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星月の蝶(修正版)  作者: 碧猫
4章 管理者見習い
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3話 別荘


 見た目はかなり綺麗な場所だ。別荘の外観も、白く、美しい。


 これはフォルが買いたくもなると外観だけで思えてしまう。


「これは仕方ないの。とってもきれいだから欲しくなるのも分かるの。エレもここに住みたいって思うの」


「ありがと。エレなら気に入ってくれると思ってたんだ」


「危険性を見なければ良い場所だな」


「……早速中に入ってよ。エレが気に入りそうな家具とか集めておいたんだ」


 フォルがいつも以上に楽しそうだ。


 エンジェリアが、室内へ入ろうとすると、突然、矢が飛んできた。


「またか。ここに来るとこればっかなんだ」


「これが日常なんてやなの」


「これが日常だからこそだ。管理者……ギュゼルに入りたいなんて言う愚かなお姫様に、僕らの日常を分からせるためには」


 矢はエンジェリアに当たる前に、ゼーシェリオンが凍らせた。


 エンジェリアとゼーシェリオンの目標は、フォルを一番近くで支える事。そのためにも、ギュゼルに認められる。


 と決めてはいたが


「何もない時くらいはゆっくりしていたいのー」


 すでに心が折れかけている。


「エレ、俺もゆっくりしたい」


「仲間。仲間。クルカムはどう? 」


「正直に申しますと、休みたいです。そろそろまともな休みが欲しいと思ってるんですが……あそこの方が休める気がします」


 管理者の拠点は休めるはずなのだが、クルカムは、管理者の拠点にいる間も休めていなさそうだ。


「……僕らと同等の教育を受けさせてって言ってたから」


「管理者に関わると休める時間ねぇな」


「エレは休みたいの」


「結界魔法でも使っていれば休めるんじゃない? 」


 試験者三人の中で、結界魔法が一番得意なのはエンジェリアだ。結界魔法を使っていれば、ゆっくりと休む事などできない。


 ゼーシェリオンかクルカムに使ってもらうか、魔法具に頼るか。両者も、エンジェリアが結界魔法を使うよりは、効果が下がる。


「……ゼムに頼るが良いかも」


「オレ、結界魔法得意じゃないよ? 氷で部屋を覆うならできるけど」


「この際それで良いの。ちょっと不便かもしれないけど」


 氷で覆えば、外に出れなくなるだろう。だが、その不便さより、安全の方が大事だ。


「……君らが寝てる時間だけ結果魔法を使うよ。初めの頃だけ」


「ぷにゅぅ。フォルすきなの。早く入るの」


 エンジェリアは、ゼーシェリオンと手を繋いで、室内へ入った。


      **********


 広いリビングは、エンジェリアが気にいるようにか、ふかふかなソファが置かれている。


 エンジェリアは、ソファのふかふかさを直で確認するため、早速ソファに座った。


「ふかぁ。とってもふかぁ」


 エンジェリアがふかふかなソファを堪能していると、突然、目の前の机が爆発した。


 側にいたエンジェリアは、ゼムレーグの加護により、爆発による怪我はないが、爆発に驚き、ソファから落ちた。


「足痛いの」


「大丈夫? まさかここに爆弾が仕掛けられてたなんて。ほんと悪趣味」


「ぷにゅぅ。泣くの」


 エンジェリアは、ゼーシェリオンに抱きついた。


「痛かったな。回復魔法使うから少し我慢してくれ」


「ぷにゅぅ。机さんが飛び散ったの」


 エンジェリアは、ゼーシェリオンに回復魔法を使ってもらった。ソファから落ちた際に、足を捻っていたが、回復魔法で痛みが和らいだ。


「ありがと。ゼロもだいすき」


「……フィル、ゼムと一緒に三人の面倒見といて。僕はルーと一緒に夕食作ってくるよ。エレ、少しだけ待っててね」


「ぷにゅ」


 フォルが、エンジェリアの頭を撫でてから夕食を作りに向かった。


 エンジェリアは、安全のためにもゼーシェリオンから離れないようにする。


「ぷにゃ⁉︎ 矢の次は短剣が大量に……ぴにゃぁ」


「暗殺者にしてはお粗末だな。本業なら殺気を隠す。それに、こんな方法を取らない。もっと確実で、存在をバラさない方法を取る」


「いやがらせじゃないの? 」


「ああ。これに塗ってある毒は、暗殺者が使うものなんだ。素人が作れるようなもんじゃない」


 ゼーシェリオンが、短剣に塗ってある毒の解析をしている。

 短剣に塗ってある毒は、かなり調合が難しいものだ。素人が作れないというのは、調合の難易度から考えても納得できる。


 エンジェリアは、収納魔法から瓶を取り出した。ゼーシェリオンに、瓶の中に探検を入れてもらう。


「これで毒を活用するの。やられるだけじゃないのがエレなの」


「そうだな。有効活用させてもらうか。クルカム、調合免許持ってるか? 」


「持ってます。ですが、エレ様のような知識はありません。試験で出るような調合はできますが」


 エンジェリアは、ゼーシェリオンと一緒に、瓶にどんどん短剣を入れては、毒だけをとっている。


「これを大量に貰っておいて、とっても良いお薬にするの。毒はお薬の元になるんだから。どんなお薬を作ろうかな」


「……寝なくても疲れが取れる薬。これ一択だろ」


「ぼくもそれが良いと思います。寝れそうにないので」


「ぷにゅ。やってみるの。今持ってる素材はないけど、きっとできるの……ゼム、何か良い素材持ってない? 」


 ゼムレーグが、素材を確認している。


「今はこれくらいしか」


「ぷにゃぁ。ありがと。これだけあれば、疲れが取れるお薬も作れるの。ここ以外と便利かも。自分の身を守る事ができれば、いろんなものが無償で手に入るから」


 短剣に毒が塗られているため、毒を手に入れただけではなく、大量の短剣まで手に入れている。

 エンジェリアは、その事に気づき、大喜びしている。


「机どうしましょう」


「それこそエレにお任せなの。ふっふっふ、天才魔法具技師のフィルと、お手伝いしたエレを敬うの」


 エンジェリアは、収納魔法から、魔法具を取り出した。

 エンジェリアとフィルが昔作った、復元魔法具。


「復元魔法具で、机さんと爆弾さんを元に戻すのー」


「エレ? 気のせいか? 」


「気のせいじゃありませんよ! 今言いました! 爆弾も戻すと言ってました! 」


 エンジェリアは、楽しげに魔法具を起動させる。


 爆弾も机と一緒に元に戻した。


「あとは、この爆弾の活用させてもらうの」


 エンジェリアは、爆弾の機能を停止させた。


「……ふにゅふにゅ。なんだか、パッとしないの。どっかに売ろうかな? ……何かあった時に使えば良いかな? 」


 爆弾は、魔法具技師が見れば誰でもお粗末と言いたくなるようなものだ。


 ゼーシェリオンの言っていた方法と言い、相手は素人の可能性が高い。


「……ゼロ、この爆弾あげるの。ゼロが自分の身を守るために使えば良いの」


「いらねぇよ。自分で使えば良いだろ」


「ふにゅぅ。ふにゃ⁉︎ 」


 突然窓を突き破り、覆面の男達が押し寄せてくる。

 

 エンジェリアは、爆弾を咄嗟に投げた。


「……不発弾じゃないけど、威力低すぎなの」


「そうだな」


 エンジェリアは、ゼムレーグとフィルの側で防御魔法をゼーシェリオン達に使う。


 押し寄せてきたのは十人ほど。全員暗殺者だろう。だが、エンジェリアですら、素人というのが分かる。


「……これ、あそこの」


「ぷにゃ? 」


「どうしますか? 無力化するだけで良いんですか? 」


「……ゼロ、ゼム、いつも通りに」


「ああ」


「うん」


 目に見えない氷の粒が部屋の中に舞っている。


 突然、押し寄せた男達が膝をついた。


「きれい。ゼロとゼムの共同っていうのが良いの」


 エンジェリアは、ゼーシェリオンとゼムレーグが使った魔法に見惚れている。


 麻痺系の魔法と似ているが非なる効果の氷の粒。その粒が光を反射させている。


「君らは誰に雇われてる? 」


「……」


「答えるわけないか。エレ、悪いけど、あそこの結界張ってくれる? 」


 崩壊の書にも載っていた、神域とも呼ばれている結界。エンジェリア達を守るためのものだが、その結界は、フォルの力の負担を限りなく減らしてくれる。


 エンジェリアは、収納魔法から宝剣を出し、結界魔法を使った。

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