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「西門側築城計画」

軍師デカルテと迅代は西門の防衛線のための堀と、防御拠点を計画するため会議室に残った。

デカルテは築城に詳しい関係者を連れて来るとして中座したタイミングで迅代は、一応の上司、ナナギリに頼みごとをする。


「ナナギリさん、皇都との連絡係をしているパーンはご存じでしたよね?」

ナナギリは頷く。

迅代は続けて言う。

「上司の立場の人に使い走りを差せるようで申し訳ないのですが」

「パーンの所に行って、道具屋のリォンリーネさんをここにれてきてほしいと、わたしが言っていたと伝えてもらえますか?」

ナナギリは答える。

「ええ、それぐらいしかお役に立てないので、伝令役、務めさせてもらいますわ」

迅代は頭を下げて言う。

「すみません、お願いします」

ナナギリは礼をして、この場を後にした。

『なんのかんので、ナナギリさんには結構助けてもらったな』

そんな事を思いながら待っていると、デカルテが西門側の拡大地図を持ち、軍の築城で指揮を執る担当者を10名ほど連れて来た。


各員の挨拶もそこそこに、早速西門の地図を開き、堀の作成方法について話を始める。


迅代は地図を指さし話し出す。

「まずは、門近くなのですが、ここには弩弓も有り、防護壁の戦闘区画も有って、濃密な援護攻撃が出来ます」

「それと、西門の防衛陣地付近、この辺りも、砦が有って、掩護攻撃が出来るでしょう」

「その間の2クロメルト※の道しかない区域、ここに防御線の堀を作ります」

※約1.2km

「堀は、簡単に飛んで越せない幅、そうですね、3メルト※ほどの幅を持って、深さは1メルト※※ほどで想定します」

※約180cm ※※約60cm

「そして掘った土を食料用の袋に詰め、堀の端に積み上げます」

「袋はいっぱいに詰めた状態で、1メルト×1.5メルト※ほどの大きさで、高さ30リング※※ほどと聞いています」

※60cm×90cm ※※18cm

「この袋を3段に積めば、90リング※、堀の段差と合わせれば約1.9メルト※の段差を作れるでしょう」

※約54cm ※※約114cm

「これで、攻撃側の行き足はまず止められ、防御側が有利に戦闘できるでしょう」

「ここで注意してほしいのは、堀に面した1段目の袋には、出来る範囲で大き目の石などを混ぜてください」

「穴が開いた時に、簡単に中身が流出せずに、石などで詰まるように」

迅代は、一旦そこで周囲を見回す。

周囲の者はメモを取りながら頷く。

そして迅代は続ける。

「それと堀ですが、真っ直ぐには掘らず、こうジグザグで斜めになるように掘るほうが良いです」

迅代はそう言って、地図の上を、への字のような1方が短いジグザグに差し、そして、全体として門側から防衛陣地側に開くような形で指さす。

「ジグザグに作るのは攻撃の局所的な集中でも、周囲からの援護を行いやすくするため」

「斜めに開くように作るのも、全体として攻撃の流れを門側に誘導して、門や防壁からの支援を受けやすくするためです」

「真っ直ぐ作るのが時間的には良いのですが、1チーム辺り8メルト※ほどの作業範囲なので十分対応できると思います」

※約4.8m


軍師デカルテは迅代が指示した堀のアウトラインを地図上に描いていく。

その地図をそのまま設計書類にしてしまうつもりのようだ。


デカルテは口を開く。

「この通りの間隔でジグザグに堀は作るとして、弓兵の足場や、予備兵力の配置はどうしますかな?」

それに対して、迅代は聞く。

「西門防衛の弓兵は、門や防壁の配置人員を除いて、どのぐらい充てられそうですか?」

デカルテは少し考えて口を開く。

「実は自由になる正規兵の全力、1000名を投入するつもりです」

「この1000は動員兵と組ませる防衛チームに全て割り当てる予定です」

「後は契約兵300をどう使うかです、正規兵での弓兵要員は・・・居ません」


デカルテの言葉に、迅代はうなる。

「うーん、やはり契約兵は全部予備兵力で戦線の穴をふさぐ役、別途に弓兵は欲しいですね」

デカルテは聞く。

「今は左右両翼が同時に戦闘になる想定ですが、片翼だけで攻めて来るのを期待して兵力を割きますかな」

「もしくは、北東門、南東門、西門の兵員を少し抽出するか・・・50名ほどならなんとか」

迅代は悩む。

『都合のいい戦況を想定して兵力配置をすると詰む』

『しかし、理想を追求しすぎて両翼の万全な防衛を意識しすぎると、防衛力が弱まる・・・』

迅代は決意する。

「では、弓兵の拠点は両翼を意識して作りましょう、左右共にできれば12カ所」

「ただし、兵員は片翼分で当面は凌ぐ形でいきますか」

周囲の築城指揮官たちがざわつく。

「さ、左右12カ所、24カ所の足場も、一晩では難しいかと・・・」

築城指揮官の一人が発言する。


確かに、弓兵が居ない、イコール、作業員が居ないという事だった。


迅代は訂正する。

「そうですね、弓兵が居ないんですね」

「まずは、その4分の1、今晩は片翼3カ所で計6カ所から始めましょう」

「優先は門や防衛陣地の援護を受けられない中央付近からですね」

迅代の言葉に、デカルテは地図に書き込んだ。

今晩作る6カ所、そして、翌日以降に作る18カ所の位置を。

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