表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

317/348

「反攻作戦:北東門側の進撃」

北東門のリシュター領地軍部隊は、敵の状況を見ながら慎重に前進を続けていた。

敵は東門側に戦力を振り向けているとは思うが、簡単に北東門の陣地を明け渡すとも思えなかった。


事前の制圧攻撃で、多少の戦力は削ったと思われるが、敵陣地近くにまで迫ったが、敵は陣地から出てくる様子は無かった。

「陣地で守って、我々を撃退しようと言う算段のようだ」

遮蔽物を伝って陣地まで50mほどまでに迫った白銀騎士リセルゼは従者の2人に告げる。


「どういたしますか?突っ込みましょうか?」

オーパはリセルゼの言葉に応える。

サージョンも頷く。

今日は2人とも、長い目の槍を装備していた。


「いや、反応を見てみよう、ソルティアゴルドの魔法支援攻撃チームに攻撃をさせよう」

リセルゼはそう言うと、サージョンを伝令に走らせる。


しばらくして、敵陣地の方向でいくつかの閃光が見える。

4個、5個、閃光は連続して起こる。

その閃光の後に吹き上がる土煙に、魔物の体の一部らしきものも吹き飛ばされていた。

しかし、反撃のようなものは無く、敵陣地は沈黙を守っていた。


「やはり、陣地内に潜んでいるか・・・」

リセルゼは呟くと、ぐるっと後方を見渡す。

先鋒であるソルティアゴルドの各部隊は、すぐ後ろに控えている。


そこで、リセルゼはソルティアゴルドの各分隊規模のチームの隊長を集め、打ち合わせる。


「陣地の一角を突破して後方に進出する」

そう言いながらリセルゼは各員を見回す。

「再び、魔法支援チームで攻撃し、その隙に一気に、我がチームとソルティアゴルド各チームで襲い掛かる」

「その後、中衛の部隊に戦果を拡大してもらい、後衛部隊が陣地を占領する」

各チームの隊長はリセルゼの言葉に頷く。

「準備が出来次第、かかるぞ」

リセルゼはそう言うと、各部隊の体制が整うのを待った。


「突撃!」

リセルゼ、オーパ、サージョンが武器を掲げて陣地へ走る。

それに合わせて、ソルティアゴルドの各チームも突撃する。

後方からは、魔法支援チームが再び爆裂魔法で攻撃を加える。


再び陣地に閃光と共に爆炎が上がる。

「ドォン!」「ドォン!」「ドォン!」


その支援攻撃を盾に、リセルゼ達は敵陣地に迫る。

各チームは幅100mほどに渡って、陣地に接触する。


リシュター側の兵士の接近に、いままで頭を陣地の塹壕内に頭を押し込んで耐えていた魔物兵たちも顔を出す。

しかし、頭を出した瞬間に、討ち取られる。

オーパ、サージョンは槍の使い手なので、頭を出した瞬間に槍が頭を貫いていた。

また、弓で攻撃しようと体を露出した敵も、リセルゼが投げたクナイのような短剣で胸を貫かれる。


ソルティアゴルドの兵士たちも、ゴブリンやコボルド主体の陣地に居る兵には負けない。

難なく、陣地正面の掃討は完了した。

その頃には中衛の冒険者部隊もこちらに近づいて来ていた。


中衛に陣地を明け渡そうと思っていた時、一筋の電光が走る。

ソルティアゴルドが担当する右翼端の陣地を通り抜け、後方にまで電光が走って行く。

「ドドン!!」

雷が落ちたような音が響く。


魔王軍の魔法攻撃だった。

陣地の右翼担当だったソルティアゴルドのAチームの半数がこれにやられた。


「まずい!敵の魔法攻撃だ!」

「状況により、塹壕内に退避!」

リセルゼはそう叫ぶと正面に電光が見える事に気づく。

「た、退避しろ!」

リセルゼはオーパとサージョンに告げる。

2人は塹壕内に転がり込む。


リセルゼも塹壕に身を押し込むが、その上を電光が走り抜ける。

「ぐぅ!!」

身をかがめたリセルゼであったが、周囲が閃光に包まれる。

直撃だ。

「ガガガガン!!」

そして轟音と共に塹壕が削れ落ちる。


リセルゼのプレートメイルの各所から黒い煙が上がる。

「う・・・・」

強いショックでリセルゼはまともに動けない。

しかし、白銀騎士の由来である白銀色のプレートメイルは魔法攻撃耐性を持っている。

大きなダメージは受けたが丸焦げになるようなことは無かった。


まだ、まともに動かない体を押して、従者2名の様子を見る。

2mほど離れていたオーパもサージョンも動いていないようだ。

だが、彼らのチェインメイルも白銀色で、多少の魔法耐性も付与されていた。

更に視線を動かすと、再び電光が走っているのが見えた。


「ガガガン!!」

今度は左翼の部隊が攻撃を受けていた。

ソルティアゴルドの部隊だが、こちらは大損害を受けるだろうことが想像できた。


やはり敵は北東門側にも強力な攻撃力を残していた。

そう思いながらリセルゼが敵のほうに目をやる。


再度の魔法攻撃を警戒してだ。


しかし、今度は見える範囲で3カ所ほどの土が盛り上がり、中から何かが出て来た。

大きい。

穴を掘って隠されていた魔獣だった。


複数の首を持つヘビ。

ヒドラの類の魔物が姿を現す。


そして、グロウサーペントと思われる2体の魔物も。


魔法攻撃で支援された複数の魔獣を相手に、リシュター領地軍は簡単には勝てそうになかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ