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17話 敗色濃厚

颯たちが盗賊のアジトにたどり着き、数々の困難を乗り越えて最深部まで進むと、豪華な装飾が施された大広間が彼らを待ち受けていた。部屋の奥には豪快な鎧を身に纏った男が、大きな斧を横に置き、玉座に座っている。


「ほう、お前たちが俺の手下どもを倒してここまで来たのか。なかなかやるじゃないか」と、その男は颯たちを冷ややかな目で見下ろしながら言った。


「お前が盗賊のボスか。覚悟しろ、俺たちがここでお前を倒して試練を終わらせる!」颯は槍を握りしめ、強気な声で挑戦する。


「フン、面白い。だが、お前ら程度でこの俺、ガルドを倒せると思っているのか?」ガルドは立ち上がり、その巨大な斧を片手で軽々と持ち上げる。


颯、リュウク、カンナ、ミアの4人は、ガルドを囲むように陣形を組んだ。ミアは後方でいつでも回復できるように準備を整え、リュウクはガルドの強大な力を受け止める覚悟を決めていた。


「いくぞ!」颯が先手を打ち、素早く槍で突きを繰り出す。しかし、ガルドは颯の攻撃を軽々と避け、斧で大きく横に薙ぎ払う。


「うわっ!」颯はかろうじてその攻撃を避けたが、あまりの力に息が詰まる。


「これが盗賊のボス…圧倒的すぎる!」颯は内心の焦りを隠しながら、次の攻撃の機会を伺った。


リュウクがガルドの注意を引くために大剣で正面から突っ込む。「俺が相手だ!覚悟しろ!」リュウクの大剣がガルドに向かって振り下ろされる。


「ふん、雑魚が!」ガルドは斧を片手で振り回し、リュウクの大剣を受け止めると、そのままリュウクを吹き飛ばした。


「うぐっ…!」リュウクは壁に叩きつけられ、息を詰まらせた。カンナが急いで氷の魔法を唱え、ガルドの足元に氷を張って動きを封じようとする。


「アイスエッジ!」カンナの氷魔法がガルドの足元に広がり、彼の動きを一瞬だけ遅らせた。


「今だ、颯!」カンナが叫び、颯はガルドの隙を狙って槍を突き出した。


しかし、ガルドは笑みを浮かべながら、片手で颯の槍を受け止めた。


「お前たち、本当にこれで俺を倒すつもりか?」ガルドは冷たい声で言うと、そのまま颯を振り払った。颯は地面に叩きつけられ、息が詰まった。


「くそ…全然歯が立たない…!」颯は必死に立ち上がろうとするが、体が重く、視界が揺れる。


「これで終わりだ!」ガルドが颯に向かって斧を振り下ろそうとしたその瞬間、ミアの声が響いた。


「ヒール!」ミアの癒しの魔法が颯を包み込み、体力を回復させる。


「ありがとう、ミア!」颯は何とか立ち上がり、再びガルドに挑もうとするが、その圧倒的な力に再び押し戻される。


颯たちは何度もガルドに挑むが、彼の力は桁違いだった。ガルドの斧は圧倒的な破壊力を持ち、颯やリュウク、カンナの攻撃はまったく通じない。


「こいつ…なんでこんなに強いんだ…!」颯は息を切らしながら槍を握りしめた。


「これはまずいわ…私たちじゃ勝てない…!」カンナも疲れ果て、魔力が尽きかけていた。


「皆、無理しないで!今は撤退するべきだ!」ミアが必死に叫び、颯たちを回復させようとするが、ガルドは容赦なく攻撃を続ける。


「終わりだ!」ガルドが斧を振り上げ、颯に向かって振り下ろす。颯は防御の態勢を取るが、その衝撃で完全に吹き飛ばされ、地面に倒れた。


「う…動けない…!」颯は全身が痛みに包まれ、立ち上がることができなかった。


「ふん、やはりお前たちはこの程度か。弱者は弱者らしく、地に伏せていろ」ガルドは冷たい視線を颯たちに送りながら、勝利を確信していた。


「ミア、カンナ、リュウク…俺たち…負けたのか…?」颯はその場で膝をつき、悔しさと無力感に打ちひしがれた。


ガルドは颯たちを倒し、勝利を手にしたが、とどめを刺すことはなかった。彼は興味深そうに颯たちを見下ろし、冷笑を浮かべた。


「お前たちは弱い。だが、ただの弱者とは違う。少しは見どころがある…」ガルドは大きな斧を肩にかけ、歩み寄る。


「どういうことだ…?」颯は息を切らしながら問いかけた。


「力だけではない。お前たちは連携や技術を駆使して戦ったが、根本的な戦略が足りない」ガルドは冷静に言葉を続けた。


「もっと状況を分析し、相手の弱点を見極める力が必要だ。力任せに挑むだけでは、真に強くはなれんぞ」


その言葉を聞いた颯は、何かが胸の中で大きく変わった気がした。今までただ勢いで戦ってきた彼にとって、ガルドの言葉は重く響いた。


「お前たちには可能性がある。だが、それを引き出せるかどうかは自分次第だ」ガルドは背を向け、颯たちに背を向けて去っていった。


「くそ…俺たちが甘かったのか…」颯は拳を握りしめ、悔しさと共にガルドの言葉を噛み締めた。


「でも、諦めるわけにはいかない。次こそ、必ず勝つんだ!」颯の決意は新たに固まった。

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