5話 深淵の闇
迷路をさらに進んでいくと、三人は次第に奥深い場所へと足を踏み入れていた。周囲は薄暗く、まるで空気さえも重く感じる。リュウクが前を進み、カンナがその後を追い、颯が最後尾で警戒していた。
「この迷路、まだ終わりそうにないな…何か妙な気配を感じる。」リュウクが低くつぶやいた。
「確かに。空気が変だ…何かが近づいている気がする。」カンナも周囲を警戒する。
突然、足元の石畳が光り始め、三人は立ち止まる。そこから闇の霧のようなものが立ち上り、形を成していった。それは巨大な影の怪物、「シェイド」であった。
「何だこいつ…!?」颯が驚きつつも槍を構える。
「光に弱いはずです!炎か、光の魔法で攻撃するしかありません!」カンナが即座に作戦を提案する。
「だが俺たちの中に炎魔法を使える奴はいないぞ?」リュウクが大剣を握り締めながら警戒する。
「それなら…!俺の風の力を使えば、周囲の灯りを強くできるかもしれない!」颯は槍を構え直し、風の魔法で周囲の灯火を煽ると、一瞬で光が増し、迷路が明るく照らされた。
「今だ、攻撃しろ!」颯が叫ぶ。
「アイスエッジ!」カンナがシェイドに向かって氷の刃を放ち、リュウクがその隙を突いて大剣を振り下ろす。シェイドは苦しむようにうねりながら、闇の霧となって消え去った。
「何とかなったな…」リュウクが大剣をしまいながら言う。
「でも、なんか変だ。この迷路、ただの試練じゃなくて、もっと大きな力が働いてる気がする。」颯が不安そうに呟く。
「ええ…私もそう思います。おそらく、この先に何か重要なものがあるのかもしれません。」カンナが頷く。
三人は慎重に進みながらも、次の試練へ向けて心を引き締めて歩を進めた。