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「地雷原の検討」

水素ガズ地雷を作る要素は揃いつつあった。

そこで、軍師デカルテを交えて具体的な制作方法と、設置場所について相談する事にした。


「水素ガス地雷とはどのように使い、どのような効果が有る物ですかな?」

どういうものか判らない軍師デカルテは提唱者の迅代に聞く。


迅代は少し遠慮がちに説明する。

「実は、この水素ガス地雷は実戦での効果等は未知数なんです」

「今、このせか、いや、このリシュターに有るもので、わたしが知っている地雷という武器に近い物を作ろうとした結果のものです」


デカルテは少し困った顔で言う。

「で、では、投入する労力が全く無駄になる可能性も有る、と?」

迅代は頷く。

しかし続けて言う。

「しかし、です。今のリシュターを守るためには、敵との数の差をなんとか埋めないといけません」

「水素ガス地雷は広範囲な爆発が起こせます」

「敵を上手く誘導さえ出来れば、10~20の兵士を倒せるかもしれません」


デカルテは難しい顔をしたまま押し黙る。

そして口を開く。

「今の資材でどのぐらいの数を作るのですかな?」

迅代は問いに答える。

「水素を発生させるための酸は15ルンデ※手に入りました」

※約9リットル

「これで10カ所ほど、の地雷を作ろうと思います」

「地雷の領域として5メルト×20メルト※で。20リング※ほどの深さでまず地面を掘ります」

※3m×12m ※※12cm

迅代はそう言いながら、簡単な図を描く。

「そして、中央後方は少し深く掘り、酸に耐えるガラスの容器を埋め込みます」

「ガラスの容器には1.5ルンデ※の酸を入れ。鉄製の物をその中に漬け込みます」

※約0.9リットル

「そうする事で水素と言う無味無臭で人体には無害のガスが出ます」

「ですが、このガスは火を付けると勢い良く爆発します」

「そのガスが、掘った地雷の領域に充満すればまずは地雷の完成です」


デカルテは図を見ながらの説明はなんとなくわかったが、武器としての実感が無いため難しい顔をしていた。

迅代は続ける。

「あとは敵が地雷の領域内に沢山居るほうが効果は大きいので、地雷の領域に踏み込んでも、簡単に気づかず、壊れないようにしたいと思います」

「そのために地雷の領域には踏んでも壊れない格子状に木を組み合わせたものを敷き詰めます」

「あと、その上に油を塗った布を敷きます」

「これは、水素が漏れ出て行かないよう布で蓋をするためです」

「そして、その上にカモフラージュのための土を被せます」

「着火は敵が十分に地雷の領域に入った所で、火矢を放ち爆発させます」

迅代は説明を一旦区切る。

そこでデカルテが質問する。

「罠のような兵器という事ですな・・・おおむね分かりましたが、10カ所という事は、上手く行けば100名の敵を倒せるという事ですかな?」

迅代は頷く。

それに対し、デカルテは言う。

「うむ、言い方を変えると、敵が上手く嵌らないと、その100名を倒す事も怪しくなると言う事ですかな?」


迅代は少し躊躇して答える。

「・・・そう言う事になります・・・」

迅代は考える。

『コストパフォーマンス的に悪いと思われたか・・・だが確かに運次第で全く機能できない事も有るのは事実だ』

地雷のような兵器は受け身の兵器なので、敵が来なければ全く役に立たない。

そこを指摘された形だ。


デカルテは図を眺めていた目を上げて言う。

「この地雷原を集約させて、積極的に敵を誘導してはいかがかな?」

「大きさも3つ4つほどを1つにまとめた大きさにして、敵を囲うように配置すれば効果は大きくなるものですかな?」


デカルテの予想外の言葉に、迅代は少し考えていた案が再び浮かぶ。

「そう・・・ですね、地雷原を四角の領域ではなく、半円周のような領域で作れば、内側に囲まれた敵全体にダメージを与えられるかもしれません」

「それと、例えば地雷原の上に金属片などをバラまいておけば爆発で飛び散り、敵に追加のダメージを与えられます」

「後は、別途考えていた油を敷いた火炎の防壁を、地雷原に誘導するように使えば、敵の侵攻ルートも誘導できるかもしれません」


デカルテは不敵な顔を浮かべ言った。

「動員兵の負担を減らすためには、何でも方策は試してみましょう」

「そして、少しでも損害を大きく出来そうなら、その案を追求していきましょうぞ」


迅代は賛同を得てほっとした。

『軍師デカルテ殿は多少保守的かと思っていたが、柔軟な人で良かった』

と。

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