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「西門前線指揮所」

白銀騎士リセルゼと冒険者パーティー・ラックランの一行が西門に到着した。


西門を入って町へ続く道の入り口付近に、西門防衛の前線指揮所が開設されていた。

わざわざ城に戻らなくて済みそうで、リセルゼはほっとし、軍師デカルテの元に向かう。


「おお、リセルゼ殿、迎撃戦のほう、いかがであったかな?」

リセルゼを認めた軍師デカルテは城塞都市リシュターの全域地図を広げた机を前に、声をかける。


「敵の偵察部隊を6隊とも撃退、地雷原の施工地帯には一歩も近づけさせませんでしたぞ」

リセルゼは任務を果たした事を告げる。

「ただ、ラックランの魔法士フィルス殿が負傷した」

「一命は取りとめたが、意識を失っておる」

「防衛戦力と言う面ではこちらも損害を受けた形だが」


その言葉を聞いて、軍師デカルテは心配を口にする。

「なんと、あのフィルス殿が負傷されたか、状態はいかがであろうか?」


「回復ポーションと、同じパーティーの仲間からヒールは受けているので、意識さえ戻れば大丈夫と思われるが」

「こればっかりは、回復後の様子を聞かねばわからぬな」

リセルゼは仕方ないと言う風な口ぶりで答える。

そして、南側の様子が入っているか聞く。

「南側の戦況はどうですかな?」

「魔法騎士ジュブラ殿は首尾よく任務を果たされたのか」


リセルゼの言葉にデカルテは答える。

「うむ、ジュブラ殿は迅速に4隊を片付けて、さっさと戻ってこられた」

「様子を確認していたソルティアゴルドの兵員によればかなり手荒い攻撃方法だったらしいがな」

「さすがは、一人で十分と豪語されるだけの事はある」


それを聞いたリセルゼは安心する。

「それは良かった、では、わたしも一旦はこれで休めそうですかな」

「そう言えば、森の、いや、ミードゥー殿のほうの即席兵器とやらはどうなっていますかな?」


軍師デカルテは少し呆れた感じで答える。

「出発前に言っていた弩弓を使った兵器を作るとの事で、今、それを製作中ですな」

「本当に、精力的なお方だ」

「いくら皇女殿下の配下とは言え、ここまで献身的とは、なにか他にも行動に駆り立てる理由をお持ちなのかも知れん」


リセルゼはそれを聞いて言う。

「うむ、確かに、ミードゥー殿にとっては、リシュター防衛が不眠不休で働き、かつ、命を懸けるべきものである理由は分かりませんな」

「我々のように、リシュターとその領主殿に恩義や義務も負っている訳では有るまいに」


一拍おいて、リセルゼは続ける。

「だが、あのお方は、自分の力を助力するだけには止まらず」

「本来なら打ち捨てられる動員兵士たちをも、生き残る術を教えようと努力される」

「正に、民衆を守る正義の・・・」

リセルゼはそこまで言って黙る。


そのリセルゼの様子を見て、デカルテは問いかける。

「どうかされましたかな?」

その声に一度黙ったリセルゼは口を開く。

「勇者は4人召喚された、というお話はご存じですかな?」

その言葉にデカルテは変な顔をする。

「ああ、無論」

「であるが、魔王軍討伐部隊を裏切り、魔王軍に組していると言う噂が町中に流れているという、勇者ジンダイですな」

「皇国側の情報筋では今一つ判然としないのだが、行方不明であることは事実と・・・」

「まさか、ミードゥー殿が勇者ジンダイであると?」


デカルテの言葉に、リセルゼは口元にしっとするゼスチャをして、デカルテを見る。


世間では勇者ジンダイは魔王軍の手先という噂なので、戦闘前の兵員に伝わると士気に関わって来る。

「まあ、何の証拠も無い憶測。今はミードゥー殿の力のみを信じて、戦いに臨みましょう」


軍師デカルテはうんと頷く。

「では、ミードゥー殿の状況を見て来ましょう」

「さすがにそろそろ休んでいただかないと」

そう言いながら、小瓶が揃えて入れてある箱を持ちあげる。


それを見たリセルゼが質問する。

「うん?それは何でありますかな?」

デカルテはその問いに答える。

「錬金術師テリオシス殿の作った睡眠圧縮ポーションです、リセルゼ殿にも飲んでいただきますぞ」


それを聞いたリセルゼは変な顔をした。

大丈夫なモノなのか?と不安になっていた。

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