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「撃退」

迅代はメイスのオークを引き付けるため、敵に向かって突進していた。

メイスのオークは、コボルドを3体引き連れて、迅代に迫っていた。

『囲まれて相手をするのは不利か・・・』

迅代はそう思い、包囲の端にいるコボルドに狙いを付ける。


距離が十分に近づいた頃合いを見計らって、加速ダッシュで、端のコボルドの前に踊り出る。

突然、目の前に現れた迅代に足を止め、ナイフを振りかざすコボルド、しかし。

「遅い」

迅代は、バトルナイフでコボルドの腕、胴と切りつける。

コボルドは血を噴き出して倒れ込んだ。


それを見た次に近いコボルドが飛び掛かってくる。

今度のコボルドは迅代のナイフの切りつけを自分のナイフで受ける。

「キン!」

しかし、迅代は、サブナイフを繰り出し、コボルドの胴体を突き刺す。

そして、掻っ捌くように横に斬り上げた。

「ギャウ!!」

悲鳴と共にコボルドが倒れ込む。


瞬時に2体のコボルドを倒され、慎重になるメイスのオーク。

最後に1体残ったコボルドにも何か伝えているようだ。

オークの後ろに隠れるような体制を取るコボルド。


そして迅代に向かって突進してくるオーク。

その後ろにコボルドも付いてくる。

2体が連続で仕掛けて来ようと言う腹なのだろう。


「サンダーボルト!」

迅代は電撃魔法をオークに食らわせる。

電撃が光り、目を剥いて体から煙を上げ、つんのめるオーク。

その後ろのコボルドはオークを避けて前に出てしまう。

そこを迅代が突進して、コボルドをバトルナイフでかっ捌く。

「ギャン!!」

盛大に血を噴き出して、倒れるコボルド。


電撃のショックで動きを止めたオークが、力を振り絞り、メイスを振りかぶって殴り掛かってくる。

だが、ダメージを受けたオークの動きでは、迅代の速さにはかなわない。

メイスを避けて、脇腹に深く、バトルナイフを突き立てる。

「グォ、ガハッ!」

そして迅代はバトルナイフを斬り抜いて、胴体を切り裂いた。

内臓が出て痙攣しているオークはもう動けない状態となった。


自分の側の敵を片付けた迅代は、肩で息をしながらアークスのほうを見る。

すると、トロールの一体がアークスを押しつぶそうと襲い掛かっていた。

「危ない!」

迅代は直ぐには助けに行けない。


しかし、トロールの体に矢継ぎ早に矢が刺さり怯んだ隙にアークスは退避した。

ロングボウの矢だ。

支援部隊の弓兵は、弓矢のコボルドをすべて撃ち倒した後、こちらの援護をしてくれていた。


「後は」

迅代はそう言うと、トロールのほうに走り出す。

2体のうちの、矢の攻撃を受けていないほうのトロールに目標を定める。

瞬間ダッシュの応用で、ジャンプも出来るように感じていた。

『ぶっつけだが、やってみるか』

そう考えながら、迅代は瞬間ダッシュの要領で、ジャンプを行う。

通常のジャンプよりはるかに高く、5mほどの高さに飛び上がる。

そして、アークスと弓兵に気を取られているトロールの背中に、バトルナイフを突き立て、斬り降りる。

「グオォォン、オォォンオォン」

トロールは響く悲鳴を上げながら、体をのけぞらせて倒れ込む。

「ドォォン」

倒れた音が周囲に響いた。


トロールを切りながら降りることで勢いを落とし、着地した迅代は、素早くトロールの体に登る。

そうして、トロールの心臓付近にバトルナイフを深く突き立てた。

トロールは一瞬大きな痙攣をし、そして完全に動きを止めた。


もう1体のトロールの様子を見てみると、矢は何本も刺さっているが、まだ動いて、アークスを追っていた。

あの巨体ではそう簡単に倒せないようだ。

迅代はそれを見て、トロールの後ろから近づく。


そうして足の腱を狙ってバトルナイフを振るう。

つんのめって倒れるトロール。

しかし、手足を動かして暴れていて、なかなか近づけない。


迅代はロングボウの弓兵を呼び、至近距離で頭を狙うように指示した。

回復薬で治療した者を含め、4人の弓兵で揃ってロングボウの矢をトロールの頭に撃ち込む。

さすがは威力が大きいロングボウの矢は、トロールの頭蓋骨を貫通し、仕留めることが出来た。


なんとか奇襲をかけて来た魔物の部隊を、無事に撃退することが出来たのだった。

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