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「敵偵察部隊の探索」

今回の偵察部隊殲滅戦は、今後の戦闘の帰趨を決するほど重要な物であった。

水素ガス地雷や火炎壁は迂回されてしまえば意味をなさない。

だから、ここで何かを仕掛けている、という事はバレてはいけない事なのだ。


現在、水素ガス地雷原は、南翼側の、防衛線から300mほど離れた中央付近に3つともが設置されていた。

そして、その地雷原に誘導するように、隙間を開けた火炎の堀、火炎壁を製作していた。


魔物の偵察部隊の行動は現在掴めていない。

南東門から6部隊、北東門から4部隊が出発していくのが観測されただけだった。

もうすでに夜陰に紛れて明日の侵攻ルートをたどって進んでいるに違いなかった。


魔王軍の兵士は夜目が効くものが多い。

それに対して、領地軍側は夜の行動は不得手なので不利と思われるが、領地軍には冒険者パーティー「ラックラン」のフィルスが居た。

フィルスはリシュター領内でトップクラスの魔術士であり、広範囲なサーチ魔法が使えた。

ラックランのメンバーは白銀騎士リセルゼと一緒に火炎壁の施工現場付近に集まっていた。


今回の戦い方はこうだった。

まずは、サーチ魔法で敵の部隊位置を把握し、契約兵たちで包囲する。

そして、戦闘しやすい場所に出た時点で密かに始末するという想定だった。

可能であれば全部隊の殲滅が目標だが、これはやってみないと分からない。


北側については魔法騎士ジュブラに任せる事にした。

どうもラックランのメンバーとは細かないさかいが発生しがちだったので一緒に行動させると問題が発生する可能性が有った。

それと、ジュブラ自身が4部隊程度なら一人で十分、と豪語した事も有った。


そこで、リセルゼはジュブラに一旦4部隊の討伐を任せる事にした。

しかし、その言葉を、白銀騎士リセルゼは鵜吞みにしたわけではない。

ジュブラの迎撃位置と防衛線構築部隊の間ぐらいに、念のため、精鋭部隊「ソルティアゴルド」のメンバーを分散配置しておいた。

ジュブラには「念のための防衛線の護衛」としていたが、ジュブラの撃ち漏らしに備えてだった。


南側のほうでは、作戦行動が開始されようとしていた。


フィルスが詠唱する。

「サーチ!」

一瞬波紋のような光が広がった気がした。


そして、フィルスが言う。

「わたしのサーチ範囲にかかったのはまずは3部隊・・・残りは後方なのかしら・・・」

「距離1000メルト※ほど先に1部隊、10体ね」

※約600m

「それと、1200メルト※ほど先に2部隊、20体ね、こちらはお互いを援護しあって前進している模様・・・」

※約720m

そう言いながら、フィルスが簡易なリシュターの防壁外の地図に×を打つ。


「では、前の1部隊は、わたしが受け持とう」

白銀騎士リセルゼは、部下であるオーパ、サージョンと共に並びながら言う。


「じゃあ、後ろの2部隊は俺らの獲物ちゅう訳や」

ラックランのオフェンス、グスタージが言う。

フィルスがリセルゼに確認する。

「戦闘開始時、ライティングボールを上げて辺りを照らしましょうか?」

その問いかけに対しリセルゼは答える。

「いや、後続の部隊も後3部隊来るはずなので、警戒されると良くない」

「まずは、暗闇のまま討ち取ろう」

「だが、撃ち漏らしが出た場合は、ライティングか再度サーチで探してもらう事にしたい」

フィルスがリセルゼに向かって頷く。


リセルゼは続ける。

「まずは500メルト※ほど一緒に前進し、再度サーチで位置を確認、戦闘開始は個別のタイミングで始めよう」

ラックランのメンバーも、オーパ、サージョンも同意の意を示す。

「では行くぞ」

そう言うと白銀騎士リセルゼを先頭に、暗闇の中、敵がいる領域へ前進し出した。

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