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「2部隊同時殲滅戦」

敵偵察部隊の第3の部隊、後ろの目標である目標Bに、冒険者パーティー、ラックランの3人にメンバーが向かっていた。

スカウト役も務めるキュロイを先頭に、リーダーのサンパノ、そして魔法士フィリスの順で進んでいた。


キュロイは「見えないヒゲ」という固有探索魔法を有しており、20mほど先の移動体を感知できる。

今もその「ヒゲ」を伸ばして、ゆっくりと進んでいた。


そんな時に、キュロイの行き足が止まる。

敵の先頭を感知したようだ。

サンパノのほうを見てキュロイが口を開く。

「敵は、前に2体、たぶんゴブリン、中段に6体、コボルドとゴブリンの混成、後ろに2体、こいつはオーク」


それを聞いてサンパノは言う。

「では、敵を一旦やり過ごしますかな」

「オーク2体はわたしが、中段の6体をフィリスが、先頭のゴブリン2体はキュロイにお願いします」

それを聞いたキュロイが獲物の割り当ての少なさに不満そうな顔をする。

サンパノは表情で我慢してくれと言う顔をして続ける。

「フィリス、敵をやり過ごすのに遮蔽魔法を」


それを聞いたフィリスが頷いて詠唱する。

「ブラインド」

静かな詠唱の後、3人の姿が外部から認知できなくなる。

10mほど前を魔王軍の兵士たちが通過しているのに、全く気付かれなかった。


魔王軍の偵察部隊が目の前を通過した頃、夜陰の先で騒がしい物音が伝わって来る。

それを認識した目の前の偵察部隊も何か話し合っているようだった。


「かかれ!」

目標Aでの戦闘が始まったと認識したサンパノが攻撃開始を告げる。


「フォーマルチプル・ライトニングスピア」

魔法士フィリスがそう詠唱したと同時に、中段に居たゴブリン1体とコボルド3体の体の斜め上から地面にまで光の槍が突き刺さっていた。

無論4体は一瞬で絶命していた。


キュロイも弓で先頭に居る2体のゴブリンを瞬く間に射抜く。


「ふん!」「ズサ!!!」

大楯とランスを持つサンパノは、そのランスで戦斧で武装したオークを背中から突き刺す。

予想外の奇襲に慌てるもう一体のオーク。

なりふり構わず巨大な棍棒で殴り掛かって来る。

「ガン!」「ガン!」「ガン!!」

それをサンパノは大楯で受けつつ、先のオークからランスを引き抜く。

そして、棍棒で連打してくるオークの攻撃は大楯で受けつつ、オークのみぞおち付近にランスをブッ刺す。

「ズサッ!!」

サンパノはランスで貫いたオークが力を失ったのを見て、残りの敵残存兵力を確認する。


丁度、フィリスの第二撃目で、ゴブリンが2体、光の槍に貫かれていた所だった。


見渡す限り、目標Bの全兵力をせん滅できたようだった。


「2体来る!」

キュロイが突然叫ぶ。


どうやら目標Aの残存兵力が逃れてきたようだった。

「あいつらヘマしやがって」

キュロイの言葉にサンパノは落ち着いて確認する。

「どこから来る?」

キュロイは「ヒゲ」を伸ばして探索する。

「右翼1体、20メルト※、左翼1体、30メルト※」

※約12m ※※約18m


サンパノは指示をする。

「キュロイは右翼、わたしは左翼を狙う」

「フィリスは撃ち漏らしに備えてくれ」

その言葉を聞いて、キュロイは早速動き出す。

サンパノもフィリスにアイコンタクトをし、左翼側に前進を開始する。


サンパノの感知により、無事目標Aの残存兵力もせん滅することが出来た。


キュロイは散々、敵を打ち漏らしたグスタージやバンノーに文句を言って口論になっていたが、サンパノはそれを上手くなだめた。

「作戦通りの包囲が上手く行って良かったじゃないか」

と。

Aクラス冒険者パーティーのリーダーも大変なのだった。

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