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「お金儲け」

リォンリーネの店は、また売り上げの最高記録を更新した。


もうアトラーゼ商会の妨害は無くなり、おおっぴらに商売ができるようになったからだ。


オイルマッチは堅調に売れ続け、プロデュースした真空断熱ボトルもライセンス料が順調に入って来ていた。

そして真空断熱ボトル用の過熱、冷却の呪符も高価であるのに売れていた。


そして迅代が真空断熱ボトルと同時に候補として考えていた望遠鏡も制作してみた。

プリズムを利用した正立像で見える望遠鏡で、視野の広さ、明るさ、倍率と、この世界の望遠鏡をはるかにしのぐ製品だった。

ただコストがとても高く、生産数が上げられなかったが、リォンリーネの店の商品として信頼を付けていた事も有って、売り出せば高額で売ることが出来た。

これもやはり冒険者が買っていくのだと言う。


また、この望遠鏡の生産に付随する開発で、ガラス板に魔法で銀蒸着をして鏡を作る事が可能になった。

今までの金属を磨いた鏡とは段違いに鮮明に映る鏡だった。

今はまだ本格的に販売していないが、試作品をいくつか作ってみた。

それをリシュターの街で最大規模の道具屋を経営しているミグルさんの店に試しに卸した。

ミグルさんはそれを貴族のご婦人方の集まりで売り込んでくれたらしい。

鮮明に写るその鏡に、ご婦人、ご令嬢は魅了され、試作品は高額で売れ、買えなかったご婦人から売ってほしいとの要望が多数あるのだと言う。


「うひひ、うへ」


『うん?何だ??』

店内にいた迅代が妙な声を聞き、顔を上げると、リォンリーネがお金を数えてにんまりし、奇声が漏れ出ていた。


「り、リォンリーネさん??」

迅代の声にはっと我に返るリォンリーネ。

「おおお、ジンダイさん、居たのですね・・・」

リォンリーネは真っ赤な顔で恥ずかしそうに俯いた。


迅代は苦笑いをしながら言った。

「結構蓄えもできましたし、そろそろ銃の製造を本格化させましょう」

迅代の言葉に、リォンリーネは取り繕うように言う。

「そうでした、ジュウでした!今まで作ってきたもので、あと足りない技術は何でしょうかねえ」


リォンリーネの言葉に、迅代は少し考えを巡らせて口を開く。

「火薬、あ、ここでは黒煙粉でしたか、それがどれほど高性能なものを作る事が出来るかですね」

それを聞いてリォンリーネは頭を抱えた。

「そうでしたね、黒煙粉ですね、調べると言っておいてさっぱりでした」

「お金儲けに目がくらんで・・・守銭奴ですね、わたし」

またリォンリーネの自虐が始まった。


「お金儲け、大事ですよ。おかげで安心して開発に没頭できます」

そんなリォンリーネに苦笑いをしながら、迅代はフォローの言葉を言った。

「そうですね、お金が儲かり出したのも、マルクさんが来なくなったのも、全部、ジンダイさんおかけです!」

そう言われて迅代は面はゆい感じになる。

「しかも、元々が命の恩人なのです」

「ジンダイさんが欲しがっているジュウを頑張って作りますよ!」

リォンリーネは鼻息荒く宣言する。


「確か、黒煙粉を作るには希少な薬品が必要と聞いたのですが」

迅代は皇都での銃開発会議で錬金術担当が言っていたことを思い出す。

「うむむ、そこから調べないといけないのです」

リォンリーネは全く調べていなかった。


「卸売りで出来た道具屋のつてで黒煙粉や作り方なんか聞いてみてはどうでしょう?」

迅代は思いついた案を提案する。


「おお、そういえばそうですね、道具屋さんなら独自のルートを持っているかも知れませんね」

リォンリーネはさっそく聞いて回ると言ってくれた。


迅代がリシュター領に来てそろそろ1か月が経とうとしていた。

そして、ようやく銃の開発に移れそうだった。

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