12話 自分との対話
広間に入った颯とリュウクの前に立ちはだかったのは、神殿の守護者とも言える巨大なゴーレムだった。石でできたその体は、圧倒的な存在感を放っており、何百年もの間、ここで試練に挑む者たちを迎え撃ってきたのだろう。
「こいつ…ただの石像じゃないな」颯は警戒を強めながら、槍を構えた。
「試練の最後の敵か…行くぞ、颯!」リュウクが大剣を振りかざし、颯とともにゴーレムに向かって突進した。
二人は協力してゴーレムの攻撃をかわしつつ、隙を見て攻撃を繰り出すが、その頑丈な体はなかなかダメージを受けない。
「くそ…硬すぎる!どうやって倒せばいいんだ!?」颯は焦りを感じ始めた。
ゴーレムの強力な腕が振り下ろされ、颯は間一髪でそれを避けたが、リュウクが一瞬の油断で吹き飛ばされてしまう。
「リュウク!!」颯は叫びながら駆け寄るが、ゴーレムはさらに追撃を仕掛けてくる。
その瞬間、広間の別の扉が開き、カンナとミアが駆け込んできた。
「颯!リュウク!大丈夫ですか!?」カンナが叫び、ミアはすぐにリュウクに癒しの魔法をかけた。
「ミア、間に合ってよかった!」リュウクは回復し、立ち上がった。
「ミアのおかげでなんとか立て直せたな…さぁ、今度こそ仕留めるぞ!」颯は気持ちを新たにし、再びゴーレムに挑んだ。
カンナが魔法でゴーレムの動きを封じ、リュウクが防御に徹しながらミアの回復を受けつつ、颯は隙を見てゴーレムの関節部分に的確な攻撃を仕掛ける。
「力じゃなく、頭を使え…柔軟に、だ!」颯はレイガンの言葉を思い出しながら、次第にゴーレムの動きのパターンを読み取っていく。
そして、ついにゴーレムの膝部分に致命的な一撃を放ち、その巨体が崩れ落ちた。
「よっしゃー!やったぞ!」颯は勝利の歓声を上げた。
ゴーレムが倒れると、神殿の中央に光の柱が現れ、その中に「英雄の証」が浮かび上がった。
「これが…試練の報酬か…」颯はその光を見つめ、手を伸ばした。
彼らは試練を乗り越え、次なる力と成長を手に入れる準備が整ったのだった。