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「戦闘状況:赤いミノタウロス」

迅代は赤いミノタウロスと戦っているのがリガルドである事を認識する。

そう考えれば、と、よく2人の獣人のほうも見てみると、オオカミ系の獣人である、イリナとグリーナだった。


『リガルドのパーティーか』

初陣で偵察活動を手伝ってもらうために雇ったリガルドたちだった。


むこうは戦っていたのが迅代であることを気づいているのか分からない。

なにせ、髪は鮮やかな緑色で、目の周りにはマスクをしているのだ。

そもそも、この3人がリシュターの防衛戦に参加している理由すら想像がつかない。


しかし、助かったのは事実だ。

一瞬でも、この3人の参戦が遅ければ、迅代は4体のミノタウロスに息の根を止められていただろう。

3人は上手く敵を翻弄して均衡を保っている。


そこで、グスタージの様子を見てみると、何とか戦っているが、何カ所か負傷しているようだった。

『こちらが先か』

迅代はそう考えると、ライフル銃を持ち出す。

このライフル銃は腰だめで撃つと反動が大きいのでまともに扱えない。

肩にちゃんと銃床を据えて狙い撃つしかない。


グスタージが赤いミノタウロスとのつば競り合いから一瞬引くタイミングを狙って狙撃する。

「ボン!キュィィィ!」

15mほどの距離からの狙撃に、避ける間もなく、赤いミノタウロスの右肩部に銃弾が命中する。

「バシッ!!」

赤いミノタウロスは肩を大きく押されたように、反動でたじろぐ。

しかし、赤いミノタウロスは即座に反応し、弱ってきているグスタージは置いて、迅代に襲い掛かって来る。


迅代はライフル銃の銃床を振り回し、かかってくるミノタウロスにカウンターをかませる。

「ガン!」

伸ばしてきた左腕をはたき返す。

そして、バトルナイフに武器を変え、反撃する。

どうやらミノタウロスは銃創を負った右手は使えないようだ。


赤いミノタウロスが体勢を立て直し、左腕のショートソード一本で攻撃に備えようとしている所に加速ダッシュを使う。

さっと赤いミノタウロスの懐に入り込み、がら空きの右側胴体をバトルナイフで切りつける。

「ザザッッ!!」

今度は右腹部に深い斬り込みを食らわせた。

それにも構わず、赤いミノタウロスは左腕を振り上げ、攻撃してきた迅代を上から突き刺そうと動く。

しかし、迅代はそのまま右側から後方にすり抜け、瞬時に取って返し逆手でミノタウロスの背中にナイフを突き刺す。

「グオォォォォ!!」

雄たけびか悲鳴か分からない声を上げて、赤いミノタウロスはのけ反る。

赤いミノタウロスは通常のタイプより反射に優れているようだった。

だが、徐々にダメージを受けて思ったように体が動かないようだった。


トドメにと、迅代はライフル銃を構える。

赤いミノタウロスが振り向くころには銃の狙いは付けていた。


「ボン!キュィィィ!」


至近距離での発射と同時に頭部がスイカを撃ったように破裂する。

頭から血と脳漿の混じった液体を垂れ流しながら、赤いミノタウロスは後ろに倒れ込んだ。


ふとグスタージを見ると、戦う気も無いようにへたり込んでいた。


「よく戦って引き付けてくれた、ありがとう」

迅代は礼を言う。


その言葉にグスタージは面白くないような顔をして、言う。

「けっ、俺一人やったらやられてたわ。俺もまだまだやな」


迅代はリガルドたちのほうに目を向ける。

まだ、決着はついていないようだった。

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