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「反攻作戦:撃退」

迅代が放った徹甲弾の攻撃を受けた魔纏兵は、右腕を失い、胸の上あたりに徹甲弾が直撃したため、かなり弱っていた。

しかし、まだ生きてはいるようだった。


濃緑の液体が、傷から噴き出している。

それが魔纏兵の血のようだった。

残った、もう一体の負傷した魔纏兵と、無傷の魔纏兵は一瞬動けないでいた。


いままで通用していた敵弾を跳ね返すという行動が、かなり危険な行動に変質した瞬間だった。

「チュン!!」

「ガズ!!」

負傷した魔纏兵のほうに、弾丸が2発飛んできた。


1発は掠っただけだったが、もう1発は肩に命中して撃ち抜かれる。

「ボン!ギュイ!」

「ボン!ギュイ!」

遅れて銃声が響く。


セレーニアも、イリナも弾倉を徹甲弾に変えて射撃を始めたのだ。

もう腕で受ける戦法は通用しない。

無傷な魔纏兵は腕を飛ばされ虫の息の魔纏兵を助けようと左手を掴んで立たせようとする。

瞬間、「ガズ!!!」


無傷な魔纏兵が伸ばした右腕を吹き飛ばず。

「ボン!キュイイィィィ!!」


迅代のライフル銃が撃ち込む徹甲弾に当たれば、魔纏兵の強力な甲冑も易々と撃ち抜ける。


仲間を助けようとしていた魔纏兵は、諦めて翻って高速で機動し、戦線後方に後退し出す。

そしてセレーニア達に狙い撃ちされて、所々甲冑に穴が開いているまだ動けるため魔纏兵も、よろよろと後退し出した。


そこに、迅代の徹甲弾が、魔纏兵の頭部に直撃する。

「ボシュ!!!」

魔纏兵の後頭部が破裂し、濃緑色の液体が飛び散る。

そして、弾丸の勢いも相まって、進行方向に引っ張られるようにつんのめり、正面から倒れ込んだ。


「ボン!キュイイィィィ!!」


迅代のチームの銃撃で、魔纏兵の1体を討伐、1体を戦闘不能にし、1体は逃したものの腕を吹き飛ばすと言う戦果を挙げた。


魔纏兵の後退に呼応して、他の魔物兵たちも後退していた。

「と、突撃!敵を逃すな!!」

ここは押すべきところと、白虎支隊の隊長が騎士たちに命令する。

ぱらぱらと陣地を制圧するべく騎士たちが飛び出す。


後ろから刺されたヴィンツは、深手だったが、応急処置の回復ポーションのおかげで命に別状なく、動ける状態になっていた。


ヴィンツはふらふらとしながらも、虫の息の魔纏兵のほうに向かおうとする。


そこに、さっと移動してきて魔纏兵に襲い掛かる者が居た。


勇者ザーリージャだった。


「ひひっ!全くだらしないねえ!」

そんな事を言いながら、虫の息の魔纏兵にメイスの連打を浴びせる。


「ガズ!ガズ!!ガズン!!」「ガズ!!グシュ!!」


虫の息だった魔纏兵は体をボロボロに打ち砕かれ、絶命していた。

周囲の皇国軍兵士は止める事も出来ず、固唾をのんでその様子に圧倒されている。


動かなくなっているにもかかわらず、勇者ザーリージャは左腕のショートソードを素早く抜いて、魔纏兵の胸に描かれた青銅色の紋章があるあたりを突き刺した。

「ズブリ!!」

その一太刀を浴びた魔纏兵は、体の周囲が大量の黒いモヤに囲まれ、その後、火葬した後の灰のようなものしか残らなかった。


「なぜ、とどめを刺した」

ようやくザーリージャの元まで来たヴィンツは問い詰める。


敵の甲冑の調査や、甲冑の中身の者を調べるには絶好の素材であったのに。

ザーリージャの執拗な攻撃で、魔纏兵の秘密を探れる手掛かりのようなものは何も残らなかった。


ヴィンツの問いかけに、ザーリージャは何も言わず、面倒そうな顔をして無言で黒龍支隊のほうに戻って行った。


東門防御区画に陣取っている迅代は、一連のザーリージャの様子を眺めていた。

ザーリージャが魔纏兵から離れた後、ふと思い出し、頭を打ち抜いた魔纏兵を確認する。

しかし、そこには、ザーリージャがボロボロに打ち砕いた魔纏兵と同様、火葬した後の人型の灰のようなものしか確認できなかった。


「すごいよね!このライフル!!」

考えている迅代の耳にイリナのはしゃぐ声が聞こえる。

自分の攻撃が、あの黒い悪魔と呼ばれていた魔纏兵にダメージを与えた事に興奮しているようだった。


イリナは狙いをどう付けたか、その時の敵の動きはどうだったか、などを、リガルドやグリーナへ話していた。


ふと気づくと、セレーニアが迅代のほうを見ていた。

迅代はセレーニアに声をかける。

「上手く敵を撃退出来ました」


その言葉に微笑むセレーニアが口を開く。

「ええ、ジンダイ様はやはり真の勇者です」

「でも・・・」

少し困った顔をして言葉を飲み込むセレーニア。


「勇者ザーリージャの行動、どう見ました?」

迅代は、セレーニアの様子から、ザーリージャの不審な行動への疑問の事と思い口火を切る。


「改めて調べる必要があると思っています・・・この戦闘が終ったら皇女殿下に相談してみましょう・・・」

セレーニアは具体的な事は言わず、言葉を返した。


裏切りか、それとも、無邪気な戦闘狂なのか、それとも・・・

そんな思いが迅代とセレーニアの中には渦巻いていた。

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