《2》
ある日の真夜中。使われなくなった港の倉庫で、銃声と悲鳴が轟いた。
「こっちだ!」
「ヤツはどこにいる?」
「撃てっ!味方に当てないように撃ち続けろ!」
「噂ではなかった・・・・・・!アニマル・ファミリーの重鎮、愛くるしい見た目と名前に反して残忍なスパイが本当にいたとは・・・・・・!」
機関銃を持った1人の戦闘員は、しゃがみこむと呟いた。
そうこうしている間にだんだんと悲鳴と銃声の音量が下がってきた。静寂が訪れるのに時間はかからなかった。
「あなたは間違って覚えてしまっていますね。私はアニマル・ファミリーの重鎮ではありません。しかも「残忍」と言っても、ファミリーのルールで「相手が誰であろうと人を殺してはいけない」というルールがあります。」
「こ、この量の戦闘員を、どうやって鎮めたんだ!30人以上は配備されていたんだぞ!」
「あなた以外皆気絶させました。朝には起きますよ。」
「お前は、誰だ!」
「【コードネーム:パンダ】。知っているはずでしょ?」
「お前・・・・・・!」
「了解。」
パンダは見えない相手に返事をすると、コンクリートの床を蹴ってその場から消えてしまった(実際は屋根の裏に飛んだ)。
「パンダァァァァァ!お前だけは逃がさない!そのメモリは我々が死守せねばならんのだ!」
「じゃあ、奪われたあなた方が悪いってことで!」
機関銃を持った戦闘員が標準をパンダに定める。パンダはまだ滞空している。
「死ねぇぇぇぇぇ!」
彼は引き金を引いた。しかし、機関銃はうんともすんとも言わない。
「残念だったな、レザールの戦闘員共。我らアニマル・ファミリーを甘く見た報復だ。」
闇から落ち着いた声がしたと思うと、彼は気絶して倒れた。声の主は彼の背後からユラリと立ち上がると、濁った目をパンダに向けた。アイボリーのケープマントが月明かりに照らされてやけに目立つ。
「早く来れて良かったよ、パンダ。」
「オウルさん!助かったよ~!」
「まったく、「滞空中には注意しろ」とあれほど言ったのに。」
「逃げ場がなかったんだもん!」
「それで、例のメモリは?」
「入手済み!その後で逃げるときに見つかっちゃったから戦ってた。」
「敵組織の末端戦闘員だから、殺しても良かったんじゃないのか?お前くらいのスパイなら、全員殺すなんて容易いだろう。」
「オウルさん、私達は殺しはしないんだよ。」
「そうか。」
福来鏡。アニマル・ファミリーの司令塔として、遠隔で指示をしたり、サポートに回ったりする何でも屋だ。しかし、人間としての感情が欠けているのかと思わせるほど、残酷な判断も平気で出来る。俗にいう「サイコパス」だ。
「さて、早くアパートに戻らないと、と言いたいところだが。」
「あ~あ、レザールの応援が来ちゃった!」
拳銃を構えたレザールの戦闘員が倉庫の入り口を塞いでいる。2人の目算で、だいたい80人といったところであろうか。
「これなら、もう一暴れしてみるか。パンダ、まだ大丈夫か?」
「あんなのただの烏合の衆でしょ。楽々で追っ払える!」
「お前は楽な方法を取らないんだな?」
「オウルさん、殺しをしたいなら別の組織に入ることをおすすめするよ。」
「誰も殺しとは言っていないが。」
「はいはい。」
2人は武器を構えると、戦闘員達に宣言するように言った。
「フクロウは、暗闇を飛び回り獲物を確実に仕留める。貴様らの支配施設といって容赦はしない。」
「パンダは中国語で「大熊猫」って言うんだよ。「大きな熊猫」って。見た目が可愛くても熊の親戚だってこと、忘れないでね!」
パンダとオウルは80人もの戦闘員達に向かって突進していった。




