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「出撃準備」

魔王軍討伐部隊の各部隊は、朝から騒がしかった。

突然に出撃準備が発令されたからだった。

詳細はまだ不明だが、皇国の首都ある直轄領から180kmほど離れた隣の領地、グーゼンテ領に魔物の拠点が発見されたと言う。

魔物が支配していると思われるズベーレン領からは300kmほども離れた場所だ。

突然の敵の拠点出現に、混乱が発生していた。

まだ、敵の規模も、どんな敵かもわからない、

ただ森の奥の渓谷に、陣取って居るという事だけが分かっていた。


部隊は3日以内に準備を整え、現地へ移動を開始すると言う。

現地の移動には徒歩部隊も居るため、5日ほどかかると思われた。


迅代は早速、スカウト部隊のみ先行出撃する許可を、ボーズギア皇子に求め、意見具申を行っていた。


「いや、我が魔王軍討伐部隊は、各部隊が一丸となって行動する」

「スカウト部隊のみが先行し偵察を行うなど、不要である」

ボーズギアは早速迅代の意見に反対を述べる。


「では、現地の状況は得ているのでしょうか?」

「確か、地元の領民や領主から情報は得られると、おっしゃっていましたが」

迅代は、以前のボーズギア自身の言葉で反論する。


「ぐ、まあ、現在は情報収集中であると、領主のグーゼンテ侯爵からは報告が有った」

「それを待つしかあるまい」

ボーズギアは痛い所を突かれて、少しイライラした口調になる。


「そういう時にこその、スカウト部隊です」

「より情報が多いほうが、部隊行動の助けになるでしょう」

迅代は淡々とボーズギアを説得する。


ボーズギアは少し考えた顔になる。

『そうやって下手に役立たれても目障りなだけだが・・・』

『だが、部隊の兵員は2名、あのヴィジランテ家の女従者を留め置いておけば何も出来ないか・・・』

「うむ、では、ジンダイ殿の意気は良く分かった、先行出撃を認めよう」

ボーズギアは面倒そうな顔で迅代に伝える。


「ありがとうございます、では、失礼します」

迅代は、儀礼的な礼を言うとさっさと退出する。

出撃許可さえあれば、こっちの自由に出来る、と。


そこからは、大忙しで準備を行う。

2週間分ほどの糧食の確保、そして、輸送馬車の手配。

ガレーネのパーティーと、リガルドのパーティーにも連絡を取り、現地で集結する段取りをつける。


輸送馬車にはルーフを付け、迅代とグリンは騎乗しての移動とする。

セレーニアも同行すると言っていたが、そこは断った。

恐らく、戦闘ではセレーニアは役立つのは間違いなかった。

今まで受けた魔法や乗馬の技術を見れば、恐らく、十分騎士の能力を持っているだろう。

それに剣術についても十分に自信が有りそうだった。

だが、今度は実戦だ。

セレーニアを危険にさらすし、城に居てもらって後方での色々な手配や対応を頼みたいと言う意味も有った。

それほど、スカウト部隊の陣容は人手不足だった。


後で、セレーニアが同行しないことを聞き、ボーズギアはほくそ笑んだ。

わざわざ手を回すまでも無かったと。


しかし、迅代が冒険者パーティーを雇って、捜索態勢を整えている事までは知っては居なかった。


許可が出た翌日にスカウト部隊は準備を整え、グーゼンテ領へ出立した。

ルーフは突然の出撃に不満そうであったが、さすがに永年兵、口に出しての文句は言わなかった。

軍隊ではよくある事だったからだ。

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