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クラスの孤高の狼がなついているのは女装した俺  作者: 有原優


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第三十二話 ボードゲームカフェ

 そして来たる日

 文化祭がついに開催された。

 今日と明日は、俺と水木さんとで、シフトを完全に二分する感じになっている。

 だからこそ、その客の入りで勝負することができる。

 認知度的にはどうなのだろうか、明里として登校し始めたのは最近からだから、そこまで認知度は広まってない気がする。

 だが、それは置いといても、最終的に俺の方が人気になることは間違いない。


 そして俺は、最初はシフトに入らずに、他のクラスの教室を回る。

 だが、その際にもメイド服は着る。


 というのも、宣伝塔になるという役割もあるのだ。そういう観点で言えば、俺が常にシフトに入っているとでも言っていいだろう。


「理恵子、まずはどこに行きたい?」


 どう、俺は理恵子に訊く。


「そうだね。ボードゲームカフェに行こうよ」

「いいわね」


 ボードゲームカフェ。つまり、ボードゲームが楽しめるカフェだ。

 飲み物を頼み、その中でみんなでボードゲームをしようという場所らしい。

 中々面白そうな場所だ。


「えっと、場所は……」


 理恵子はそう言って手元のパンフレットを見る。


「ねえ、可愛いじゃん」


 一人の男子が話しかけてきた。


「メイドカフェ?」

「ええ、ここでやってるので、避ければぜひ来てください」


 そう、パンフレットを指さしながら、営業スマイルで言った。


「来たら喜んでくれる?」


 明らかに、異性の目で見ているな、と感じた。

 おあいにく様、その相手は男なんだけどな。


「ええ、喜びますよ」

「分かった、じゃあこの時間に行ったらいいんだね」

「ええ、はい!」


 俺はそう返すと、男子生徒はステップを踏みながら歩き出す。


「朱里ちゃん、大丈夫?」


 理恵子が心配そうに訊いてきた。

 そうか、理恵子はああいうタイプの男子が苦手だったな。


「大丈夫よ。私は強いもの」


 男だからいざとなれば反撃できるしな。


「朱里ちゃんは強いものね」


 そう理恵子は笑った。





 ボードゲームカフェの中に入ると、その中はすでに盛り上がりの様子を見せていた。

 なんインカの人たちがそれぞれの場所で楽しんでいる。

 俺と理恵子はそれぞれミルクティーを入れてもらい、席に着いた。そこには一名ずつの男女がいた。

 前もっての説明で、俺たちとクラスの二人でチームを組んで、四人でやるみたいな感じらしい。



「お」



 男の方は少し喜びの表情を見せた。実際、朱里は美少女だし、理恵子も可愛い。

 理恵子を異性の目で見られるのは少し嫌だけどな。


「ちょっと」


 その男性生徒を、隣にいた女子生徒が否める。


「ごめんね。私は藍坂恵美子。それでこっちが角松栄太です」

「うっす」

「うっすじゃないでしょ」

「幼馴染なんですか?」


 その二人のやり取りを見て、理恵子が訊く。


「ええ、でもこいつ本当に節操がないの」

「そんなこと言うなよ、恵美ちゃん」

「自分の今までの行いを反省しなさい。一応言っとかないとあんた永遠に繰り返すでしょ」

「ええー」


 仲がよさそうだ。


「それにしても、メイドさん?」

「ええ、私達メイドカフェをやっているから、その宣伝を兼ねて、メイド服を着ています」

「そうなんだ」

「だから零したら大変なのよ」

「ああー、シミとかね」

「ええ、だから、えったいに零さないように、食べ物もの物も丁寧に飲んでいかなきゃダメなんです」

「へー」


 初めての相手で緊張したが、これなら普通にしゃべれそうだ。


「それで、朱里ちゃんは本当にかわいいんでしよ」


 理恵子が自慢げに言う。まるで、自分の事を話しているかのように。


「だから二人とも、朱里ちゃんをよろしくお願いします」


 理恵子は頭を下げる。


「なんだよそれ、選挙演説かよ」


 角松君も笑った。

 理恵子の一発ギャグ?大成功だ。

 まあ。本人としては本心なのだろうが。


「理恵子は私のファンクラブ一合なのです」

「ファンクラブなんてもんがあるのか?」

「ええ、まあ会員は理恵子一人だけですけど」

「そうか。って、肝心のボードゲームをしてねえじゃん」


 角松君がそう叫ぶと、相坂さんも「そうだわ」と言った。

 確かにこの人たちは、俺たちにルールを説明してくれ、一緒にゲームをしてくれる人たちだ。

 このままだと、彼らにとって、俺たちの時間を無駄に奪っている時間泥棒になってしまう。


「じゃあ、ルールを説明するね」


 そう言って、二人は俺たちにルールを説明し始める。俺たちはそれを聞き、ルールをろ過石、早速ゲームを開始する。

 そのゲームはシンプルなものだった。

 一見ただのすごろくだが、少しだけ違うところがある。それhすごろくの出目のウソをつける事らしい。

 つまりさんマス後に言いますが会ったら、出た目が五でも、三と嘘をつける。

 だが、それにも制約があり、嘘がばれたら10マス戻らなくてはならない。だが、嘘を指摘する方にもリスクがあり、指摘したにもかかわらず、嘘じゃなかった場合指摘した方が15マス戻るのだ。


「三ね」


 中盤に入り俺が三と言った。これはブラフではない。勿論本当だ。

 何しろ、俺は嘘をつくのが得意じゃない。だからこそ、あまり頻繁には嘘をつくのはよくないだろう。


「朱里ちゃん嘘だね」

「え……?」


 嘘じゃないんだが。


「私は朱里ちゃんとずっと一緒にいるから分かるの」

「別に嘘じゃないのだけれど」

「朱里ちゃん。ごまかしても無駄だから」


 いや、別にごまかしてないんだが。


 向こうにいる二人は、それを見て微笑んでる。

 はあ、


「嘘でいいのね」


 念を押す。別に俺的に理恵子が戻ってくれたらいいんだが。


「いいよ」


 理恵子がそう言ったのを契機に俺は理恵子にさいころの出目を見せる。


「ごめんなさい、本当なんです」


 そう言うと、理恵子はすぐに固まって見せた。


「本当なの」

「うん。残念ながら」

「ええ、嘘だと思ったのに」

「ごめんね。私はリスクを負わないのよ」


 俺はこういう時あまり攻めたくないからな。


「百合っていいよな」


 角松君がそう言う。すると、相坂さんが「またそんな事」といって諫める。


 一応俺は男子だから百合ではないのだがな。


 そして結果的に、俺が圧倒的な一位になった。


「悔しい」


 そう、理恵子が俺に泣きつく。

 俺はその頭をよしよしと撫でる。


「それにしても、朱里さん強いんだね」

「ええ、まあでも運がいいだけなのですけどね」


 実際、俺はほとんど、嘘をついてない。

 ただその代わり俺の運が良かったから、他のみんなが俺をかtぅてに疑ってくれたおかげだ。

 特に理恵子がな。


「楽しかったわ」

「ええ、こっちも。ね、栄太」

「ああ」


 最後にメイドカフェの宣伝を軽くして俺たちは別れた。


 そして店を出るが、腕時計の針はすでに11時を指していた。

 そう、シフトの時間だ。


「じゃあ、そろそろシフトだね」

「そうだね」


 俺は接客し、理恵子は、料理を用意する。

 早速楽しみだとはいわない。回ってた方が楽しいし。だが、俺の可愛さを見せつけられるという点に関してだけ言えば、楽しみだ。


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