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「戦闘状況:戦闘前の静けさ」

南側防衛線では、迅代とグスタージが暴れて上げた数の戦果を切っ掛けに、敵は第三梯団と合流しての攻撃準備のために後退した。


軍師デカルテは、この隙にと各兵員に食事の分配指示を行った。

一般兵の食事は相変わらず質素で、パグルが3枚ほどと、ふかし芋が半個、味は薄いが熱いスープ1杯だった。

敵の動向は防壁の戦闘区画から概ね見えるので、少しの間、休憩時間も与えられた。


当初居た敵第二梯団の兵員は2400体の魔物兵だったが、今回の戦闘では負傷での脱落を含めると、1600体ほどに撃ち減らすことが出来た。

しかし、第三梯団の兵員も2000体居る。

今度は合計3600体の兵員が襲って来る事になるだろうという見積もりだった。


翻って、リシュター領の南側防衛線の戦力は、2回目の激突で、2000名いた兵員は1200名まで落ち込んでいた。

そして、もう水素ガス地雷も、弩弓爆裂弾頭も無い。

即席兵器として配った火炎瓶も対トロール矢もすでに使い果たした者も居た。

その上、頼もしい契約兵の要だったラックランのメンバーはほとんどが負傷して後退していた。

第三梯団の攻撃こそ、本当につらい戦いになりそうだった。


北側は、戦力比が拮抗している中、グリーントータスという移動要塞も討伐できたので、まだましだった。

それでも当初2000名居た兵員は、1600名ほどに討ち減らされていた。

最も戦闘力が有ったであろう、魔法騎士ジュブラが緒戦で退場したのは痛かった。

しかし、白銀騎士リセルゼと精鋭部隊ソルティアゴルドの兵員が踏ん張り、不利な中、防衛線の決壊を防ぐことが出来た。


そんな中、南側の防衛線より2kmほど離れた場所の林に馬で乗り付けた集団が有った。

「うわー!、魔物だらけ。いっぱい居るとキモいんですけど」

そう言いながら女性兵士は隣の男性兵士に言った。

「オーリア、静かに、敵に見つかる」

男性兵士はそう言って女性兵士オーリアを窘めた。


「敵は何体居る?」

二人の会話にプレートメイルを着た騎士風の男が口をはさむ。

「アークスさん、あれだけ居るんです、そんなに直ぐには数えられませんよ」


「のんびりしていると、リシュターが陥落するぞ」

アークスは文句を言うヴォルカに急ぐように伝える。


彼らは魔王軍討伐部隊に属する陽動攻撃部隊・・・迅代が隊長を務めた元スカウト部隊の兵員だった。

ヴォルカはざっくりと敵兵員を数える。

「2000ぐらいでしょうか」

ヴォルカの回答に、騎士アークスは答える。

「数えるの速いな、ここから見えないところも含めて概算3000としておこう」

「見回った感じ、リシュターは健在、ただし、魔王軍に包囲されている」

「そして何等か戦闘中で敵が兵力を集めている、そんな所か」


「ほかの者にも聞いて回る、もう少し観察していろ」

そう言うと騎士アークスは他の兵員の所に向かった。


魔王軍討伐部隊は、今日にもリシュターに到着できそうだった。

それに先駆けて、元スカウト部隊である陽動攻撃部隊に様子を見てくるように命令が下ったのだった。


ヴォルカは、本当にリシュター軍と魔王軍部隊が防壁の外で戦っているのなら、タイミングを計れば挟撃できるようにも思えた。

ただ、一介の兵士で有り、まだ17歳のヴォルカはどうすればそんな事ができるかは、思い付かなかった。


それよりも、魔王軍討伐部隊の司令官であるボーズギア皇子は最近、疫病神にでも取り憑かれているのでは無いか、ともっぱらの噂なのが不安だった。

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