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「魔獣追跡」

リシュターの白銀騎士と呼ばれているリセルゼは非常に目立つ白銀色のプレートメイル姿で馬を走らせ、魔獣の追跡を行っていた。

リセルゼの後ろには直衛の部下2名も馬で後を追っていた。

部下二名は、共にチェインメイルに白銀色をしたヘルメットと胸当てなどを装備し、長い目の槍を抱えていた。


目標の魔獣は、村を襲って人や家畜を食らった後、村の近くの森に入り込んでいた。


被害に遭った村人はかなり大きな蛇の魔獣だったと言っていたので、Aクラス魔獣のサーペントの類と思われた。

サーペントなら過去に戦ったことが有ったリセルゼは、「早速討伐して参ろう」と自信ありげに村長に伝えた。

それを聞いた村長は、しばらくすれば騎士様が魔獣を倒して戻ってくると思い込んでいた。


リセルゼが仕えるリシュター領主も、最近のはぐれ魔獣の暴れっぷりから、そろそろ本腰で対応をと言っていたので丁度良いと考えていた。

『はぐれ魔獣など我が大剣ダイアライアの前では敵ではない』

そんな事を思いながらひとり突出し魔獣の痕跡を追跡していると、こちらを向いている魔獣と目が合った。


「うぉわ!」

リセルゼは慌てて馬の歩みを止める。

大きい。

鎌首をもたげた高さは7メルト※ほどは有りそうだった。

※約4.2m

グロウサーペントと呼んで良いサイズだ。

Sクラスまではいかないが、A+クラスの魔獣といった所か。


グロウサーペントはちろちろと赤い舌を見せながら警戒態勢を取っているようだ。


『ここで慌てて仕掛けてリスクを負うより、部下が追い付いてから仕掛けよう』

そう思いながら、大剣ダイアライアを抜いて、威圧するも、まだ仕掛けはしなかった。


そして部下二名がリセルゼに追いつく。

早速リセルゼは槍で攻撃するように伝える。

この2名の部下は引き立て役兼弱らせ役だ。

魔獣に何発か槍の攻撃を加えて動きを抑え、大剣で両断しようと言う作戦だった。


そうこうしている内に後方が騒がしくなる。

おっとり刀で連れて来た8名ほどの兵士も従徒だが追いついたか?

リセルゼはそう思い後ろを確認すると、赤いヘビの頭が見えた。

「レ、レッドサーペント!」

しかもよく見ると、もう一体、白いヘビの頭も見える。


後方から2体の魔獣に襲われた6人の兵士たちが居た。

ここまで逃げる途中で2名がやられたのだった。


赤いヘビはレッドサーペント、炎を吐く恐ろしい魔獣だ。

そして白いヘビはホワイトサーペント。

雷の魔法を使うと言うサーペントの一種で、下手をすれば広域電撃で一度に全員を葬る実力が有る。


「そんな・・・こんなヤツら、はぐれ魔獣な訳が無い」

リセルゼは勝ち目が無いと見て、撤退を考える。

『やはり、正面のグロウサーペントを突破して逃げるしかない』

しかし、兵たちを密集させるとホワイトサーペントに一撃でやられる可能性が有る。


「ええい、ままよ!」

「我が前方の魔獣を攻撃して道を切り開く!」

「撤退だ!続け!!」

先頭に剣を振り上げたリセルゼ、後方両脇に部下2名、そして少し離れて兵士が走って一方向に進む。

後方の魔獣から容赦なく炎や電撃で攻撃が飛ぶ。

部下の一人、右側後方を進んでいた兵士が馬が電撃を受けて落馬する。

しかし、構ってはいられない。

止まれば全滅だ。


リセルゼは前のグロウサーペントを攻撃圏に捉えると、馬上から斬りかかる。

「ギン!!」

『か、堅い!!』

大剣ダイアライアの斬り付けを跳ね返すほどの鱗を持っていた。


グロウサーペントの後方から尻尾が飛び出す。

「ぐはぁ!」

馬事撥ね退けられ、落馬するリセルゼ。

地面に叩きつけられるも、剣は手放さない。


最後に残った部下が、リセルゼの落馬を見て、前方のグロウサーペントに囮となって挑発をかける。

リセルゼが体勢を立て直すまで、と。


「やむを得ん!オーパ!単身撤退し、領主様に状況を知らせよ!」

そう言うと、リセルゼが大剣ダイアライアでの渾身の突きをグロウサーペントに見舞おうと体勢を取る。

オーパと呼ばれた部下の兵士は、その言葉に反論する。


「ならば、リセルゼさまも一緒に!」

リセルゼは、オーパの言葉は甘いと考えた。

「全員死ぬよりは!」


そんな時、グロウサーペントの頭から血が噴き出した。

「!!」


周囲の者が何事かと思った時、聞きなれない音が周囲に響いた。

「ボン!クイイィィィーーーー」

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