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「反撃戦」

陽動攻撃部隊のアークスと弓兵6名は、先行して門のウェアウルフの追撃に向かった。


陽動攻撃部隊は、防衛線に残ったウェアウルフ3体のうち、最初に1体、そして、混戦の末、もう1体を重傷に追い込み、討ち取るのをサポートした。

残り1体となった時点でヴォルカの助言で、弓兵部隊を門に向かった8体のウェアウルフ追撃を行う事になった。

そこで、騎士アークスが弓兵6名を引き連れてきたと言う訳だった。


「うおおお!」

ウェアウルフが1体打ち取られた事に、ソルティアゴルドの兵士たちに歓声が上がる。

しかし、ウェアウルフは残り3体居る。


ウェアウルフ側も、強力なロングボウを持つ弓兵の登場に、攻撃や防御が慎重になる。

さすがのウェアウルフも、至近でのロングボウの集中攻撃は脅威だった。


ウェアウルフは前にもましてソルティアゴルドの兵たちと間合いを詰める。

ロングボウを撃たせないためだ。

味方との同士討ちは避けたいアークスは攻撃を躊躇する。


アークスはソルティアゴルドの兵士たちと対峙するウェアウルフたちのその先に目をやる。

そこには、それぞれがウェアウルフと対峙する、白銀騎士リセルゼ、従者のオーパとサージョンだった。


「各員、目標変更!あの白銀色の鎧の騎士と戦っている奴を目標とする!」

アークスはそう言いながら、剣で指し示す。

内心、アークスはこの仕草にリセルゼも気づいてくれと願う。

離れてくれないと誤射の危険がある。


それに気づいたのか、リセルゼはつばぜり合う剣の隙を縫って、ウェアウルフに蹴りを入れた。

よろけるウェアウルフに対し、リセルゼは少し後退する。

チャンスだった。

「射て!!」

「ひゅんひゅん!ひゅん!ひゅん!」

アークスの号令と共に、6本の矢が同時にウェアウルフを襲う。

「ザザッ!!」

体勢を立て直すウェアウルフの肩、腕、腰に矢が刺さる。

「グワォ!!」

悲鳴のような声を上げながらも、ウェアウルフは態勢を維持し、弓兵たちのほうを睨みつける。


互角の状況が崩れた隙を見逃す、白銀騎士では無かった。

引いた身を今度は前進させ、大剣ダイアライアをクロス状に振るって、ウェアウルフを攻撃する。

「ギン!ギン!」「ザズッ!!」「ザザッ!!」

ウェアウルフは何回かの撃ち込みは防御したが、やがて、崩壊した。

1撃、また、1撃と、ダイアライアの大太刀を受ける。

「ザスッ!」「ズブッ!!」

もう限界だった。

ウェアウルフの抵抗が細る。

それを見計らったリセルゼは、大きく振りかぶり、兜割りの体勢で斬り付ける。

「ズザッ!!!」

頭を割られたウェアウルフは、即死し、そのまま後ろに倒れ込んだ。


敵を倒した余韻も無く、リセルゼは、ソルティアゴルドが相手をしているウェアウルフとの戦いに割って入る。

まずは端の1体に襲い掛かり、ソルティアゴルドの兵士たちから引き離す。


ここで戦っているウェアウルフたちは、動きに遜色が見えないとは言え、ソルティアゴルドの兵士たちからかなりの傷を受けていた。

意外と踏ん張りが効いていないウェアウルフの状態を見て、また、リセルゼは斬り込んだ勢いをかって、ウェアウルフにタックルをして押し出す。


「射て!!」

「ひゅん!ひゅん!ひゅん!」

また、陽動攻撃部隊の6本の矢がウェアウルフを襲う。

今度はウェアウルフの胸と頭部に矢が刺さる。

急所に攻撃を受けたウェアウルフはふらふらとした足取りで、片手剣を見境なく振り回す。


リセルゼは、このウェアウルフを置いて、また、別のウェアウルフを襲撃する。

この要領で、ウェアウルフたちはロングボウの矢を受けて、3体ともが満身創痍となった。

そして、ソルティアゴルドの兵士が2体、リセルゼが1体のウェアウルフを倒し、3体とものウェアウルフは討伐された。


残るは、オーパとサージョンが相対しているウェアウルフだった。

オーパは優勢に戦っているようだったが、サージョンは負傷し、押されているようだった。


「よく耐えた」

白銀騎士リセルゼは、そう言いながらサージョンの加勢に向かう。

リセルゼが加勢し、一気に体制が不利となるウェアウルフ。

リセルゼはサポートに回りつつ、ウェアウルフにダメージを与えていく。

そしてサージョンの戦斧がリーチを生かした大振りで、ウェアウルフの頭を割る。

ウェアウルフは頭蓋骨を割られ、ぐしゃりとへこんだ頭で、絶命した。


オーパのほうは優勢とは言え、致命的な傷を与えることは出来ていなかった。

しかし、もう今となっては、多勢に無勢、隙を見た陽動攻撃部隊のロングボウの攻撃で2本、3本と矢傷を受けていく。

オーパの持つメイスは振り回しやすい反面、打撃武器であるので、頭部をカチ割るぐらいで無いと致命的な一撃が加えずらい。

特にパワーに勝るウェアウルフが相手では、少し力が不足していた。


しかし、もう、今のウェアウルフは攻撃を多数受けて弱っており、勝負を決する頃合いだった。

オーパは渾身の勢いで、傷にふらつくウェアウルフの顔面をメイスでぶん殴る。

「ガギ!!」

顎の骨に当たって大きな音がする。

ウェアウルフは大きくよろめく。が倒れない。


だが、ウェアウルフはもう抵抗も出来なようだった。

オーパは腰から大型ナイフを取り出し、防具の隙からウェアウルフの胸部を突き刺した。

「グュエェェェ!」

最後のウェアウルフは絶命の叫び声をあげて、その後、沈黙した。

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