「更なる提案」
迅代は、パーンとリガルドの言葉を聞いて、色々な思いが頭を巡る。
自分が今の力と立ち位置で最も勇者として貢献できることは何なのかと。
メンバーの紹介という事を忘れ、少し考えに耽っていると、リォンリーネが口を出してきた。
「あの、ジンダイさん?紹介は終わりなんですかねえ?」
そう言われて迅代は、少し慌てて口を開く。
「あ、ああ、すみません、えっと、そのいかつい戦士がリガルド、まあ、本人の紹介で立場は分かったでしょうけど」
「昔、魔王軍討伐部隊で仕事をしてもらった事が有るので、それからの付き合いなんです」
その言葉を聞いてリガルドが軽く右手を上げて、リォンリーネのほうを向いて微笑む。
「そして、一緒に居る、獣人の男性は、グリーナ君」
そう言われて、照れながら挨拶をするグリーナ。
「グリーナって言います、リガルドと一緒にパーティーを組んでいたBクラスの冒険者で、今は皇女殿下の誓約戦士です」
「そこのイリナは妹です。よろしくおねがいいします」
その言葉にリォンリーネも挨拶する。
「ご丁寧にどうもです、リォンリーネです、よろしくです」
迅代は今度はイリナを紹介する。
「そして兄妹と言っていた、イリナさん」
イリナは人懐っこい笑顔でリォンリーネに挨拶する。
「イリナです、よろしくね。グリーナと同じBクラス冒険者で、皇女殿下の誓約戦士!」
「主に探索とかが得意なんだ」
それに対しリォンリーネも挨拶する。
「どうもどうもです、道具屋のリォンリーネです、よろしくです」
そんなリォンリーネにイリナは質問してきた。
「リォンリーネさんはエルフなんですか??」
その問いにリォンリーネは答える。
「実はハーフエルフなんですよう、母親が人間だったんですね」
「へー、何歳なんですか?」
イリナの質問に、一瞬たじろぐリォンリーネ。
そう言えば迅代も正確な年齢は聞いていなかったなと思い、答えを待つ。
皆の視線もリォンリーネに集中する。
「ね、年齢は・・・秘密なんですよう!」
リォンリーネは少し赤面しながら言い放つ。
「あ、そうなんだ、失礼な事聞いてごめんなさい」
イリナは素直に謝った。
見た目は二十代という感じなのだが、実はもう少し年齢が上なのかもしれないと迅代は思った。
「じゃあ、一通り、リォンリーネさんへの紹介は終わったって事で、今後の話でもするかい?」
パーンがそう言うと、迅代に話を振る。
迅代は再び、自分のこれからの動き方について思いを話す。
「まずは、このリシュターの危機を何とかする事」
「魔王軍討伐部隊が来たので、近いうちに攻勢により敵の撃破する作戦が実施されるだろうな」
「今回は、敵は数が多い上に、勇者には魔纏兵をぶつけてくる可能性も有る」
「我々は、それをサポートする役目として動く形だろうな」
そこでパーンが口をはさむ。
「その魔纏兵ってやつは、隊長さんの銃で倒せると思うかい?」
迅代はすこし沈黙する。
そして口を開く。
「リミッターを解除しないと難しいだろう・・・」
「もし、2体出て来れば、2体共を倒すのは難しいな」
そして迅代はパーンに言う。
「リォンリーネさんを装備担当として部隊に入れたい」
「そして装備をもう少し充実させることに協力してもらいたいと思っている」
その言葉にリォンリーネもうんうんと頷いてパーンを見る。
「それは問題ないと思う。セレーニア様とも面識はあるし、実力も問題ないだろう」
パーンは返事をする。
「そして、銃なんだが、2~3日で出来ればもう1丁、作れないだろうか?」
と、突然、迅代はリォンリーネに問いかける。
「え?、ええ??、2~3日でですか??」
リォンリーネは驚いて問い返す。
「例えば、一部省力化を図って、短期間に作れる手立ては無いものかと」
「今度は部隊の資金を当てにして予算は気にしない形でも問題無い」
迅代はリォンリーネに提案する。
「うむむむ・・・・」
リォンリーネは難しい顔をして考えている。




