「セレーニアとの再会」
「ジンダイ様!」
セレーニアは迅代の顔を見るなり、声を上げて駆け寄った。
セレーニアは、アレジア、トールズと共に、皇国遺跡調査室の分室に到着すると、真っ先に迅代に挨拶に向かった。
「セ、セレーニアさん、こんな状況の中、リシュターに来てくれたんですね」
迅代は驚くと同時に、感謝の気持ちで応えた。
「いえ、当然です、一刻も早くジンダイ様の元に駆けつけたかったのですが・・・」
「遅くなってしまい申し訳ございません」
そんな風に謝罪するセレーニアに、迅代はとんでもないと言う風に言った。
「セレーニアさんが、皇都で根回ししてくれたおかげで、俺もこうして、おおぴらに活動できるようになったんです」
「いつも俺の事を思って行動してくれているのは、十分わかっていますから」
迅代はセレーニアの目を見つめて言う。
セレーニアも感極まったよう瞳を潤ませて、迅代の言葉に感涙する。
「こほん」
そんないい雰囲気の二人に、リォンリーネが割って入る。
「セレーニアさん、お久しぶりですねえ」
「リシュターではわたしがジンダイさんをしっかり支えていたので、もう少しゆっくりでも問題無かったんですけどねえ」
リォンリーネはそう言いながらにっこりとほほ笑んだ。
迅代との再会に割って入られたセレーニアは少しむっとする。
「いえいえ、リォンリーネさん、この状況では一人でも戦える人員が必要なんですよ」
「支援する人員だけではダメなんですよ、戦いの素人には分からないかも知れませんが」
「わたし達はジンダイ様のお役に立てる自信が有りますので」
セレーニアはそう言いながら、アレジアとトールズをバックに、ちょっと顎を上げ気味に話す。
トールズは初めて2人が会話するところを見て、予想外のギスギス感に気後れする。
アレジアのほうは以前に経験済みなので、平気で、更にどんな会話が交わされるか、楽しみにしている。
その場にパーンも居たが、またかよ、と呆れた顔で動向を見守っている。
「ふふふ、でも、銃の製作はわたしにしかできないですからねえ」
「ほら、もう少しでもう2丁、完成できそうなんですよう」
リォンリーネは自慢げに言い放つ。
「2丁?」
その言葉に迅代がひっかかる。
「2丁作っているんですか??」
そう言われて、迅代も思い当たる所が有った。
いやに資材の発注量が多いなと。
一瞬リォンリーネの言葉が止まる。そして、言葉を続けた。
「あはは、そうなんですよう、ついでで2丁分作っても大幅には遅れないようだったので、作っているんですよう」
リォンリーネがおずおずと申し出る。
「で、でも、扱える人が・・・魔法力が必要なので・・・、今の所、イリナしか・・・」
迅代はそう言いながらも、魔法力がある戦士の存在、セレーニアを見る。
セレーニアは、迅代とリォンリーネの会話をきょとんとして聞いている。
銃に開発や運用の事を知らないため、何の話題なのか分かっていないのだ。
『しかし、セレーニアさんにも銃を持ってもらえば、戦術の幅は大きく広がる』
『もし2丁準備が出来るなら、もう、魔王軍討伐部隊に匹敵する戦力になりえる・・・』
迅代がだまってしまい、リォンリーネが少し心配する。
「2丁分作るのって、余計な事でしたかねえ・・・」
そんなリォンリーネに迅代は答える。
「いえ、もし2丁あれば戦術の幅が大きく広がります」
「今後のこの部隊の動き方も変わって来るでしょう」
「まあ、一言、言ってほしかったですが」
迅代はリォンリーネにそう言うと、セレーニアのほうを向いて言う。
「2丁目の銃が出来たら、セレーニアさんも銃の訓練を受けて貰いたいです」
セレーニアは突然の申し出に驚くが、迷わず返事をする。
「わたくしはジンダイ様の従者、ジンダイ様のご意向に従って動く者、ですわ」
「銃の訓練、扱えるものかわかりませんが、一度受けて見ます」
セレーニアはそう言って、ジンダイの言葉を二つ返事で受け入れた。




