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「反攻作戦:勇者ザーリージャの戦闘」

東門から出撃した勇者ザーリージャはぐんぐんと東門の手前に展開されている魔王軍の野戦陣地に近付いていた。


東門前面に広く掘られた野戦陣地の右翼側では、戦闘の発生を表す土煙が上がっている。

勇者ヴィンツの白虎支隊の攻撃だった。


それをちらりと認めザーリージャは馬から降りて仁王立ちになった。

野戦陣地の壕まで100mほどの距離だった。


壕からの攻撃、槍や弓矢での攻撃は行われない。


ザーリージャはずんずんと壕のほうに歩き進む。


壕まで50mほどまで近づいた頃、後続である黒龍支隊の兵員が近づいて来る。

そこに、一斉に矢が放たれた。

黒龍支隊の兵員たちの進撃が緩む。


そんな状況でも、ザーリージャは我関せずという感じで、歩く速度を緩めない。

何故か、魔王軍の側も、遠距離投射兵器での攻撃を、ザーリージャには浴びせなかった。


ザーリージャと黒龍支隊の兵員が引き離された状況で、ザーリージャの前に1体の黒いモヤを纏った兵士が現れた。

魔纏兵であった。


ザーリージャはニヤリと口角を上げると、今日の武具であるお気に入りの蛇をあしらったメイスを掲げて殴り掛かる。


「ガギン!!」

魔纏兵はザーリージャの打撃を右腕に仕込まれた片手剣で受け切る。


今度は魔纏兵が左腕に仕込まれた剣で、ザーリージャに斬りかかる。

「ブン!!」

左腕の剣が空を切る。

その剣の速度は恐ろしく速かったが、ザーリージャは難なく避ける。


「このぐらいで無いと歯応え無いからねえ!」

そう言うと、ザーリージャはメイスでの連撃を加える。

「ガン!!」「ガン!!」「ガギン!!」


そしてザーリージャの戦術、左手から繰り出す、ショートソードがスっと魔纏兵を襲う。

「ガガガガガギン!!」

魔纏兵の胴体部に大きな火花が散る。

ザーリージャの片手剣は、魔纏兵の左腕の剣で防がれたのだった。


「ふふん、よく教育してある」

「楽しいねえ」

そう言うと、再びザーリージャはメイスを振り上げる。

「ガン!!」「ガン!!」「ガン!!」「ガン!!」

力任せに打撃を行うが、全ての打撃を魔纏兵は防いでしまう。

この状況では決着をつけるのは難しい状況に見える。


後続の黒龍支隊の兵士も、敵の攻撃を凌いでザーリージャの位置まで前進して来る。

「ザ、ザーリージャ様と互角!」

騎士の一人が魔纏兵との戦いを見て驚く。


「俺たちが支援できることは無いか」

騎士たちは相談して数人で魔纏兵に仕掛ける算段を付ける。


そして「うおおおぉぉ!」「てやっ!」「フン!!」

3人の騎士がザーリージャの攻撃の合間を縫って魔纏兵に飛び掛かる。

瞬間「グシャ!!」「ザバッ!」「ゴギ!!」


先頭の騎士は魔纏兵に切り捨てられたが、残りの二人の騎士はザーリージャのメイスをもろに受けた。

先頭の騎士は胴を真っ二つにされ、二人の騎士はメイスの打撃で頭と胴を砕かれた。

メイスに打たれた騎士はグシャグシャになって転がる。


そんな事に一瞬の躊躇もせず、ザーリージャはメイスを繰り出すのを止めなかった。

「はっ、余計な手出しをするんじゃないよ」

ザーリージャの繰り出すメイスの打撃は魔纏兵にことごとく受けられていたが、ザーリージャの顔はすこし笑っているように見えた。


さすがに味方をも巻き込んでも手加減無しに繰り出される撃ち合いに、他の味方は手出しする事を諦めた。


なお、三人の騎士は全員がすでに絶命していた。

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