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「セレーニアとリォンリーネ」

「なるほど、盗賊に襲われている所をジンダイ様に助けてもらったのですね」

セレーニアはリォンリーネの隣に座り、色々と迅代との関係を聞き出していた。

夕食後の祝宴はかなりスケールダウンされたが、とりあえずはあまり食べられない料理や食材も出て皆が楽しんでいた。


「そうなんです!、馬車の奥で怯えて小さくなっている所に、頼もしく手を差し伸べてくれたのですよう!」

「もしかしたら殺されるか、奴隷として売られていたかもなんです!」

「そんなわたしを助けてくれたジンダイさんは命の恩人なんですよう!」

リォンリーネは迅代が助けてくれた時の事を熱弁していた。


「確かにジンダイ様は困っている人は迷い無く助ける、優しい御方です」

少し酒を飲んだセレーニアも迅代を褒める事に余念がない。

「でも、リォンリーネさんは魔法がかなり使えるとか」

「盗賊なんか簡単にやっつけられたのでは?」

ふとセレーニアは疑問を口にする。


「いえいえ、それは腕に覚えがある人の考え方ですよう」

「大勢居る盗賊をやっつけるなんて、普通の女には難しい事なんですよう」

リォンリーネはセレーニアの言葉に反論する。


セレーニアはリォンリーネのか弱さアピールにムっと来る。

「わたしは守られるだけの女じゃ無いんです」

「並び立って一緒に戦うタイプの女なんです!」


そのセレーニアの言葉にリォンリーネは言い返す。

「並び立つのも良いですけど、後ろで支えてあげる、とか、帰る場所を作ってあげる、とかに憧れるんですよう」

「女にしか出来ない役割もあるんですよう」

ちょっと夢見る少女風の顔でリォンリーネが言う。


確かにその言葉にちょっとうらやましさを感じるセレーニア。

「も、もちろん、一緒に戦っても、戦いが終われば安らかな時間も一緒に過ごすんです!」


しかしリォンリーネは続けて言う。

「一緒に戦った相手とだと安らげないんですよう」

「戦いとは全く離れた環境のほうが本当に安らげるんですよう」

「それから、そんな戦うような女だと、お料理とか、お洗濯とかできるんですかねえ」

「やっぱり、使用人とかではなく、自分でいろいろとしてあげるほうが、本当の愛情と思うんですよう」

酒が回ってきたのか、リォンリーネの言葉に煽りが入ってきていた。


「う、うう」

貴族の子女として育てられたセレーニアは家事全般全く経験が無かった。

なので、リォンリーネに言われた言葉に反論が出来ないで居た。

「で、でも・・・」

「でも、家事で愛情が決まる訳では無い筈です」

「きっと並び立つ女でも、愛する気持ちが有れば幸せになるんです!」


「夢見る乙女ですねえ」

リォンリーネはセレーニアの言葉にしったかぶりな顔で皮肉を言った。


「おいおい、何を言い争っているんだ?」

話相手の迅代がトイレに立ったので、パーンが女子席のほうの会話に首を突っ込んできた。


そこに、会話に混じらず黙々と料理を食べていたアレジアが口を開いた。

「男を支える理想の女性について、です」


その言葉を聞いてセレーニアは顔が真っ赤になる。


「まあ、リォンリーネさんのほうが一枚上手でしたね」

アレジアは付け加えた。

「ははは、そうなのか」

パーンは意外そうな顔をして笑った。


その言葉を聞いてリォンリーネは、酔った顔で、かつ、勝った顔になった。


「セレーニアさんをやり込めたりしたらダメですよ」

トイレから戻ってきた迅代が後ろから顔を出して言う。

「リォンリーネさんは調子に乗るところが有るんで、すみません」

迅代はセレーニアに向かって謝る。


「そんな、大丈夫です」

セレーニアは顔を赤くして俯いて両手を振る。

迅代には何の話題をしていたのか、知ってほしくない気持ちだった。


リォンリーネは迅代のたしなめに、ぶーっとした顔をした。


場は盛り上がってはいたが、セレーニア達の疲れもあるだろうとの事で、酒宴は程々でお開きとなった。


翌日


セレーニアとアレジアはゆっくりと休養を取った後に、皇都に向かって旅立っていった。


勇者の力を得た迅代が、力を発揮できる舞台を整えるために。

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