「皇都との連絡」
「では、早速なのですが、わたしは皇都に向かい、皇女殿下とお会いして、今の話を具体化するようにいたします」
セレーニアはそう言ってアレジアに目で合図する。
アレジアは休みなく、また、数日間の移動となるため少し嫌な顔をする。
「セレーニアさん、今日はもう休んだほうが良いのではないですか?」
迅代は頑張って動いてくれるセレーニアを気遣って言う。
「しかし、この話は一刻も早く進め無いと、魔王軍の侵攻が」
セレーニアは強い意志で言う。
しかし、ここまで数日連続で移動して来たであろうセレーニアの事を迅代は心配する。
「その通りなのですが、セレーニアさんが倒れてしまうと、もっと影響が大きい」
「第一報の連絡はパットさんに任せて、今日ぐらいはゆっくり休みませんか?」
パットも頷いて、言う。
「最優先事項なら、非常時用連絡網で2日で皇女殿下に知らせられますぜ」
セレーニア自身が動いた場合、4日ほどかかると思われた。
「わかり、ました・・・」
セレーニアは引き下がって、明日の出発とする事にした。
そんな話の流れにアレジアはぱっと明るい顔になっていた。
「では、再会を祝してぱーっと晩御飯は一緒に食べましょうかねえ」
リォンリーネが口を挟んで来た。
リォンリーネの言葉に迅代はセレーニアに聞く。
「セレーニアさんはどこに泊まるご予定ですか?」
セレーニアは答える。
「いえ、まだ、決めていないです」
セレーニアは先ほどリシュターに到着して店に直行してきたのだから。
「じゃあ、ここに泊まりやすかい?部屋ならいくつか有りますぜ」
パーンはセレーニアの顔を見て言った。
「うふふふ、ではパーンさん今日はお店は閉店ですね」
リォンリーネは軽い感じでパーンに言う。
「あ、ああ、閉めるのは良いが、ここで飯を食うのか?」
リォンリーネの勢いにパーンは困惑気味に言う。
「だってお外で変な話は出来ないじゃないですか」
リォンリーネは積極的にここで晩御飯を食べたいようだった。
そんなリォンリーネにパーンは言う。
「だが、ここでそんな料理とか出せないぜ」
その言葉にリォンリーネは反論する。
「いやほらー、酒場から色々調達すれば、ねえ、ジンダイさん」
どうやらリォンリーネは以前に酒場から酒や食べ物を買って来て酒宴を行ったような事をここでもやろうと言うのだ。
「なるほど、パーンさんさえ良ければ・・・」
そう言って迅代はパーンを見る。
「ったく、しゃあねーなあ」
「俺はこれから緊急連絡の手配とかするし、まあ、店は閉めていいが・・・」
「食べ物の買い物は頼めるか?」
パーンの言葉にリォンリーネはうんうんと頷く。
「当然、お酒もありですよねえ」
リォンリーネは付け加えた。
どうやらリォンリーネはお酒が目当てのようだった。
話の流れを見て、セレーニアが口を開く。
「では、緊急連絡の内容は、今からわたしとパーンで詰めます」
「アレジアはお買い物に付き合ってあげてもらえるかしら?」
アレジアは嬉しそうな顔で敬礼して言った。
「了解でありまーす」
「予算はここから出して良いんですよね??」
そう言いながらアレジアは懐から巾着状の財布をチラ見せする。
セレーニアは同意する。
「もちろんよ、全額そこから出しておいて」
「ただし、内訳と金額は後で提出してもらうわ」
アレジアは面倒と思ったが、自由に使って良いと言われたと自分なりに解釈してにこやかに言った。
「はーい、勇者ジンダイ様との再会の祝宴ですもんねー」
「豪華に行っちゃいましょう!」
はしゃぐアレジアに、セレーニアは少しあきれながらも同意する。
「そうよね、ジンダイ様と再会できたんですからね・・・」
その表情は少し嬉しそうだった。




