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クラスの孤高の狼がなついているのは女装した俺  作者: 有原優


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第43話 困難

 その次の話し合い。

 その話し合いも当然ながら困難を極めた。

 中々互いの意見が合わないのだ。


 そのせいで全く話が進まない。


 修学旅行まで日がないのに、

 自由行動の目的地を先生に報告しなければならない日まで時間がないというのに。

 俺は正直苛々としている。

 アンチ――渋沢君がしつこいのだ。


 そう、俺が視界をやると、必ず不服そうな顔をしているのだ。それなのに、どうして一緒にやれるというのだ。

 どうしたらいいのか。


「はあ」


 俺は授業後に、理恵子の所に行く。


 そして互いに慰め合うのが日課になっていた。

 理恵子も理恵子で色々と苦しんでいるらしい。


 互いに一緒にいれば、傷も癒えるという物だ。

 やはり、それはそうなんだが。


 中々おれを受け入れさせるというのも上手く行かない物だ。勿論人にはそれぞれ良さと悪さがある。


 そして俺を嫌い人がいるというのもうなずける。

 俺は俺自身を完璧な人間だなんて思ってはいない。

 俺は不完全な人間だ。そこに嘘偽りなどないのだ。


 どうやって渋沢君に俺を認めさせたらいいのあk。その答えは考えても出てくることはなかった。



 そして俺と理恵子は、渋沢君に俺を認めてもらうために必要なことを考える会議を開くことにした。


「どうしたらいいと思う?」


 そう、理恵子に訊く。


「私的には、朱里ちゃんの可愛さを広めたいのは事実なんだよね」

「だよね」


 俺はそう、うんうんと頷く。

 ちなみに今は朱里の姿だ。


「私自身、気持ち悪い事は分かるの。だって、わたしは男なのに女の姿をしているんだから。でも、修学旅行に彼に嫌な気持ちをさせずに明かりで暮らしたいの」

「それは分かる」


 うんうんと、理恵子は頷く。


「私とその、渋沢君を交換して欲しい……」

「私が一緒にいると楽しいから、かしら」


 理恵子は頷く。


「それはあたしも思う」


 そこに一人の人間が入ってくる。その声に理恵子は一瞬「ひっ」と言って俺の裏に隠れる。


「隠れる事はないでしょ、グループメンバーだし」


 そこにいるのは、この学校で陽キャに近い人間。中岡光さんだ。


「苦手なんだもん」


 そう、俺にだけ聞こえる声量で言う理恵子。

 それに対し、中岡さんは「なんて?」と言ったが理恵子は答えなかった。


「理恵子は人見知りだから許してほしい」


 そう、俺は行った。

 すると、「なるほどー」と、理恵子の顔をじっと覗く。


「まあ、そんな事はどーでんいいんだけどねえ」


 そして、俺の顔を見る。


「あたしは別に構わないと考えてるよ。男が女装してようが別に関係ないし。あ、でも女子風呂に入ってきたら容赦しないけど」

「ちゃんと男子トイレを使ってるわ。あと、銭湯では男風呂だし」


 むしろグレーな俺が女子風呂とかは行っちゃったら完全にアウトだ。性欲で女装しているという事になる。それだけは許されてはならない行為だ。


「で、渋沢君がぐずってるの?」

「ええ、私のアンチみたいです」

「気持ちは分からないことも無いけど、認めたらいいのにねー」


 俺も頷く。


「わたしも男なのに女口調で話してるからどうなの?という問題もあるかもしれないわ」

「でも、そこはどうでもいいっしょ。問題は朱里が女装したいかしたくないかそこにしかないと思ってるけど」

「ええ」


 この人がグループメンバーだったらな、と思った。


「記事を見せるしかないのかしら」


 俺が言うと、「そうかも」と、理恵子も頷く。


「問題は見てくれない事なのよね」

「うん」


 理恵子もまた頷く。


「こんなにいい写真なのに」

「どれどれ―」


 中岡さんが俺の手にあった写真を手に取る。その雑誌には俺のおしゃれした姿がある。


「え、ナニコレ。めっちゃ可愛いじゃん。女でも惚れそう」

「ですよね」


 理恵子がぐいっと俺の背中から飛び出してくる。

 苦手なんじゃなかったのか。


「だから、朱里ちゃんの事が好きなの」

「あたしと一緒に話しする?」

「いいね」


 二人が意気投合したみたいだ。

 理恵子の問題は解決したみたいだ。


 だけど、俺の問題はまだ依然として何も解決してない。

 その後、中岡さんが俺の雑誌を持って彼の、渋沢君のもとに行ったが読んではくれなかった。


 そして、水木さんとも上手く話せないまま、本番、修学旅行当日を迎えた。


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