7話 旅路の出会い
ドルチェの試練を乗り越え、次なる試練の地へと向かう途中、颯、カンナ、リュウクの三人は森の道を進んでいた。新たな挑戦に向けて、それぞれの装備を整えつつ、次の戦いに備えていた。
「次の試練はどんなものなんだ?」リュウクが地図を確認しながら言う。
「確かな情報はないけど、次の試練は『忘れられた神殿』に隠された謎解きが中心みたいだよ。」カンナが答えた。
「謎解きか…前の迷路よりは頭を使いそうだな。でも、俺たちにはカンナがいるから心配いらない!」颯がカンナに微笑みかけた。
「ありがとう、颯。頑張って謎を解きますね。」カンナは照れながらも微笑み返した。
その時、道の先に人影が見えた。道端で座り込んでいる小柄な女性が、何かを探しているようだった。
「誰かいるみたいだな。行ってみようか?」リュウクが提案し、三人は女性に近づいた。
「どうしたんだ?何か困ってるのか?」颯が声をかけると、彼女は顔を上げた。美しい緑色の目を持つ、優しげな女性だった。
「すみません…実は少し迷子になってしまって。ここはどこか教えていただけますか?」彼女は申し訳なさそうに話し始めた。
「ここはドルチェから少し離れた森の中だよ。僕たちは次の試練の場所に向かってる途中なんだ。」リュウクが答えた。
「それにしても、こんな場所で迷子になるなんて珍しいな。どこに行こうとしてたんだ?」颯が尋ねる。
「私、ヒーラーとして旅をしているんですけど、この辺りでモンスターに襲われて道に迷ってしまったんです。」彼女は少し恥ずかしそうに言った。
「ヒーラーか!それならちょうどいいじゃないか!」颯が突然興奮したように声を上げる。
「え?どういうことですか?」彼女が困惑した表情を見せる。
「実は俺たち、次の試練に挑もうとしててさ。ヒーラーがいれば、戦いの時に大いに助かるんだよ!」颯が笑顔で答えた。
「そうですね…私たちには回復できる仲間がいないので、よかったら一緒に来てくれませんか?」カンナも優しく勧めた。
「え…私なんかで本当に大丈夫ですか?」彼女は少し不安そうに尋ねた。
「大丈夫さ。力を合わせれば、きっとどんな試練も乗り越えられる!」颯が自信満々に言った。
「ありがとうございます。それでは…私も一緒に行かせてください。名前はミアといいます。」彼女は頷き、少し安心した表情を浮かべた。
こうして、新たな仲間ミアが加わり、四人は次の試練へ向かうために再び歩き始めた。
旅を再開してから数日が経ち、四人は次の試練の舞台である「忘れられた神殿」へ近づいていた。しかし、森の奥へ進むにつれ、モンスターの気配が濃くなっていた。
「この辺り、危険な感じがするな。何か出てくるかも…」リュウクが警戒しながら前方を見渡す。
「確かに。何かが近づいてくるような気がする。」カンナも周囲を警戒していた。
その時、突然森の茂みから巨大な狼の群れが飛び出してきた。数頭の「ダークウルフ」が四人を囲むようにして吠え立てた。
「こいつら…!」颯がすぐに槍を構える。
「こっちも準備しろ!」リュウクも大剣を手に取り、戦闘態勢に入った。
カンナが氷魔法で一体の狼を凍らせようとするが、数が多くて対処しきれない。
「これじゃキリがない…!」颯が焦りながら槍を振り回し、狼を一撃で仕留めるが、次々と押し寄せる。
「リュウク!後ろに気をつけて!」カンナが叫ぶが、リュウクの背後に狼が迫る。
「うわっ!」リュウクが狼の牙に噛まれそうになったその瞬間、ミアが素早く駆け寄り、光の魔法を唱えた。
「ヒールシャイン!」
光が放たれると、リュウクの周りにいた狼たちが一瞬ひるみ、その隙にリュウクが反撃する。
「助かった、ミア!」リュウクが感謝の言葉を伝える。
「私、みんなを守ります!」ミアは強い決意を持って、再び光の魔法を放ち、仲間たちの体力を回復させる。
颯もミアの力に感心しながら、前方の狼を次々と倒していく。「これで…終わりだ!」
最後の狼を倒し、ようやく戦いが終わった。
「すごいよ、ミア!君のおかげで助かった!」颯が嬉しそうに言った。
「本当にありがとう、ミア。君がいなかったら危なかったよ。」カンナも感謝の気持ちを表した。
「いえ、私も皆さんのおかげで無事に戦えました。これからも精一杯頑張ります!」ミアは謙虚に笑った。
こうして、ミアの力も加わり、四人は再び試練の地「忘れられた神殿」へと向かって歩を進めた。次の試練が、さらに大きな挑戦となることを予感しながら。