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暇すぎる赤ん坊暮らし

よろしくお願いいたしますm(__)m

 ふふふ……。

 この度、異世界に転生を果たしました!


 起きたら本当に生まれてた。

 視野が狭い上にぼんやりとしているが、金髪と緑色の目をした男女がよく俺を覗き込んでくるので、たぶん彼等が俺の両親に違いない。


 前世の俺の両親は、俺が小さい頃に鬼籍に入ったので親孝行は出来なかった。でも、今回は出来るぞ。

 今の両親よ、安心してくれぃ。息子は勇者だよ!しかも中身は30年弱生きた経験があるんだぜぃ。子育てに苦労はさせないよ~。


 なんて思っていたが、無理だった。

 というのも、体の自由がほとんど利かないのである。全く動かせない訳じゃないけど、なんていうか………夢見ているときみたいな?

 夢の中だと、走ろうと思っても走れなかったり、話そうとしてるのに話せなかったり。

 俺、子供の頃、夢でトイレに行ったら現実でもしちゃってておねしょになった経験あるんだけど、そんな感じよ。


 なもんだから、夜泣きはするわ大も小も漏らしまくりだわで、両親がやつれております。


 しかもね、どうやら俺ってばきょうだいがいるくさいんだよね。

 女か男か知らんけど。

 母親のお乳を吸うときに(すまぬ、役得でしかない……!)、金髪緑眼の天使のような赤子が共におるのさ。

 おめめぱっちり、ふんわりカールがかかったブロンドヘアにまっちろいすべすべお肌の、もうね、赤ちゃんモデルになるしかないくらいの可愛い子が!!


 こりゃおそらく俺は双子で生まれたんだろうね。


 そして二人揃って真夜中にぎゃん泣きして、ほぼ同じタイミングでおしめを濡らし、日中も何かある度に――お腹すいた時とか、虫が鼻に止まった時とか――ぐずるし、何もなくても泣くときもあるし。

 いやぁ、ほんと、申し訳ねっす。

 双子ちゃんはともかく、俺は一応精神的には大人なんで、睡眠時間を削らせてしまうことへの罪悪感が半端じゃない。

 でも本当に自分じゃどうしようもないから、両親、まじごめん。


 そんな感じで赤ちゃん生活を送っているわけなんだけど……………………………………………………………暇。

 ちょー暇。

 赤ちゃんってほんと、食っちゃ寝生活なんだなー。

 寝てる時間の方が起きてる時間より長いけど、ずっと寝てるわけでもないからさ。

 歌でも歌おうとすれば、泣いてると勘違いした両親がすっ飛んでくるし。


 なーんにもやることがないんで、いろんなことをとりとめもなく考えていたら。

 そう、思い出した。

 トーレニアさんが転生直前に言っていたことだよ。

 俺が真っ二つになったってアレ。

 半分しかない俺の遺体、どうなったんだろう?

 絶対、事故じゃなく事件扱いになってるよなぁ。

 姉貴、本当にすまぬ。

 真っ二つになった人間の死体なんて見たことないけど、それはもうグロテスクに違いない……。


 あと、原因は聖女召喚のときの範囲の設定を間違えた的なことも言ってたな。

 聖女が召喚されたってことは、その召喚された人はあっちの世界から来た異世界人ってことなわけよ。

 んで俺は勇者だから、いずれその人と魔王討伐の冒険をすることに………むふふ、楽しみじゃ。


 しっかし、もうちょっと体が成長しないことには冒険は無理だな。


 ……実は、転生直後に『ステータスオープン!』とか『鑑定!』とか、思い付く限りの“それっぽいこと”は試している。

 でもな~んにも起きませんでした。

 魔法も試してみたけど意味なし!

 つまり、もっと大きくなって自由に動き回れるようにならないと、冒険が全く始まらないってことよ。

 今の状態でできるのは、一日でも早く成長することと言葉を覚えることだな!




 ★ ☆ ★ ☆ ★




 半年もする頃には、ハイハイで動き回れるようになった。

 同時に、双子ちゃんも動く動く。

 母は俺と双子ちゃんを追っかけては捕まえ、また追っかけては捕まえ~を毎日四六時中繰り返している。


 ま、俺のことはほっといてくれても大丈夫なんだけどな~。

 それを伝えられないから仕方ない。

 言葉に関して、リスニングはちょっとずつ出来るようにはなってきたけど、スピーキングはね、まだまだよ。


「あ、こらクリス!!待ちなさい!!」


 おむつ交換の時すらじっとしていない双子ちゃん。

 名前からは女か男かわからん。

 お風呂もおむつ交換も、俺と双子ちゃんは別々だからまだ確認できてないのさ。

 ちなみに、俺の名前はルイスです。


「もうっ!ほんと£%*&#」


 まだ全部は聞き取れません。


「アランも**#★@&%だし…」


 溜め息をつく母。

 あ、アランは父親のことな。

 一家の大黒柱は、最近あんまり家にいない。

 俺と双子ちゃんが生まれてしばらくは家にいたんだけど、ちょっと前からちょいちょい出掛けるようになった。

 ま、仕事でしょう。これからは奥さん以外にどんどんでかくなるガキが二人も出来たからね、ガンガン稼がんと!

 俺が大きくなって勇者として活躍できるようになったら、たっぷり親孝行するからそれまでは頑張ってね、パパン。


 そうそう、あらかじめトーレニアさんから聞いていた通り、科学は発展してない世界です。

 かわりに魔法を使うのかと思いきや、今のところそれっぽいのは見ていない。

 ランプも暖炉も手動だし、虫が入ってきたときも母がはたきで勇敢に叩き潰していた。


 他にも、魔物やらモンスターやらがいるのかとか、身分的なものはあるのかとか、気になる点は多々あるが、それもこれも言葉を覚えて会話出来るようになれば解決できよう。

 どれもすぐに知りたいってほどでもないしね。

 仕事ができると上司からの覚えがめでたかった俺は、全体像を把握してから正しい優先順位を見極める能力が高いのさ。

 まずは言葉。

 リスニングだけで学ぶのは厳しいかもしれないけど、やるしかない。幸い、暇をもて余してるもんで。時間だけはあるのよ、ベビーな俺にはね。

ありがとうございますm(__)m

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