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「動員兵士の状況」

「動員兵士の武装や状況を教えてもらえますか?」

迅代は動員兵士の使い方について考えるべく聞いてみる。


軍師デカルテは答える。

「まともな武装が準備出来るのは槍が約1500、刀剣が約500、弓が約500弱、武装無しになってしまうのが500強です」

「防御装備は個人調達なので自前の小手や胸当てなどまちまちです」

「戦闘訓練は半年に1回、村々を回って行っています」

「今の動員兵士では、半年前に訓練した者が500弱、1年前が500弱、この都市、リシュター自身からの動員は全くの未経験で2千と少しといった所です」


「つ、使えないでしょう・・・」

迅代は思わず声に出して行ってしまった。

だがこの現状では大半が魔王軍の構成兵士のどの魔物相手にも戦えないと思われた。

最弱のゴブリンですら勝てない兵士になると。


その言葉に軍師デカルテは困った声で呟く。

「全く、面目ない・・・」

迅代は責めるような言葉になったと気づき謝罪する。

「すみません。責めるつもりでは無かったのです」

だがデカルテは呟く。

「いえ、怠慢と言われても仕方が無い」

「皇国領土の境界から離れた地故、無敵の城塞都市リシュターと言われながら、他領土の救援にしか軍事施策が向いておらなんだ」

「まさか突然にこのような大部隊に奇襲されるとは・・・」


迅代は今の情報で、烏合の衆3千をどう使えるか考える。

『メインの武装が槍なのは無難、突けば良いので教育は比較的易しい』

『だが、未経験の兵が正面切った白兵戦に堪えられる筈が無い』

『せめて防衛陣地に籠って攻められにくい環境を作り、攻撃に専念させられれば・・・』


「このリシュターでは野戦築城などの装備や準備はあるのでしょうか?」

迅代はデカルテに聞く。

「野戦築城となれば、壕や堀を掘って、足止めの柵や、高見やぐらなどを作るという事ですかな?」

「百人規模の部隊用で5~6日はかかるでしょうか・・・」

「それも資材はかき集めても2~3個分でしょう」

デカルテは余り現実味が無さそうに答える。


その言葉に迅代は問い返す。

「仮に、西門の道の両脇に防衛線の堀をずっと掘る、そうですね・・・」

「右翼、左翼共に西側防御陣地までの約2クロメルト※に渡ってです」

※約1200m


両翼で、のべ2400mの堀を掘ると言う言葉に、デカルテも、軍務官も驚く。

「それは・・・数日以内ではかなり難しいかと・・・」

デカルテの言葉に迅代はふと思う。

「そう言えば、土嚢どのうのようなものは無いのでしょうか?」

現代の戦闘なら簡易な築城と言えばまず土嚢だ。

だが、迅代は今まで、土嚢のようなものは見た事は無かった。


「お恥ずかしながら、どのう、とは何でしょうかな?」

デカルテが返答する。

そこで迅代は説明する。

「麻などの1メルト※ちょっとの大きさの袋に土を詰めてそれを並べて積み上げ防御に使うものですが」

※約60cm

「厳密な計算はしていませんが、1万袋程あれば、あとは人海戦術でなんとかなる物かと・・・」

デカルテは答える。

「そのような装備は我がリシュターには有りません」

「しかも1万袋とは、麻袋もそんなに大量には・・・」


そこで、ナナギリが手を挙げる。

「あの、専門外の者が口を挟むものでは無いのかも知れませんが・・・」

「食料備蓄用の袋は使えないものでしょうか?」

「麻かどうかは分かりませんが、麦などを詰めて数年保管できる物です」

「食料庫を見学させてもらった時に、倉庫にたくさん袋に入れた麦を保管してありましたが・・・」

その言葉に、迅代は答える。

「それは・・・使えるかも知れませんね」

「食料用のものは1万袋以上あるのでしょうか?」


デカルテは少し考えて口を開く。

「食料備蓄用のものでしたら1万枚以上は有ると思います」

「焼失した食料備蓄の補充のために購入したと行政部の報告でした」


長大な堀を掘る話ががぜん具体化してくる。

迅代は考えを述べる。

「土嚢のメリットは、袋を持って行き、現地で土を詰めて積み上げれば防護壁が作ることが出来る事です」

「しかも専門的な知識は要りません」

「土嚢を2~3段を積み、その前の土を掘って土嚢に詰めれば、2メルト※弱の段差が作れると思います」

※約1.2m

「それを3千名、いや、正規軍含め5~6千名で作業すれば、一晩で防御用の堀が4クロメルト※分、作れると思います」

※約2.4km

「そして、そこを守る兵士たちは堀の上から、登って来る敵を突き落とすように攻撃する」

「これなら未経験の兵士でも、ある程度戦えるでしょう」

「それと、非武装の者には土を掘るのに使ったシャベルで武装させましょう」

「シャベルが有れば、突く、殴るなどで戦えます」

迅代の居た現代では、シャベルが強力な白兵戦用の武器であることは有名だった。

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