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「問題点」

ライフル銃に加速器を加えた新型銃は、威力面では想定以上の成果を出した。


しかし、詳細を見ていくといくつかの問題点も露呈した。


まずは銃身強度だ。

加速器のリミッターを解除した射撃を1度行ったが、その後、銃身を確認すると今にも破裂しそうな損傷を受けていた。

銃身の基部、加速器がセットしている部分では、所々に小さな亀裂が確認できた。

恐らく、2度目を撃った時点で、銃身が破裂していただろうと思われた。


そして加速器の魔力充填速度だ。

これは迅代の魔法力の問題も有るが、装置の魔法力充填に2~5秒ほどかかっている。

厄介な事に、精神状態や集中力によって、充填時間にもバラつきが出るようだった。

速度戦に成れば秒単位のアクションの遅れが命取りになる。


銃身の問題は、加速器の部分だけでも銃身を太くする事。

魔法による強化の可能性の検討、という対応を行うつもりだった。

しかし、リミッター解除での射撃は、安全に撃てるのは1度と思ったほうがよさそうだった。


加速器の魔法力充填速度の件は、当面はそのままでも良いと考えていた。

加速器は長距離からの射撃時に主に使うと言う想定と、動きが早い近接戦闘では加速器を使わないほうが良いと考えていた。


それよりも何よりも、早く完成した銃が欲しかった。

今まで、力の無い勇者、外れ勇者と言われ続けて来た。

自分の力が無いものとして仕方が無いと考えていたが、この銃を手にすれば違う。


迅代が今までに培ってきた技術、能力を使って、思った通りの戦い方が出来る武器だった。


リォンリーネがボルトアクション機構の製作をしている間、迅代はより強度が高い銃身を一生懸命掘っていた。


そして、その両方が完成した。


「これで、本当にジュウが完成するんですね!」

リォンリーネはボスとアクション機構が詰まったボックスを手にわくわくしていた。

迅代も、リォンリーネと同じくわくわくしている。

「そして、この銃身を結合して、銃が・・・あ」

「あら、どうかしましたかねえ?」

迅代の勢いが止まった事に、リォンリーネが気付く。


「ストックを忘れていた・・・」

銃身と銃の機関部は出来ても、それを持つストックが無ければ撃つことも出来ない。

「ストック、ああ、クロスボウの持ち手部分みたいな曲がりくねった木のやつですね」

「そう、です・・・、クロスボウの物を使えばよいと思っていて、すっかり忘れていました」

「ならば、適当なものを買ってきますかねえ」

リォンリーネはそう言うが、迅代はぜひ、自分で選びたいと思っていた。


「俺自身が選びたいんですが、何か方法は有りますかね」

迅代は望み薄ながら、リォンリーネに正直に考えを言ってみる。

「ならば、変装ですかねえ?」

リォンリーネはちょっと首をかしげて言う。

「変装か・・・」

迅代も呟いてみたが、具体的な方法は浮かばない。


「髪は緑系にして、瞳の色はメガネでごまかしますかねえ」

そんな迅代を尻目に、リォンリーネは話を進める。

「髪を緑色って、簡単に出来るんでしょうか?」

「それに、黒より目立ちませんか??」

迅代はリォンリーネの言葉に疑問を呈する。


「実はわたし、昔は髪を緑に染めていたんですね」

リォンリーネはちょっと寂しそうに言う。

「え、そうなんですか?」

失礼ながらあまりオシャレに頓着しないように見ていたので意外に思う。


「まあ、ちょっとした若気の至りですよう」

リォンリーネの顔が少し上気して、声も小さくなった。

これはリォンリーネの心の傷に触れる部分なので、あまり深くは語らなかったが。

「まあ、ともかく、緑色の染色なら材料はそろっていますよう」

「ジンダイさんは黒い髪なので、ちょっと暗い目になるかもですが」

「あと、黒髪で無いと認識してもらえば良いので、緑でも問題無いと思いますねえ」

「緑髪は、魔法系の血統の人にたまに出るので、そういう人種か、って思われるだけと思いますねえ」


そうして、話がトントン拍子に進んで行った。

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