両親の半ば諭す様な会話に返す言葉も無いカルル。


その夜のカルルは、がっかりした表情を浮かべながら寝床に潜り込み、夕焼け空に浮かぶ飛空艇の姿を何度も思い浮かべ、いつしか眠りについた。


・・・・・


その夜、皆が寝静まった頃にカルルの枕元に立つひとりの女性がいた。


その女性が身にまとっている白いドレスは、体のラインがはっきりと見えるほど透けている。


「カルル。起きて、カルル」


カルルの枕元に現れた女性は、初めはにこやかに話しかけていた。


「カルル。起きなさい。カルル・・・」


そして徐々に口調は厳しくなっていき・・・。


「おい、起きろガキ。いつまで寝ている!女神様が会いに来てやったんだ!早く起きろ!」


口調はさらに激しくなり・・・女神は、カルルの頬を片手でつねりながら体ごと持ち上げてみせた。


「痛・・・、痛いれふ。やめて・・・」


カルルは、頬をひっぱる女性の腕を両手で必死に掴みながら何とかこの手から逃れようと必死に暴れる。


「おい、それが女神の言葉を拝聴する時の態度か!」


女神はカルルの頬を掴んだ手を放すと、頬を真っ赤に腫らしたカルルの顔をまじかで覗き込む。


「いいか、お前の望みを叶えてやる!だからお前もこの女神様の命令を聞け。いいな!」


カルルの前に立つ傲慢で強引な女神と名乗る女性は、カルルに鬼の様な形相で迫る。


「はひ。わかりまひた」


真っ赤に腫れた頬を両手で押さえながら自身を女神と名乗る女性の前に座り頭を垂れるカルル。


「よし、漢は聞き分けがいい方が女にもてるぞ」


そう言い放つ女神の顔をチラリと見上げると、顔は笑っているのに目は笑っていない。


「あの、それで僕の望みというのは・・・」


女神は、飽きれ顔でカルルの頭を鷲掴みにすると体ごと持ち上げた。


「お前、飛空艇を作りたいって言ったな。だからお前に飛空艇を創るスキルを授けてやる。その代わりに私の命令を聞け。いいな」


強引な女神の言葉に思わず恐れおののき、恐怖心のあまり思わず返事をしてしまうカルル。


「よし、お前に飛空艇を創るスキルを授ける。代わりに女神が命令する」


「いいか、3年後にこの星に遥か彼方から隕石が落ちてくる。それを阻止しろ!」


「いんせきって?」


「なんだ。隕石も知らないのか。この星の外に漂ってる巨大な石の塊のことだ」


「それを僕が阻止するんですか?」


「そうだ。この星に隕石が落ちなければいい。壊してもいい。やり方は任せる。だが隕石はでかいぞ。直径100kmはある。それを何とかする能力を3年以内に身に着けろ。そして落下を阻止しろ。いいな!」


「ひゃ・・・ひゃっきろってどれくらい?」


「そうだな、大人が休まずに歩いて1日かかる距離だ」


「えーーー!」


真っ赤に腫れた頬を両手で押さえながら思わず叫ぶカルル。


「なんだ、できないっていうのか。この女神様が飛空艇を創るスキルを授けてやるというのにできないというのか!そんなことを言うのはどの口だ!」


女神は、カルルの腫れていない反対側の頬を片手でを掴むとカルルの体を持ち上げて見せた。


「いたい。いたいれふ・・・。やりまふから・・・降ろして」


「そうだ。最初かすなおに言えば痛い思いをせずに済んだんだ」


「ならば、女神の命令を受諾した証として私の脚にキスをしろ!」


カルルは、床に降ろされると差し出された女神の足元に強引に座らさせられる。


目の前に置かれた女神の脚は、細く長く白くとても奇麗な足である。


だが、言葉遣いと表情はまるで鬼のそれである。


赤く腫れあがった両方の頬を両手で押さえながら体をかがめると涙目で女神の脚にキスをする。


「よし、これで契約成立だ。3年以内に隕石を何とかするのだ!それがお前の使命だ。3年だ。3年だぞ!」


カルルの前に立つ女神は、やたらと3年という期限を切ってくる。


「もし、3年を過ぎたらどうなるんですか?」


「おっ、いい質問だ。3年を過ぎたらこの星で生きる全ての生物は滅ぶ!」


「えっ・・・」


女神の言葉に絶句して次の言葉が出ない。


「よいな、3年以内に隕石を何とかしろ。よいなカルルよ!よいな・・・」


ふとカルルは目が覚めた。寝床から体を起こすと、もうすぐ朝方という時刻だ。


夢か・・・そう思ったカルルは顔に急激な痛みを覚えた。


頬が痛くてたまらない。


寝床から立ち上がり、壺の中に貯められた水をのぞき込むと両方の頬が真っ赤に腫れていたのだ。


あの夢は、本当にあったのだ。


女神と名乗る女性が言った言葉。


3年以内に隕石をなんとかしろ。代わりに飛空艇を創るスキルを授ける。


カルルは、思いがけず臨んだスキルを手に入れた。


だが、3年以内に隕石を何とかしないとこの星の生物は全べて滅ぶ。


カルルが得たスキルとは全く釣り合わない代償を背負わされた11才の少年の新しい人生が始まった瞬間であった。




◆飛空艇の外殻や躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆魔石を創るスキル

・魔石錬成


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:0

 1000艇まで残り1000


仕事が忙しく残業多めなので、ある程度書き溜めたら投稿します。

気長にお待ちください。



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