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自称元・聖獣のドーミィ

昨夜の予約投稿が出来ていませんでした(>_<)



よろしくお願いいたしますm(__)m

 3歳になりました!


 いや~、長かった。長かったよ。

 しかし、この3年間で言葉はある程度マスターして、意思疎通に支障がないレベルには達したし、この世界についての理解もわりと深まった。

 それに伴って疑問もいっぱい沸いてるけどね。まぁ、それについては絶賛なぜなぜ期の双子ちゃんことクリスくんが頑張ってくれてる。


 あ、双子ちゃんは男の子だったよ。しかも俺が弟でした。

 クリスくんってば、現状は天使のように愛くるしいビジュアルだから、妹だったら嬉しかったけどね。

 でも、男兄弟にも憧れてたから、今後が楽しみだ。


 それはさておき、そう、なぜなぜ期のクリスくんはことあるごとに『なんで?どうして?』を連発して母を困らせてるのよね。

 去年はなになに期で、目新しいものは全部『あれなに?これなに?それなに?』状態だったから、まだましだったんだろうけど、“なぜ”“どうして”は答えに困る時あるからね。

 中身大人の俺は、どちらかといえば母に同情気味。

 でもそんなクリスくんが色々聞いてくれるから、俺も聞き耳を立てるだけで、特に不審がられることもなく知識を吸収出来てるわけ。


 正真正銘3歳児のクリスくんからは出てこない疑問点はいくつか残っているけど、それは追々片付けていくこととして。

 これまでで判明したこと。


 まず、ここでは生まれてすぐに“封呪の儀式”とやらで魔法を使えないようにされるらしい。物心もつかないような子供が暴走して事故るのを防ぐためだとか。そして、5歳になったら“解呪の儀式”で魔法が使えるようになるという。

 この“解呪の儀式”の時に、同時に魔法適正とか加護とか色々調べるみたいで、その結果次第で6歳になったら入学する王立学院のコースを選ぶことになるっぽい。


 あとは、この国――ユゼリア王国――の国土全体に大魔法結界が張ってあるから、結界内にいる限り魔物と遭遇することはない模様。国外に出たら危ないらしいけどね。他の国に入るまでは結界の外にいることになるから、魔物に襲われて当たり前みたいな。


 その魔物だけど、やっぱりというか案の定というか、魔王が誕生(復活?)すると活性化するんだとさ。

 詳しくは学院に入ったら習いましょうね~、と母はクリスくんの質問をかわしていた。


 他には、父も母も元冒険者だとか、今は父だけ冒険者を続けて母は引退しているとか、両親揃って孤児院出身だからほかに頼れる身内はいないとか、そんなことを知りました。


 過去の魔王と勇者の戦いは、物語として母が語ってくれたけど、寝かし付けに聞かせてくるからあんまりしっかり聞けてないんだよな。

 の◯太並に寝付きいいから、俺。


 そんな感じで、クリスくんのなになに期やなぜなぜ期に乗っかって色々と知識を身に付けているわけだけど、そのクリスくんが一番興味を持ってるのって、実は俺なんだよね。


 はじめは、俺の髪と目の色が一人だけ違うから気になったようだった。

 うちは両親もクリスくんも金髪に緑色の目だけど、俺だけ白髪に紫色の目だからね。いわゆるアルビノってやつだと思われる。両親は特に気にしてない風だったし、近所の人たちも気に留めてないから珍しいことではなさそう。

 でも、クリスくんにとっては気になることだったんだな。マイナスの意味ではなく、俺の髪と目が好きらしい。

 喋れるようになるまでは、よく髪を引っ張られた。一回掴まると離さなくて、地味に痛かった。

 最近はそんなこともないけど、そのかわりによく『ルイスのかみ、きれい。めもすき』って言われる。

 ………実はちょっと嬉しかったり。

 自分に懐いてくる双子の兄弟、しかもビジュアル天使、もうラブですわ。

 立派に相思相愛のらぶらぶブラコンよ。

 クリスが将来冒険者になるかはわからないけど、もしなるなら俺の勇者パーティに囲い込んでなにがなんでも絶対に守ってあげよう、と内心固く決意している俺であった。




 ★ ☆ ★ ☆ ★




「ルイス、きて!!」

「ん?」

「これあげる!」


 可愛いクリスくんのマイブームは、専ら自分が見付けたお宝――石だったり虫だったり、俺的には要らん物のことが多い――を俺にプレゼントすることである。


 この日はたまたま父が冒険者稼業を休んで朝から家にいたので、母の提案でピクニックにきていた。

 王都から少し離れた、程よく都会程よく田舎のこの町モッカタウンは、緑豊かでピクニックにぴったりの小丘が近所にある。

 そこで母の美味しいお弁当を食べて、両親は仲良く食休み――父親が母親の膝枕でお昼寝――しており、俺とクリスくんは遠くにいかないという約束のもと、辺りを散策していたのだ。


 季節柄あんまり花は見かけないけど、虫はやたらいる。

 家族内で唯一虫嫌いの俺としては、正直一刻も早く家に帰りたいわけだけど、天気はいいし、せっかくの家族団らんだから我慢してクリスくんと遊んでいるのだ。


 そうしたら、始まりました。

 ここのところ毎日続いているプレゼント攻撃。


 満面の笑みで俺を呼ぶクリスくんのところへ行くと―――――。


「なにこれ」


 思わずそう呟かずにはいられない、ヘンテコな生き物がそこにはいました。


 最初、生き物だとは気付かなかった。


 丸いフォルムの、ガラス体のようなものに羽が生えてる。羽といっても鳥みたいなふさふさした感じのではなくて、かといって蜻蛉みたいな透け透けのではなく、パタパタ動いてるから羽っぽいというだけの、金色の飾りみたいなやつね。


「さっきおちてきたの」


 そう言ってクリスくんは両手に乗せたその謎生物を俺に差し出してくる。


「はい、あげる!かわいいでちょ?」


 くぅ………っ!!

 可愛いのは君だ!!


 きゅるるん、とした瞳で俺を見つめてくる。

 喜んでくれるよね?という圧力がすごい。


「ありがと」


 恐る恐るそれを受け取った。


 あ、あんまり変な感触じゃない。

 てっきり毛虫みたいに見た目ふさふさ実際はチクチクする的な感じかと。

 見た目通りのふさふさでした。


 しばらくクリスくんとじっと観察していたけど、そいつは時折羽を動かしてちょっとだけ俺の手から浮くだけで、あとはそこに留まっていた。


「クリスーー!ルイスーー!そろそろ帰るぞーー!」


 父に呼ばれたので、その生き物を抱えたままクリスくんと両親のところへ戻る。


「おとうしゃん、これ、なにかな?」


 父に見せてみた。

 子供の口はあまり回らないもんで、滑舌が悪いのは許しとくれぃ。


「うん?どれどれ……お?」


 お父上の目がキラリと光った。


「これは、ドーミィだ!」

「どーみぃ?」


 クリスくんがこてん、と小首を傾げる。

 きゃわゆい。


「精霊の亜種で、一般的には精霊モドキと呼ばれているんだ。滅多に見付からないのに……よかったな!」


 へぇ~。

 なんだかレアな生物のようだ。

 今までのクリスくんのプレゼントの中で断トツ良さげだ。

 ………今までは丸い形の石ころとか、虫食いのない紅葉とか、生まれたばかりのガラント(クワガタみたいなでかい虫)の幼虫――ひっじょぉにキモチ悪かった――とかで、正直全く嬉しくなかったからな。特に虫!


「あしゅってなに?」


 クリスくんは理解出来なかったようである。

 ま、3歳児だ。

 俺は中身大人だからね!


「精霊の中でもちょっと特別な子ってことだよ」


 父がクリスくんの頭を撫でながら答えていた。

 それを聞いたクリスくん、にっこり満面のエンジェルスマイルで俺を見る!

 きゅーと………ッ!!!


「とくべつだって!ルイス、だいじにちてね!」

「わかった!」


 うんうん、大事にしますとも!


 クリスくんの笑顔に癒されていると。


『わしは精霊の亜種なぞではないぞ!!!!!』


 吠え声が響いてきた。


「「!?!?!?」」


 俺とクリスくんは二人して飛び上がって驚いた。


『馬鹿にするにもほどがあるだろう!!!わしは元は由緒正しき聖獣よ、精霊ごときと一緒にするでない!!』


 ウォォオ!!!と、怒鳴り声。


「クリス?ルイス?」


 どうやら父には聞こえてないようだ。

 でも、俺とクリスくんにははっきり聞こえている。


『そこな小僧共よ、次にわしを精霊扱いしてみろ、二人とも喰ろうてやるからなぁ!!!』


「…………ぅ……ぁぁああん!!!!」


 クリスくんが号泣した。

ありがとうございますm(__)m

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