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「戦闘状況:第三梯団対応策」

迅代は攻撃が一旦止まったタイミングで軍師デカルテに呼ばれ、西門前線指揮所に居た。

そこにはリォンリーネも弩弓射撃指揮所から戻っていた。

白銀騎士リセルゼも呼んだらしいのだが、北側防衛線はまだ敵は後退しておらず、散発的な戦闘が繰り返されているため、ここには居なかった。


迅代、リォンリーネ、パーン、そしてラックランのグスタージはデカルテが兵力配置を示している地図が広げられた机に集まる。


「さて、南翼の次の攻撃なのだが、敵兵力は3600体以上」

「それに対して我がリシュター軍の兵力は約1200名」

「だが、幸い、北側のルートでは敵は増援を送っておらず、均衡を保っておる」

「そこで、北側の兵力の400名ほどを南側に移動させようと思う」

「だが、今の所、出来る手当はここまでだ、他に予備兵力も無い」

疲れた顔をしたデカルテは一旦ここで、話を区切る。


「しかしこれだけでは、3倍に近い南側の第三梯団の攻撃には耐えきれないだろう」

「そこで、軍師である小官が聞くのは情けないのですが、少しでも何か取れる方策は無いかと思い、来ていただいた次第です」

そう言ってデカルテは迅代のほうを見る。


迅代は少し沈黙して考える。

『これ以上の兵員移転は北側防衛線の崩壊につながるので難しい』

『しかし、即席兵器はほぼ消耗し、大規模な罠ももう無く、今までの戦いより戦闘力は落ちている』

『そんな状況で、今取れる増強策は・・・思い浮かばない』

『・・・』

『困ったときには魔法か』


「リーネ、大規模な魔法で、なにか有効な手立てはないかな?」

迅代は、答えが出ないので、リォンリーネに魔法でのアイデアが無いか聞いてみる。

「うーん、そうですねえ・・・」

「爆発とかやろうと思えば出来ますが、弩弓で使った爆裂術式程度で・・・それ以上大きいのは無理ですねえ」

リォンリーネは思いつくまま答える。


「例えば、風や火や氷なんかはどうだろう?」

迅代が可能性が見いだせそうなものを聞いてみる。


「そうですねえ、どれも大規模って感じでは出せないですねえ」

リォンリーネは少し考えながら答える。


「闇とか光とかどうだろう?」

迅代は望みが薄そうだと思いつつ聞く。


「闇って攻撃であまり使ったことが無くて・・・光なら、ランスやアローで攻撃できますが、1体相手に成っちゃいますよう」

リォンリーネの答えを聞いてふと思いつく。

「フラッシュはどうかな?」

フラッシュは光系の初級からでも使える魔術だが、その分、魔力消費も少なく簡単だ。


「フラッシュ・・・無論使えますし、敵の目前にも出せますが、光は限られた範囲だけしか照らせないですかねえ」

リォンリーネの言葉に迅代は少しアイデアが浮かぶ。

「例えば、大勢に目くらましをかけるとしたらどうかな?」

リォンリーネはその言葉を聞いて考える。

「そうですねえ、目くらましならスモークが良いかもですよう」

迅代はその答えを聞いて質問する。

「スモークは黒煙とかが出る魔法なのか?」

リォンリーネはそれを否定する。

「いえいえ、魔法にかかると、霞がかかったような見え方になって視界が奪われるんですよう」

「少しの間だけですがねえ」


迅代はうんうんと頷きながら更に聞く。

「何人ぐらい同時にかけられる?」

リォンリーネはちょっと考えて口を開く。

「ちょっと高度なレンジスモークなら、放った魔法の放射範囲の人がかかりますね」

「人数と言うより、30メルト※ほどの距離にいる人までが有効範囲ですよう」

※訳18m

「それ以上離れた人には効果は弱まっちゃいますが・・・」


「良いですね、それを使いましょう」

迅代はそう言って、続ける。

「兵士は敵前で目が見えなくなると、通常パニックを起こすか、停止して回復を待つ」

「少なくとも前進はして来ないはずだし、上手く行けば同士討ちを始める」

「そこに弓矢や火炎瓶、攻撃魔法や斬り込み隊で襲えば一方的に攻撃できる」


それを聞いてパーンが口をはさむ。

「しかし・・・そう上手く行くもんかねえ、有効な戦術だったら今まで軍も使っているだろ」

その問いに迅代は答える。

「今回の場合は浅い堀と土嚢を積んだ防壁で、敵を押し返す戦術だから、通常の戦闘とは違うからな」

「どれほど上手く行くかは、やってみないと分からないが」

その答えにパーンは言う。

「・・・なるほど、まあ今はほかの方策も無いので、やってみるか」


とりあえず話はまとまったので、伝令を使い、各魔法士でレンジスモークを使えるものを探す。

が、誰も使えないという結果だった。

レンジスモークは意外と特殊な魔法のようだった。


「うむむ、みんな勉強不足ですよう」

「仕方が無いのでわたしが行きますよう」

誰もレンジスモーク使えないと聞いて、リォンリーネが自分が行くと言い出した。


それを見ながら迅代は考えていた。

『単にリォンリーネさんの魔法の力がすごいだけでは?』

と。


結局方向性としては、迅代とグスタージが護衛して、リォンリーネが戦場に出て、魔法をかける事となった。

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