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「妨害対策」

リガルドの助けにグリーナはスッと体勢を立て直す。

「作戦通り動け」

リガルドの言葉に、グリーナはまた駆け足で動き出した。


ちらっと飛び上がった地面を見てみると、土色の網のような布に紐が付いていて、引っ張り上げることで被せた土や枯れ葉が舞う仕掛けだった。

遠くから紐の錘を切って飛び上がらせたらしい。

『ちっ!』

しょうもない仕掛けに驚いた自分に舌打ちしながら、グリーナは捜索に戻る。


「ひゅん!」

グリーナを狙う矢がもう一本来たが、リガルドが叩き落とす。そういう役割分担のようだ。

矢の飛んできた方向で、葉っぱの塊が動く。

相手が撤退するつもりと見たリガルドは追撃に入る。

『隊長さんは神出鬼没だと怖いが、位置を把握していれば怖くない』

リガルドは張り付いて迅代の動きを妨害し、グリーナとイリナが捜索に専念できるようにするのが目的だった。


迅代は逃げるがリガルドに対し、それほど速度の優位は無い。

迅代は、リガルドを振り切れないと見るや、大樹の後ろに隠れた。

リガルドは徐々に接近し、迅代を仕留めるべく、にじり寄る。


「ライトニングボルト!」

周囲から稲妻のような電撃が5m四方に何本も飛び交う。

迅代が魔法を発動した。

リガルドは怯むが、リガルドの鎧は魔法耐性が有り、電撃のほとんどは効果をキャンセルされた。


迅代はこの隙にナイフでの格闘戦に出た。

すこし体勢を崩したリガルドの懐に迅代が迫る。

しかし、リガルドは蹴りを入れ、迅代の接近を阻止する。

迅代は間髪入れず、ダッシュで回り込み、左側面からナイフで斬りつける。

リガルドはロングソードを左に廻し、迅代のナイフの攻撃を受ける。

そして返す刀で、今度は右側から振りかぶった剣で迅代に斬りかかる。


しかし、迅代は後ろに下がらず、リガルドの斬撃をナイフで受け切る。

当然、このナイフの模造刀にも鉄武装強化の魔法がかけてあった。

しかし、勇者との模擬戦時と違うのは迅代自身が魔法をかけた物だった。

無論、強度は1/3ほどしか強化できなかったが。

それでもリガルドの攻撃を受け切るには何とかなったようだ。


「フラッシュ!」

迅代はリガルドの目前で閃光魔法を発する。

「くぅ!!」

リガルドは一瞬閃光を見てしまう。

視界を失い不利と感じたリガルドは大きく後ろに後退する。

「ざざっ!」

迅代は音を立てるのも構わず、この隙に撤退した。

さすがのリガルドも、視界を回復するまでは、追撃を諦めざるを得なかった。

『結構機転が利く隊長さんだぜ』

自分の腕に少なからず自信が有ったリガルドだが、迅代の腕も魔法込みなら互角ぐらいか、と思い直した。


グリンは午前と同じ場所で陣取っていた。

ルーフが昼食時に話した時、半分寝ていた、と言っていたので、そんなものなんだ、と少し気が楽になっていた。

でもさすがに寝る勇気はない。

倒木の下に掘った穴に身を隠しつつ、一応、周囲には注意を払って、警戒はしていた。


そんな様子を、少し離れた木の上から、グリーナが見ていた。

『兵隊を探すのは簡単だったね』

地図にマーキングしながら思った。

『恐らく、もう一人は道の向こうの森とは思うけど、手を抜かずに、こっちの森を全部見ておくか』

グリーナから見ればザルな警戒をしているグリンに気づかれないように迂回し、更に森の奥の捜索に向かった。


視界が戻って来たリガルドは、森の中央の道を目指して動き出した。

『あの隊長の事だ、こっちは早々に切り上げて、今度は右の森のイリナを狙うだろう』

そう思っていた。

何故ならこれは演習で、経験を積ませたり、行動をチェックするのが目的なのだから。

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