不思議なワンちゃん
とても短いです。
あらすじにも書きましたが、オチは無いのでソコは御了承願います。
ふふっ。 また俺を見てる。
お前が顔を覗かせる場所は、お前の匂いからバレバレなんだぞー。
お前に気付いてそっちを見ても、ずっと俺を見つめる姿は、本当に可愛い。
俺自身は、何処にでもいる一般人。
でも俺はそうでも、ちょっと違うところがある。
突然だが、俺はワンちゃんに気に入られている。
そのワンちゃんはいつも何処かの角から顔を覗かせて、俺をじ〜〜〜〜っと見ている。
何処へ行くにもじ〜〜〜〜っと見ていて、本当に可愛くてたまらない。
そんなワンちゃんは、ある日突然匂いと共に現れて、以降はずっと俺と一緒にいてくれてる。
そのワンちゃんには特徴しかない。
ワンちゃんは大好物なのか常に魚みたいな匂いをしていて、隠れているっぽいのに隠れている方向がバレバレだ。
しかも隠れる場所はいつも何処かの角だから、匂いのする方向の角っこを見ればすぐ見つけられる。
まるで猫のスフィンクス種みたいに毛が無くてツルツル。
ワンちゃんの姿はワンちゃんらしくないけど、シルエットとかで見ればやっぱりワンちゃんという、愛嬌さえ感じる外見。
そんな可愛いのがずっと俺を見ているんだ、そりゃあ可愛がりたくなるよね。
なでなでとかしようとワンちゃんへ近付くと物陰に隠れて消えてしまうので、大好物っぽい魚を投げてあげる。
すると投げた魚はあっという間に消えて無くなり、魚みたいな匂いが少しの間強くなる。
ああ……可愛い。
こんな可愛いワンちゃんだ。
みんなにもこの可愛らしさを知ってもらおうとするけど、それは難航している。
だってみんなが匂いに気付いてワンちゃんを見ると、なぜか言動が可怪しくなるんだ。
突然叫びだす、暴れ始める、何処かへ走り出す、変な癖に突然目覚める、うわ言を繰り返す、気絶する。
他にも。
大体は一時的な混乱っぽいけど、時々何ヶ月も可怪しくなったままの人もいる。
なんでだろうか?
まあそこはいいんだ。 兎に角、ワンちゃんの可愛らしさがみんなに全然伝わらないし、理解してくれないんだ。
そんな俺とワンちゃんだが、俺が実質飼っているようなものだ。
ずっといつも一緒にいる。
自宅へ帰ったら「おかえりー」とばかりに家の角から顔を覗かせてくれるし、家の中のどこにいてもついてきて、角から俺をじ〜〜〜〜っと見続けている。
寝る時も俺が寝るまで見守ってくれる。
こんな可愛いワンちゃんなんだから、みんなが受け容れてくれないかなぁ。
ティンダロスの猟犬に監視されていて、既にSAN値が0になっている、SAN値直葬済みの青年の日常でした。