24話 シッポトリの始まり
カサンドラの森に入ってからしばらく進むと、突然周囲の空気が変わった。視界が暗くなり、息をひそめた気配が漂う。
「気をつけろ…」リュウクが小声で警告を発すると、その瞬間、何かが一瞬で彼らの背後を通り過ぎた。
「速い…!」颯は驚きの声を上げた。「まさか、エイか…?」
その瞬間、森の奥から声が聞こえた。「よく来たな、挑戦者たち。私はエイ、この試練の管理者だ。」
颯たちはエイの姿を捉えることができなかった。彼は完全に気配を消していたのだ。
「まずは私の技を見せてやろう」とエイは言うと、突然、颯たちの視界から彼の姿が完全に消えた。まるで森そのものがエイの存在を飲み込んでしまったかのようだった。
「何も見えない…どこにいるんだ?」颯は焦りを感じながら、必死に気配を探ろうとしたが、何も感じ取ることができなかった。
「この試練は『しっぽ取り』だ。私のしっぽを奪うことができれば、お前たちの勝ちだ。ただし…私はリミットを使うこともある。」
エイの声が周囲に響いたが、彼の姿はどこにも見えないままだった。
「しっぽを奪うだけなら簡単そうだが…」リュウクが不安そうに呟いた。「だが、相手がこれだけの隠密技を使うとなると…」
「それだけじゃない」とアルカナが冷静に言った。「エイはリミットを使えば、さらに速くなり、気配も完全に消してしまう。まさに見えない敵との戦いだ。」
「どうする、颯?」ミアが心配そうに尋ねる。
「まずはエイの技を学ぶしかない」と颯は決意を固めた。「俺たちも気配を感じ取る術を身につけるしかない。」
そして、颯たちはしっぽ取りの試練に挑むことを決意した。
「では、ルールを説明しよう。お前たちも全員しっぽを持つことになる。この試練は互いのしっぽを奪い合うものだ。私のしっぽを奪えばお前たちの勝利だが、お前たちのしっぽを全て奪われれば、私の勝ちだ。気をつけるがいい、私はただの隠密ではない――リミットも使える。」
エイの声が木々の間から響くが、その姿はどこにも見えない。
颯たちは背中に人工的な「しっぽ」を付けられ、試練が開始された。全員が周囲を警戒し、エイの動きを探るが、その気配は完全に消えている。
「これ、やばくない?」颯が低い声で言った。「どこにいるのか全く分からない…」
「まずは一つ確認だ」とアルカナが冷静に声を出す。「俺たちも、気配を消す術を学ばなければ、この試練で勝つことは難しい。」
「そうね」とミアが頷く。「彼のスピードに追いつくためには、こちらも気配を消して、慎重に動くしかないわ。」
リュウクは黙って頷き、しっぽを奪われないように全神経を集中させていた。




