表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/348

「本体」

リォンリーネはトリガー機構の模型を完成させた日、迅代の言う通り、ぐっすり睡眠を取った。

しかし、その日の夕方前にごそごそと起き出し。

また、机に向かっていた。


『これは、当分、昼夜逆転の生活になりそうだな・・・』

迅代はリォンリーネが熱心に開発作業を進めてくれて嬉しい反面、少し困ったなとも感じていた。


それに昼間にリォンリーネが寝ていると、来客の対応や、商品の納品が出来ない。

だが、迅代がそれを代わるわけにもいかない。

『当分は対応できない事を店の扉に張り紙を出しておくか。』


それから3日ほどリォンリーネが頑張って、銃の本体が完成した。

銃身は付いていないが、鉄製で、中折れ機構、弾薬の装填部兼薬室、そしてトリガー機構が組み込まれているものだ。

ハンマーを起こして、トリガーを引くと、「カチン」と勢い良くハンマーが落ちる。

そのハンマーに連動して撃針が前に飛び出す、ここまでの動作が見事に実現されていた。


弾薬が入っていれば、問題無く発射まで出来るだろう出来だった。


「すごい!すごいです!!」

迅代はその出来を素直に褒めたたえた。

「うへへへ、喜んでもらえると嬉しいですねえ」

リォンリーネはにんまりとした顔になるが、さすがに疲れが見えていた。


迅代はいろいろな角度から銃本体をチェックする。

中折れ部の弾薬装填部の精度を心配していたが、概念図の注意書き通り、綺麗に真円で開けてくれていた。

ここにガタツキが有ると、発射時のガスが漏れて、弾丸に運動エネルギーが伝わらず、威力が低下してしまう。

また、反対に、火薬の威力が強すぎると、銃本体に負荷がかかり、部品が破損してしまうかもしれない。

この辺りは撃って見てからでないとわからない。

事前に調査できる知識も施設もないのだから。


『後は銃身、そして弾薬だが・・・ちょっと休んでもらったほうが良いかもな』

迅代は、そう思ってリォンリーネをみると目がうつろで、うとうととしていた。

さすがに5日ほど、睡眠もそこそこに全力で開発作業を行ってくれたのだ。


「そろそろ黒煙粉も届いてるのではないですかね?」

迅代はリォンリーネに問いかける。

「おお、そうですね、黒煙粉、明日聞きに行ってみます」

リォンリーネも思い出したように答える。

「では、明日は、一旦開発作業はお休みにしましょうか」

迅代の言葉に、リォンリーネは少し考える。

「そう、ですね、ちょっと周りの事を置いて突き進みすぎましたねえ」

だからと言って別の事をやり出すとリォンリーネは休まらないだろうと思い、迅代が言う。

「明日は、黒煙粉の事を聞いてもらって、その後、ゆっくりしましょう」

リォンリーネは一瞬迷ったが、「はい」と笑顔で答えた。


翌日、黒煙粉の入手が出来そうと言っていた道具屋にリォンリーネが様子を聞きに行ってくれた。

すると、小袋1つ分、概ね10gほどの量の黒煙粉が入手できたとの事だった。

値段は交渉した結果、5000ピネ※で交渉成立した。

※約5万円


リォンリーネが持ち帰った黒煙粉を迅代が調べてみる。

みみかきですくったほどの量を平らな鉄板の上に出し、金づちで叩いてみる。

「パン!」

大きな音と共に煙が出て爆発が起きる。

「きゃう!」

リォンリーネはその音に驚いて変な声を出して数歩後ずさった。

迅代自身も少し驚いた。

「うん、間違いなく火薬です」

「これで弾も作れそうです」


少し高価だがなんとか火薬も入手が出来たのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ