8話 ヴァレスト最強
颯、カンナ、リュウク、そしてミアの四人は「忘れられた神殿」への道中、試練が開催される街「ヴァレスト」にたどり着いた。街は広く、活気に満ちていて、多くの冒険者たちが集まっていた。中心には巨大な闘技場がそびえ立ち、試合が日々行われているという話を聞いた。
「ここがヴァレストか。なんだか興奮してきたな!」颯は広大な街の様子に目を輝かせた。
「ねえ、颯。あそこの闘技場で戦えば、自分の実力を試せるんじゃない?」カンナが闘技場を指さして提案した。
「いいね!最強を目指すにはまず自分を知ることが大事だろうし!」颯は大きく頷き、すぐに闘技場へと向かった。
四人は闘技場に到着し、颯が参加を申し込むと、すぐに試合が組まれた。観客席は満員で、冒険者や地元の住民たちが試合を楽しみにしている。
「今日の試合は特別だぞ!挑戦者は颯!そして対戦相手は、ヴァレスト最強と名高い男、レイガンだ!」アナウンスが響き渡ると、観客たちは一斉に歓声を上げた。
「レイガン?それって…」リュウクが驚いた顔で言った。「ここの闘技場で無敗を誇る戦士だよ。」
「無敗!?ちょっと待てよ…俺、いきなりそんな強いやつと戦うのか?」颯は少し焦りながらも、内心ワクワクしていた。
颯が闘技場の中央に立つと、対戦相手のレイガンが現れた。彼は屈強な体つきをした男で、鎧を身にまとい、巨大な戦斧を持っていた。その目は冷静で、すでに戦いに慣れ切っている様子だった。
「お前が挑戦者か。面白い。だが、俺は手加減しないぞ。」レイガンは低い声で颯に言った。
「望むところだ!俺も最強を目指してるからな!」颯は槍を構え、戦闘態勢に入った。
試合が始まると、レイガンは驚異的な速さで攻撃を仕掛けてきた。巨体からは想像もつかない敏捷さで、戦斧が颯の頭上に振り下ろされる。
「速いっ!」颯はギリギリでかわし、反撃の槍を突き出すが、レイガンは簡単にそれを受け流す。
「その程度か?」レイガンは冷静に笑いながら、次々と強力な攻撃を繰り出してきた。
颯は必死に攻撃を避けつつ、反撃を試みるが、レイガンの攻撃は重く、正確だった。一度でも直撃すれば致命傷になると感じた。
「くそっ!強すぎる!」颯は何度か槍で突こうとするが、すべてレイガンに防がれてしまう。
そして、ついに颯の体力が尽き、レイガンの戦斧が颯の槍を弾き飛ばす。
「終わりだ。」レイガンの戦斧が再び振り下ろされたが、寸前で止まった。
颯は膝をつき、敗北を認めざるを得なかった。
「くそ…やっぱり強すぎる…」颯は悔しそうに顔をしかめた。
「挑戦者としては悪くなかったが、まだまだだな。」レイガンは颯に手を差し出し、彼を立たせた。「だが、お前にはまだ伸びしろがある。少しアドバイスをしてやろう。」