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「戦闘状況:戦線の穴」

戦線を縮小し、E、F区画を放棄したリシュター側は、D区画の付近が強い攻撃圧力を受けていた。

E、Fの防衛線で留めていた兵力が、D区画に押し寄せて来たのだから。

この状況には契約兵と正規兵を多く割り当て、敵の圧力を押しとどめていた。


そこで、魔王軍側は6体ものミノタウロスの部隊を送り込んで、一気に戦線崩壊を画策した。

しかし、迅代とリガルドたちの行動によって、その企図は挫くことが出来た。


そこで迅代は、座り込んでいたグスタージも呼んで、今後の作戦行動の分担を話す。

「敵の決戦部隊、ミノタウロス6体を倒したので、おそらく当面はこのD区画付近は守り切れるだろう」

「問題はB、C区画辺りだ。敵の浸透がひどい」

「そこで、B区画に俺とグスタージ」

「C区画にリガルドとイリナとグリーナ」

「そういう分担で敵を押し返す事に専念してもらいたい」


そうして、それぞれ行動に移る。


防衛線に穴が開いたところから侵入してくる敵を押し返すために戦っている契約兵や一般兵に援軍し助けるのだ。

迅代を除いてみんなBランク以上の冒険者だ。

コボルドやオークに遅れは取らない。

救援の行動を開始して直ぐに防衛線内に侵入した魔物兵は次々と討ち取られ、防衛線の穴は塞がれた。


また、迅代たちの参戦で、余裕が生まれ、負傷した兵士たち回復も行えたため、防衛戦力としては再び敵の圧力を抑える事が出来るまでになった。

防衛線の堀のほころびも、新たな土嚢と、死体の片付けが行われてほぼ回復できた。


これまでの戦闘で、リシュター軍側が約400名が重傷または死亡したのに対し、魔王軍側が約1000体近くを討ち取っていた。


戦線は安定したが、このまま、また何時間も消耗戦を行っては、いずれリシュター側がギブアップする事になるだろう。


そんな危惧が迅代の頭をよぎった時、朗報がもたらされた。

重傷だった魔法騎士ジュブラが回復は不完全ながらも戦線復帰を希望し、参戦してきた。

また、魔力切れを起こしていたラックランの魔法士フィルスも十分ではないが魔力が充足したため防衛線に参加すると言う。


「みんなが休んでる時に、俺はコキ使われてヘトヘトやで」

グスタージは戻って来たフィルスに嫌味を言う。

「グスタージ、回復までの間、ラックランの面目を保ってくれてありがとう」

「感謝しています」

グスタージの嫌味に感謝の言葉で返すフィルス。

そんなフィルスに舌鋒が鈍るグスタージ。

「ま、まあ回復したんやったら、一発デカイの頼むわ」


「そうですね、敵にもきちんとお礼をしないといけません」

そう言うとC区画の戦線に取り付こうとしている魔物の軍勢に、フィルスは魔法の杖を掲げて詠唱する。

「スリーマルチプル・サンダーウェーブ!!」

堀の向こう、300体ほど居る魔物の隊列に広域電撃魔法を撃ち込む。


「ガガガン!ガガガン!ガガガン!」

魔物兵の隊列の真ん中にを中心に50mほどの範囲で電撃の筋が幾重にも交錯する。

そして、その光が収まると、敵の軍勢の真ん中がきれいに黒く焦げていた。

恐らく150体以上の魔物の黒焼きが出来上がっていた。


そして、その周囲で生き残った魔物兵、パニックを起こして我先に後退し出した。

「うおおおおおぉぉぉ!」

動員兵から契約兵に至るまで、その威力に歓声を上げる。


そんな中、魔法戦士ジュブラも、緒戦の醜態を償うべく、D区画から圧力をかけている敵への攻撃を志願した。

相変わらず、ゆっくりと1人で突出し、敵に向かうジュブラ。

そんな姿に魔物たちは我先にと飛び掛かって行く。

しかし、ジュブラは姿勢も変えず剣のみを振るい、次々と魔物兵を始末していく。

ジュブラの通った跡には細切れになった敵の死体が積み重なっている。


50体ほどがことごとく切り刻まれたため、敵も無闇な突撃は止める。

今度は弓兵と突撃隊を分けて、連携して攻撃を行う。


しかし、弓矢の攻撃も瞬く間に撃ち落とし、敵の突撃も何人居ようが一刀のもとに粉砕する。

コボルドやオークなどでは、ジュブラを倒すことは出来ない、それほどの実力差が有った。


彼らの参戦で、敵の損害は一気に上昇し、魔王軍側の損害が約1500体近くを数えるまでとなった。

戦力の40%以上を失った侵攻部隊は、攻撃が持続できないまでに戦力が低下する状況となった。

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