10話 油断禁物
颯、カンナ、リュウク、そしてミアは、いよいよ試練の地「忘れられた神殿」に足を踏み入れた。この神殿は古代の迷宮であり、入り組んだ構造と数々の罠が冒険者を待ち受けているとされる。試練をクリアした者は「英雄の証」を手に入れ、さらなる力を得ることができるという。
「ここが試練の場所か…雰囲気あるなぁ」颯は神殿の巨大な入口を見上げ、息を呑んだ。
「気を引き締めてください。ここには古代の罠が仕掛けられているはずです」カンナが静かに言い、周囲を警戒する。
「俺たちなら大丈夫だろう!さっさと突っ切って、最強の証を手に入れるぞ!」颯は勢いよく前に進もうとしたが、リュウクが彼を制止した。
「待て、颯。最初の試練は力だけじゃ突破できない。冷静さが求められるぞ。あのレイガンのアドバイスを思い出せ。」リュウクの言葉に、颯はハッと気づき、少し落ち着きを取り戻した。
「そうだな…まずは様子を見て慎重に進もう。」
彼らが迷宮の内部へ足を踏み入れると、薄暗い通路が続き、古代の遺物が至る所に散らばっていた。壁には謎の紋様や文字が刻まれており、誰もが一瞬でその異様な雰囲気に包まれた。
「なんだか、ここにいるだけで不気味な感じがするな…」ミアが不安そうに呟く。
「確かに、油断できない場所だ」リュウクは大剣を握りしめ、警戒を強めた。
数分歩いたところで、突然、足元から「ガシャン!」という音が響き、床が崩れた。
「罠です!」カンナが叫ぶが、時すでに遅く、颯とリュウクは穴に落ちてしまった。
「颯!リュウク!」ミアが駆け寄るが、彼らは深い地下へと落ちていく途中だった。