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「帰り道の約束」

なにやら村のほうでは森の守護者と言う伝説の人物の話で盛り上がっていたようなのだが、迅代は絡まれるのを避けるためそそくさと帰路に就いた。


「森の守護者って言ってましたが、何だったんですかねえ」

帰り道の馬車の御者台からリォンリーネが話しかける。


「どうやら伝説上の森を守った人みたいなんですかね」

「恐らく、俺が魔獣をバンバン倒しちゃったんで、あの軍隊の人たちが驚いちゃったんでしょう」

さらっと迅代が言った言葉に、リォンリーネは引っかかる。

「バンバン倒しちゃったんですか?Aクラスの魔獣だって村長さん行ってましたよう」


その言葉に迅代が説明する。

「ははは、凄かったですよ、特に徹甲弾の威力は」

「ほうほう、どうでした?」

「恐らく、ホワイトサーペント相手ですが、一撃で頭が吹き飛びました」

その言葉にリォンリーネは驚く。

「えええ、ホワイトサーペントってSクラスに近い魔獣じゃないですか!?」

その驚きの声に、迅代はにこやかに話す。

「少し小ぶりでしたがね」

「あと、グロウサーペントとレッドサーペントも居ました」

「でも、このライフル銃が有れば、難なく倒せる事が分かりました」


「おおお、凄いですねえ!、苦労した甲斐が有りましたよう!」

ひとしきり喜んだあと、リォンリーネは言った。

「ジンダイさんはこれからどうするんですかねえ」

「勇者として、再び、皇国軍に戻るんですかねえ」


迅代は少し黙って口を開く。

「まず、手配されている状況は、晴らさないといけないですね」


リォンリーネも少し考えた後、口を開く。

「皇都に向かうってことですかねえ」


迅代はその言葉を聞いて、道の遠くに視線を移す。

「そうですね、皇女殿下も俺のせいで立場が悪くなっているかも知れないので」

少し二人は黙る。


迅代はリォンリーネとの別れの時が近づいていることを感じる。

『疑いを晴らして、自由に動ける時が来れば』

『また、リォンリーネさんに会いに来れば良いさ』

『銃の保守部品も必要だしな』


「じゃあ、もう少し稼ぐまで待ってくださいよう」

リォンリーネが突然言った言葉に、迅代は意味が分からず聞き直す。

「えっと?」

リォンリーネは迅代のほうを向いて言う。

「いや、ほら、皇都まで行くと時間もお金もかかるじゃないです?」

「2か月分ぐらい返済をしておかないと、アトラーゼ商会にお店を取られちゃいますよう」

リォンリーネは泣きそうな目で迅代に言った。


「えっと、リォンリーネさんも皇都に付いてくるんですか?」

「え?当然ですよう」

「そうなんだ、当然なんだ・・・」

「でも、申し訳ない気が・・・」

迅代は当然付いて来る口ぶりのリォンリーネに悪い気がした。


「申し訳ないなんて、気にする必要ないですよう」

「それに、手配が終わるまで、皇都にも入りにくいでしょうから、また荷物にごまかして入ってあげますよう」

そう言ってくれるリォンリーネに、迅代は心が熱くなった。

「リォンリーネさん・・・ありがとうございます」

迅代の感謝の気持ちに、リォンリーネはいい気分になってドヤ顔で言った。

「ふふん、お任せですよう」

リォンリーネは意外と姉御肌だった。


そして迅代は、リォンリーネの言葉に甘えて、もう少し付き合ってもらおうと考えなおした。

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