「戦闘状況:防衛線崩壊阻止」
白銀騎士リセルゼの斬り付けに続き、オーパとサージョンももう1体のトロールに突進する。
リセルゼが返す刀でトロールが伸ばしてきて腕を、再び大剣で掻っ捌く。
トロールは足を切られ、不安定な体制の上で、腕も切られて倒れるのを防ぐことが出来ず、地面に倒れ込む。
そこに向かって、周囲の正規兵が槍や刀剣で攻撃する。
そして、リセルゼが倒れているトロールの首もとに向けて、両断する勢いで、大剣を振り下ろす。
「ギュヘゥ!!!」
トロールは変な音を発しながら首を切られて絶命した。
オーパとサージョンが向かったトロールは元気に手足を振り回し、敵兵を近づけさせない勢いで進撃していた。
矢は何本か刺さっているが、そんなことは意に介していないようだった。
オーパとサージョンはトロールの隙を見つけて懐に入り込み、協調して長槍を突きあげる。
「ズブッ!!」「ガツッ!!」
トロールはその攻撃に一瞬動きを止め、手足を振り回して払いのけようとする。
2人は素早くトロールの手足を避けて後退する。
長槍の攻撃は多少は効いているようだったが、致命傷までには至らない。
2人は今度はトロールの後方に回り込もうとする。
そこにはゴブリンやコボルドが付いて来ていたが、周囲の正規兵が抑え込み、2人の行動を助ける。
「かたじけない!」
サージョンは支援に礼を言い、オーパと共に後ろに回り込むと、トロールの腰に槍を突き立てる。
「グォォォォォオ!」
腰に傷を受けたトロールは両ひざをついて停止する。
そこに対トロール矢の弓兵が躍り出て、いちかばちかでトロールの頭を至近より狙う。
「ひゅん!」
「ボウッ!!」
弾丸発射の発動に成功した通常弾の対トロール矢の弾丸はトロールの顔から脳の一部を破壊した。
「ドシュッ!!」
頭部に達した弾丸はトロールの息の根を止めた。
もう1体、トロールが生き残っているが、リセルゼは並ならない殺気を感じる。
リセルゼが防衛線のほうに目を向けると、大剣を持ったオーガが悠々と迫っていた。
すぐさま、部下2人に声をかける。
「オーガ確認!、オーパ!、サージョン!、支援しろ!」
そう言いながら、リセルゼはオーガのほうに向かう。
オーパとサージョンも攻撃していたトロールの始末は放って、リセルゼに続く。
リセルゼは防衛線の堀を超えたオーガに向かって剣を構える。
「ギヒヒッ!」
オーガもやる気の構えのようで、奇声を上げる。
大剣を肩の上まで振り上げ、リセルゼめがけて斬りかかる。
「ブン!!」
リセルゼが避け、空を切る大剣に、今度はリセルゼが真横に斬り付ける。
「ブン!」
間合いを見て避け、オーガのほうもなかなか動きが良いようだった。
返す刀でリセルゼの大剣ダイアライア振り上げ、一歩踏み出し切っ先でオーガの腕を狙う。
「ガッ!」
オーガの腕には当たったが、防具の上だった、無傷だ。
今度はオーガが両手で大剣を振り下ろしてきた。
これを剣で受けるとダメージを受けると判断したリセルゼは、剣を交えずに一歩下がる。
「ブン!!」
剣圧がリセルゼにも感じられた。オーガのパワーは並外れているようだ。
白銀騎士リセルゼは合理的な戦い方を好むタイプだった。
無理に相手をせずに、部下二人がフォーメーションの位置に着くまで敵の攻撃をかわす。
3方から取り囲む形になると、オーパとサージョンが同時に槍で牽制攻撃を仕掛ける。
2人ともそれなりに腕は立つので、オーガとしては少しづつダメージを受ける。
瞬間、オーガが右側から攻撃するオーパに襲い掛かる。
そこはサージョンが察知して牽制の槍を突き出す。
オーガは少し傷を受けて、後ずさる。
この機を逃さずに、リセルゼは。オーガに斬りかかる。
「ガシィィ!!」
オーガも気づいて、振り返ってリセルゼの大剣の斬り込みを受ける。
その瞬間、サージョンの槍がオーガの背中に突き立てられる。
「グフゥ!」
これは効いたようだ。手練れ3人が相手だ、オーガの不利は仕方が無い。
その後も徐々にオーガに傷を負わせていく。
そして好機と見たリセルゼは、オーガに突進する。
オーパの槍をかわしていた、オーガは、リセルゼの突進を捌けなかった。
「ズブリ!!」
リセルゼの大剣が防具を破って胸の下あたりに突き刺さり、オーガが振り上げた大剣はその場で止まった。
オーガの目はすでに天を睨んでおり、敵を見ていなかった。
「ズサッ!」「ズブッ!」
オーパとサージョンも、機を逃さずオーガの内臓めがけ槍を深く突き立てる。
そして、それを確認したリセルゼは、大剣を引き抜いた。
オーガは白銀騎士リセルゼのチームによって討伐されたのだった。




