表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/348

「部隊の成果」

冒険者パーティーを加えたスカウト部隊の偵察活動は、目に見えて成果を出して行った。

やはり、スカウトメインで活動している冒険者パーティーなので、隠密行動での偵察活動の成果は、迅代が必死で行ったものよりはるかに優れていた。

活動を開始してから4日が過ぎたが、ガレーネのパーティーも、リガルドのパーティーも、敵の拠点の2kmほど前まで進出していた。


「すごいな、これで、敵の陣容は概ね把握できる」

迅代は舌を巻いた。

魔物のパトロール部隊も頻繁に出くわすようだが、獣人の優れた感覚と、サーチ魔法による探知で、全く戦闘は発生していなかった。

『これでは、俺が必死に情報を持ち帰る事も無かったか』

すこし自分の力を過信していた迅代は反省していた。

より得意な者が居るなら、その者に任せる、という事をもう少し意識しないとな、と。


本部の統合地図には、日を追うごとに濃密な情報が加えられていた。


迅代が見つけたような監視拠点は、オークとゴブリンの部隊が主に駐留していた。

そして森の中に4カ所作られていて、いずれも川沿いだった。


高見やぐらは1つ、迅代が見つけた物だけだった。

そのやぐらには常時ハーピーが4体ほど居て、異常の確認と通報が即座に行えるようにしていそうだった。

更に、やぐらの下にはオークやコボルドが駐留していて、戦闘時には加勢する体勢ようだった。


そして川の上流、拠点の渓谷の3kmほど前には、防御陣地を複数個所築城しているらしい。

大部隊の移動は川沿いに行われるだろうという読みだろう。

敵の攻撃が有れば、防御陣地の抵抗線で敵を捕まえて、拠点から出撃する本隊の襲撃部隊で押しつぶす構えだろう。

もしかしたら、監視拠点や森のパトロール隊を集めて後方から挟撃する意図も有るかも知れない。


だが、川沿いが兵力配置が濃密な分、その他での防御は手が回っていない感じだった。


兵力が逐次増強されて防御態勢が完成すれば厄介だが、今の状態なら拠点の中心部である渓谷を迂回攻撃できるだろう。

拠点の中心部はさすがに偵察できないので、主力部隊の兵力の全貌は計り知れないが。

『そこは3人の勇者たち任せで、まずはぶつかってみるしかないか』

迅代でもそう思わざるを得なかった。


今のスカウト部隊では戦闘部隊を持たないため、威力偵察のような戦闘行為は出来ない。

見える範囲内で観察するしかない。


しかし、観察だけでも濃密に行えたので、敵の防御の薄い所は把握している。

魔王軍討伐部隊の本隊の移動には少し支障はあるが、侵攻ルートの案を3案ほどすでに作ってあった。

『だが、この侵攻ルート案をボーズギア殿下にどう納得してもらうか・・・だな』

いままでの感じでは、迅代の提案と言うだけで却下されそうな気がしていた。

『うまく周囲の意見も巻き込むよう、勇者たちにも加わってもらって打ち合わせるか』

絡め手で進めないと、迅代は面倒だがそういう考えを持つよう、留意していた。


『そういえば、そろそろ魔王軍討伐部隊の本隊が進出してきているかも知れない』

『物資の補給と状況把握を兼ねて、ルーフを一度村にやるか』


2時間ほどして、休養時間が明けたばかりのルーフに指示を出す。

「ルーフ、一度村に戻って、本隊が居ればここに連れてきてほしい」

「もし本隊が居なかったら、追加の食糧を2日分調達してくれ」

迅代の指示にルーフは間の抜けた声で返事をする。

「へーい」

『本隊が来れば俺たちの仕事も終わりだぜ』

『やれやれだ』

とルーフは内心では思っていたが。


翌日。


ルーフが乗る馬を先頭に、隊列が続々と到着する。

魔王軍討伐部隊の攻撃部隊、魔法支援部隊、そして司令部部隊。


すでに村に魔王軍討伐部隊のほぼ全力が進出していたようだ。


そして今までに無く腰が低い姿勢でルーフが数人の人を案内してきた。

司令官であるボーズギア皇子とその取り巻きだ。


スカウト部隊側も、偵察行動が一段落ついて、2つのパーティーの主要メンバーが本部に居る。

本部の統合地図と、冒険者パーティーのメンバーたち、そして迅代を見て、ボーズギア皇子は言った。


「ジンダイ殿、これはどういう事かな?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ